見出し画像

【AHIRU LIFE.作者に聞く】やりたいことに素直になったらアヒルが生まれた話

カスタムオーダーのCustoMee(カスタミィ)に作品を展開いただいているクリエイターさんが、なぜクリエイターになったのか、今どんな活動をしていて、今後何を目指すのかを伺うシリーズをスタートします!

第1弾はCustoMeeスタート初期からご参加いただいているAHIRU LIFE.さん
デザインのお仕事を始めた時からAHIRU LIFE.のアヒルさん偶然の誕生、そしてAHIRU LIFE.の世界がどのように描かれているのかまで、ナカシマがお話を伺いました。



1. デザインの仕事を始める

ーー 学校でデザインを勉強されていたのは、やはりその分野に興味があったからでしょうか?

高校は進学校で大学を目指してる子が多かったのですが、私は勉強が好きじゃなくて、子供の頃から絵を描くのが好きだったんですね。何も興味がなくて、受験勉強がしたくないということもあり、推薦でグラフィックデザインの専門学校に行くことにしたんです。

ーー その時は将来イラストを書くイメージがあったんですか?

いえ、ただ絵が好きということだけで、専門学校ではカメラで写真を撮ったり、IllustratorとかPhotoshopの使い方を学んだり、広く浅くという感じで勉強していました。
その後、就職活動に入るのですが、ちょうど就職氷河期に入っていて…デザイン求人がほとんどなかったんです。
しばらく就活はしたのですが、一時期就活を休止して卒業制作に専念したりしました。その後、改めて就活を再開したタイミングで、バッグのデザインの求人に巡り合ったんです。本当にギリギリだったんですけど、タイミング良くデザインの仕事に就くことができました。

バッグって立体ですよね、学校では立体の制作を勉強していないんですけど、いきなりバッグの絵を描き始めないといけなくて(笑)。コンペがよくあって、他社さん含めいろんな企業さんが参加する中、コンペに出して選ばれたらそれを生産する。みたいなことをやって、初めてスクールバッグを作りました。

ーー いきなりバッグのデザインをしないといけないんですね!どんな絵を書くんですか?イメージ図、設計図とかでしょうか?

例えばバッグを正面から見た絵や横から見た絵を作り、生地を指定、刺繍にするのかプリントなのか、ファスナーの色などの指定をしていました。全体図を作って素材を選んで。自社工場が中国にあったので、工場向けの指示書を書いていました。
最初は分からないので、先輩に教えてもらいながらやっていたと思います。工場にパタンナーさんがいたので、こんな感じにしたいという大きさや生地とかを伝えて作ってもらっていました。

ーー その時お仕事はやりがいがありましたか?

はい。2年目くらいにオリエンタルランドさんと結構 密に仕事させてもらうことになったんです。
私が子供の好きそうな絵とか感覚が合うんじゃないかということで、上司が私を指名してくれて、オリエンタルランドのキャラクターのバッグとか、首にかける小さいポーチみたいなものを作りました。
パークに行ったら自分が作ったものが置いてあるのを見て、もうすごく楽しかったです。6年くらいバッグのお仕事をしていました。

2. 転機

ーー そこから次のお仕事に行く転機は何ですか?

転機は、20代にありがちな、新しいことしたいってそれだけでした。
飽きちゃったわけじゃないんですけど、違うことやりたいって思ったんですね。
辞めた時、26か27歳だったんですけど、今しかできない事って何だろうって考えたら、海外旅行しかなくて。海外はバッグメーカーの時に出張で何回か、香港とか中国の工場とか行ったりしてたんですけど、一人旅の経験は国内含め一度もなかったです。
でも、怖いっていうよりも興味の方がすごく大きくて。当時スマホもない時代だったので、旅の本を1冊買って、ヨーロッパに2ヶ月ぐらい、放浪の旅に出たんです。
その時ヨーロッパがなんぞやっていうのはよく分からなかったんですけど、とりあえずイギリスのヒースロー空港に行くチケットと、最初のホテルの予約だけ取って行きました。
お金とクレジットカードと荷物を持ってるだけ、次の日泊まるところはユースホステルに電話をして、空いてたら予約するという感じの旅を2ヶ月くらいしました。

ーー 初めての一人旅ですよね。思い切りがいいですね!

友人からもよく言われます(笑)。2ヶ月間ヨーロッパを周っている間に雑貨屋さんとか、小さくて素敵なショップが多いところを見たんです。イタリアを周った時は、デザイナーさんが作ったアクセサリーのお店を見たりして、アクセサリーのデザインすごく楽しそうだなって思ったんですね。
そういう気持ちで帰国して次の仕事を探す時に、本当にたまたまジュエリーの会社が求人をしてたんです。そこに採用されて、ジュエリーのデザインを始めました。

ーー 最初のバッグのお仕事といい、ジュエリーといい、巡り合わせがありますね。ジュエリーはバッグの時と同じく、また一からのスタートになるのでしょうか?

そうなんです。先輩と二人でチームを組んで、その時私はシルバージュエリー担当になって、また1から先輩に教えてもらいながら勉強しました。私の力を引き出してくれるような先輩で、割と好きなようにデザインをさせてくれました。
そこからジュエリーの会社に2社いたんですけど、また海外に行きたくなって(笑)。全然関係ないんですけど、個人的にフランス語を勉強したいと思うようになって、フランス語圏のカナダのケベック州に行きました。

ーー 今回も転機で海外ですね!

そうなんです。やりたいと思ったことを我慢するタイプではないので、とりあえずやってみようという感じで。
その時は、いずれ海外で暮らしたいと思ってたんです。日本より海外の方が楽しい、面白いってなんとなく思ってました。
でも留学中に、別に海外じゃなくても自分の好きなことであれば国内でもいいんだって思って、漠然と海外は日本より楽しいって思っていたけど、いやそうじゃないぞと、体験して思いました。場所じゃなくて自分が何が好きか考えた時に、デザインが好きだと。

ーー 帰国された後、デザインのお仕事をいくつか経て独立されますが、最後のお仕事ではかなりハードワークをされていましたよね。

最後のジュエリーの会社はアパレルの会社だったんです。アパレルの会社の中にあるジュエリーですね。ありとあらゆる業務を一手にやるっていう感じでした。イベントでの販売とか、ブランドのSNSをやるとか、とにかくできることを最大限でやっていました。
ブランド愛もあったし、売り上げを伸ばさなきゃっていう責任感みたいなものもあって、100%以上の力を出していました。

ーー そのあたりはnoteにも詳しく書かれてますよね。その後体調を崩されて、一旦全てをリセットする決断をされます。結構勇気がいると思うのですが、どうして思い切れたのですか?

それは家族がいたからだと思います。一人だったら難しかったかもしれないです。
仕事を辞めてしばらくは「休む」ということができなