【2023年】美術館巡りメモ
これは@curry_dddが2023年に行った美術展とか美術館とかのメモです。
去年の記録はこちら
2023年1月
クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ
2022年末の内覧の時点でSNSでかなりバズってるのを見ており、これはヤバいかもなと思ってアパレル系で働く友人と早々に1月のチケットを取った。
最終的にあんな、早朝から並び倒すような展覧会になるとは思ってなかった。これは本当に早く行って良かったという気持ちです。
空間演出がかなり凝っていて、新しい部屋に入るたびに「こんな部屋どうやってどこに置いているんだ!?!?」てなることが多かった。特にドレスの壁は圧巻で、えっここ上下ぶち抜けるの!?!?という驚きがあった。(よく考えたら、暗幕で仕切ったりしてよく大型作品が置いてあるスペースかも)
わたしのような服飾あんまりわからない民にも、シルエットにかける美しさとか、デザイナーごと、時代ごとの作品の差なんかをわかりやすく見せてくれる展示だと思った。
2023年2月
恵比寿映像祭2023
展示は無料という狂気のイベント。なぜあれが無料で良いのか、すごすぎ。祭すぎる。
事前情報をぜんぜん入れずに、たまたま時間があいたので行ったら、まさかのルー・ヤンさんが見れて最高だった。
ルー・ヤンさんの作品は過去に森美術館の展示が終わった後のスペース(?)で見てめちゃくちゃにハマり、なんとかもう一回見れないかなあと思っていたので、まさかここで超高画質になった六道輪廻の世界が見られるとは思わず、最前のビーズクッションに陣取り2周した。最高。
会期終わりにもう一度見に行こうと思ったら待機列がとんでもないことになっていたのでしめやかに帰宅した。
六本木クロッシング2022
時期的に、こう、そろそろ自粛も本格的に終わっていいんじゃね…?的な雰囲気がでてきているころの展示だったかなと思う。妙に明るくて、それが印象的だった。
自分が一番記憶に残ってるのは、工事現場の人みたいな格好をしてスケボーで街を走り倒す動画。動画に出ている人たちが(走っている人だけじゃなくて、その人を見る他の人たちも)おおむね楽しそうで、いいなーちょっと元気が出るなあ、街を駆け巡るってそれだけですごく楽しそうだなと思った記憶がある。
COMITIA143
出てました。
加藤泉一寄生するプラモデル
プラモデルを使った加藤泉さんの作品。
加藤泉さんは(大変失礼かもしれないけど)最初にSCPで知り、本物が(これもかなり失礼な言い方かも)見てみてえ〜〜と思って伊香保で行われた展示を見にいった結果、畏怖とかわいい〜を交互に呼び起こすすごいやつばっかで感情を破壊された記憶があるのでこの展示もとても楽しみにしていった。
そんでちっちゃくてツルツルしててめっちゃかわいい〜〜〜!!!だった。
で、ワタリウムの向かいの空き地に寝かされてるやつをみてヒエっとなった。
レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才
https://www.tobikan.jp/exhibition/2022_egonschiele.html
エゴン・シーレは私の大好きな画家のひとりで、あまりに好きすぎてレオポルド美術館はすでに一度行っている。ぱっと見はこじんまりとした建物の中にこれでもかとシーレの油絵が掛かっていて感動した。
で、今回はどれぐらいシーレを見せてもらえるんだろうな〜と思って行ったところ、ぶっちゃけシーレはごく一部で、どっちかというと「シーレとそのお友達とのグループ展MAX」という感じでした。
とはいえ、その分、シーレが当時見ていた同年代のライバルたちの空気感が想像できてとても楽しかった。
こう、なんというか、現代の絵描きやアーティストさんのうち絵柄やテーマが似ている人たちどうしが、ちょっとお互いインスパイアしたりされたりしつつ表現を発展させていく感じを思い起こさせる。
2023年3月
ルーヴル美術館展 愛を描く
神話に描かれる愛、キリスト教の愛、恋愛の愛、家族愛……ってかんじで愛をテーマごとに分けて展示するという構成がとっても良かった。
また、「神話にかこつけてエロジジイ×乙女シチュを描こうとする」「少女漫画の最終話の見開きページばりの全員集合絵(ヒロインの結婚式シーン)」など、なんかこれ見たことあるぞ!!!というシチュがあったのも興味深かった。やっぱり愛って過去から未来まで永遠にバズり続けるテーマなんだろうな。
東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密
あまりにヤバすぎて記事にしてしまった。noteさんの公式まとめマガジンにもまとめてもらえて、記事をかくっていいな!と思えたきっかけ。
インターメディアテク開館十周年記念特別展示『極楽鳥』
愛読しているマガジンで取り上げられるまでそもそもインターメディアテクの存在を知らなかった。
東京駅から徒歩ゼロ分の商業ビルの中に大量の剥製と骨格標本が詰まっているなんて誰が想像するだろうか。しかも無料。なんで?????
2023年4月
その怪文書を読みましたか
梨さんというホラー作家さんが個人的に収集した「怪文書」の展示ーーという体の所謂モキュメンタリーホラー的なギミックのある展示。
Twitterで話題になっているのをみかけた頃にはとっくに週末のチケットが完売しており、まあしょうがねえなと思っていたところ、まさかの会期延長により滑り込みで見にいくことができた。ラッキー!
見に行ったことをツイートした数日後に、公式アカウントの意味深なリストに追加されるなどのギミックもあった。良すぎる。しかし運営大変だっただろうな……。
とにかく作り込みがすごかった。
エドワード・ゴーリーを巡る旅
エドワード・ゴーリー版画作品が死ぬほど見られる展示。
会場にあるソファでは日本語で刊行された絵本も読めて、かつどの絵本にも展示されている作品が一つぐらいは入ってるので、展示を見る→絵本を読む→みつけた作品をもういちど見にいく のような最高に贅沢な体験ができた。
The Original
プロダクトデザインにおける超マスターピースをいっぱい見られる展示。「見たことある〜〜〜!!!」が大量にあってカジュアルに楽しかった。
2023年5月
デザインフェスタ57
出展していました。めちゃくちゃ楽しかった。
この月はデザインフェスタの準備があまりにも忙しくて、展示に行く暇がなかった。
2023年6月
ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会
学校の授業科目になぞらえて、大量の現代美術作品が並びに並ぶというボリュームたっぷりの展示会。
えげつない量がありすぎる&けっこう難解な作品や映像作品も豊富ということで、めちゃめちゃ疲弊した記憶がある。祭りだった。
ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ
印象派以降のいわゆる「抽象画」を、時代やグループごとにまとめて解説していくという展示。各セクションの解説文がちょっとした教科書ぐらいにがっつりボリューミーで、抽象画なーんもわからんの民である自分もちょっとわかった気になりつつ読めた。
アーティゾン美術館の全3フロアに渡って有名どころの作品が大量に並びまくっており、言うて東京都心のビルだろと思って舐めてかかったら体力がガッツリ持っていかれました。良いコンディションで行った方が良い。
古代メキシコ
見にいくかどうか迷っていた展示だけど、フォロワーさんがめちゃ良かったと言ってたので行ってみた。
マヤ神話やアステカ神話に興味があったということもあり、神様の像を見るたびに大興奮だった。石・石・岩・岩・石!て感じでけっこう渋かったので興味がない人が行ったら辛いだろうな〜とも思った。
実はいままであんまり東博には行ってなかったんだけど、常設展も「うわーーこれ教科書で見たことあるやつ!!!!」となってテンション上がりまくりで、一気に博物館が好きになった展示。
2023年7月
蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる
国立新美術館の展示室を大きな一つの部屋にして、壁に沿って資料が並び、部屋中央に巨大作品が配置されるという思い切った空間の使い方が印象的だった。
この展示のちょっと前に、蔡國強さんがいわき市の海岸で大規模な昼花火のパフォーマンスを行ったというのをニュースサイトで見ていて
すごいことをやるものだな、と思っていたら、ちゃんとこのプロジェクトに関する展示コンテンツも用意されていた。
ニュースサイトや現地に行った人がYouTubeにあげた動画は視聴済みだったけれど、恐らく当人等しか近づけないであろうエリアから撮影された蔡國強さん公式動画が堪能できてとても満足度が高かった。
同じソファに座っていた、私の祖母と同じぐらいのおばさま二人組が「煙の色がいいわね」「子供らもかわいいねえ(打ち上げ会を見に来た地元の子供たちがときどき映る)」なんて言いながら2ループぐらい見ていて、それもなんかよかった。
2023年8月
私たちは何者?ボーダレス・ドールズ
井戸の底から見つかった(!)呪い用のヒトガタから始まり、雛人形などの伝統的な人形、リカちゃん人形、そして現代の美少女フィギュアまで「人形」をテーマに文化・時代を俯瞰するような構成。
秘宝館で展示されていたカラクリ人形、オリエント工業のラブドールが展示された18禁ゾーンもありました。
ラブドールなんかはここ数年でかなり「アートな工芸品」的な文脈でこういう場所に出て来ることが増えてきたなという印象がある。
デイヴィッド・ホックニー展
東京都現代美術館でやっていた大規模なホックニーの古典。
初期の作品の展示もそこそこに、今回のメインはiPadで制作されたデジタルペイント。特に、家の周りの四季の移り変わりを描いた超〜〜〜横長ペインティングはめちゃめちゃ見応えがあって最高だった。
自分も一応iPad使いのはずなんだけど、絵が上手い人ってホントに何で描かせようが爆裂に上手いということがわかりました。
展示の最後には、タイムラプス(ペイントソフトの画面録画の早送り)が展示されていたのもデジタルペイントという手法ならではという感じ。古き良きお絵描きBBSでメチャうまな人のタイムラプスを眺めてほえ〜〜〜となっていた過去の自分を思い出すなどした。
「あ、共感とかじゃなくて。」
共感やいいねがあふれる世の中に対して、あえて「共感しなくていい」というテーマを掲げた展示。 テーマがテーマだけに重い感じかな~と構えて行ったら、いい意味で裏切られた感じ。
けっこうポップで、そして人と人とをつなげるようなテーマが多かった。
会場の最後に設けられた、渡辺 篤さんの「ここに居ない人の灯り」になぜかウルっとしつつ帰った。
マルク・シャガール 版にしるした光の詩
シャガールの作品のなかでも、版画に特化した展示。
ひとつひとつの作品のサイズが小さいので、ちょっとこぢんまりした世田谷美術館でも見ごたえはたっぷり。
モノトーンの挿絵画からスタートして、神話や聖書の物語、そしてシャガールといえばという感じのサーカスのシリーズと、とにかくボリュームがあって満足度が高かった。
テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ
ロンドン・テート美術館の収蔵品を中心に、さまざまな形の「光」の表現技法を解説していくという構成の展示。
ターナーから始まって現代美術まで見れちゃう時代横断の展示で、なんとなくお得な気持ちで帰った。イギリス美術のみなさん、本当に雲描くのが好きなんだな〜と思うなどした。
マティス展
マティスの作品を初期〜後期まで時系列で見て行くという展示。とにかくマティスが大量で、マティスまみれになれて良かった。
行く前にイメージしていた、マティス=「太い線に明るい色、明快な画面構成」というイメージ(上の画像の黄色と青の絵のような)はマティスがいろいろな絵柄や技法を試しまくった末に生まれた集大成なんだ、と知れたのが一番の収穫。ポスターにもなっていた点描画の他、キュビズムや抽象絵画などいっぱい色々チャレンジしている。偉すぎる。
2023年9月
海 ―生命のみなもと―
国立科学博物館の、海をテーマにした展示。
地球環境に対して海が果たす役割とは?という視点で、単なる海の生き物紹介で終わらない構成なのはさすが科博〜という感じだった。
個人的に一番アガったのは深海の生き物たちの生態をとらえた動画。スネイルフィッシュが可愛過ぎて特大ぬいぐるみを買いそうになった。
Material, or
マテリアル(素材)に注目した展示会。伝統的なマテリアルの現代的な活用、今までゴミとして捨てられていたものの再活用などテーマはさまざま。今までデザインや絵画技法などに注目することはあっても、それを実現する素材そのものまで意識することは少なかったので、新鮮な気持ちで楽しめた。
「甲殻類の殻ゴミからプラスチックを作る」が被っていたのでちょっと笑ってしまった。
野又 穫 Continuum 想像の語彙
ひたすら緻密で奇妙で巨大な建物を描くという特徴的な作風の画家さんだた。尖ってる。
綺麗なベクシンスキーというか、、人が生きている感じが一切しない、異様に静かで穏やかな画面が空恐ろしい。音もなく、風もなく、暑いのか寒いのかさえ想像できない、未来なのか過去なのかも分からない……。
2023年10月
イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル
写真撮影可能なのは、アーティストにインスパイアされたシリーズの部屋のみ。それ以外にも大量にすさまじいドレスが並びに並んでおり、えげつないシルエットの美しさとえげつないビジューやスパンコールの量に圧倒されながら会場を進む事になった。
イヴ・サンローランの生涯についても会場のところどころで解説されている。若くして成功しているというのは知っていたけれど、作品のキャプションを見るたびに「こいつ20代でこれを……」「この時点で今の私とタメか……」と絶句するハメになる。天才エグい。
TAKEO PAPER SHOW 2023 「PACKAGING―機能と笑い」
ファインペーパー(良い紙ということです)といえば、の竹尾が主催する展示会。コロナの影響もあって開催は5年ぶりらしい。
人生で一度は行ってみたいと思っていたので、今回は行けて本当に満足。
企業の宣伝広告も兼ねた展示会だからというのもあり、参加は無料。さすがに会場はかなり混んでいた。
デザイナーっぽい人はもちろん、美大生やデザイン系の学生さんなんだろうなという感じの若い人も多く、もちろん家族連れや(私のような)謎のソロ勢もいっぱいいた。
キュビスム展—美の革命
ポンピドゥーセンター、人生で一回ぐらい行ってみたい。
「キュビスムは風邪(みんな罹患してた流行りものという意味)」という言葉は知っていたものの、実際どんな感じに流行っていたのかはこの展示を見て初めてなんとなく分かったなという感じ。
サロン・キュビストと呼ばれていた人たちの作品もたっぷり見れて、みんなキュビスムというコンセプトにはハマりつつもいろいろ独自性出していって、それがその後の展開にもつながっているんだな〜としみじみした。
2023年11月
第11次 地下之会 -罪-
千駄木にあるギャラリー幻さんの展示。参加していました。
2023年12月
大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ
新美の展示室まるまる使った個展、なのに入場料タダ。どうなってるの??
なんとなく行ったらやっていて入場無料だったからふらっと入ったところ、とんでもない迫力とボリューム感で完全に頭がバグった。
布が風に吹かれてたゆたっている部屋が本当に気持ちよくて、暗闇の中で20分ぐらい、部屋の奥のベンチに座って眺めていた。擬似的な海。
人の目があるのでやれなかったけれど、本当は床にあぐらをかいてしばらく見ていたかったな。
倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙
インテリアデザイナーの倉俣史朗さんの展示。
重力から解き放たれたデザインを目指したという説明通り、透き通ってたり、スカスカだったり、めちゃくちゃ華奢だったりする不思議な家具だらけで最高!アクリル板の透明感が好きな自分にはたまらない展示だった。
特に、バラの造花が封入された「ミス・ブランチ」は紫寄りのメタリックピンクの脚もあいまってフェティッシュで最高。
発売当時で一脚200万円というのもビビるけど、2022年にサザビーズに出た時は5000万円オーバーだったらしい。すごすぎ。
和食 ~日本の自然、人々の知恵~
これも賛助会員の特典としてもらったチケットで見に行きました。
食事にあんまり興味がない人間だから、楽しめるかなとちょっと心配しつつ見に行った。
構成としては、定番の「他の地域との比較」「自然環境と食文化」みたいな地理学っぽいところから入り、多様な植物や魚類などの生物学的な視点、昔の文献から食事の再現という歴史方面からの考察、現代の和食の地域差を楽しむ文化人類学っぽいアプローチと、角度を変えていろいろに日本の食文化を捉えることができた。
個人的にかなり楽しめたのは、クックパッドさんが協力して、都道府県ごとに特徴的なレシピの検索キーワードをピックアップした展示。
自分のよく知る地域については納得感がある一方、知らない地域だと「これ何?」っていうキーワードもよく出てくる。
で、その状況はどの地域の出身者もだいたい同じっぽくて、同僚に「この前博物館でこういう展示を見て〜…」っていう入りで話を振ってみると8割がた楽しそうに乗ってくれたので楽しかった。
地域差っておもしろがるとおもしろいよね。
去年の振り返りは以上。
空き時間にちまちま書いてたので、気づいたら2月になってしまった……。
2024年もいっぱいいろいろ見に行くぞ〜!
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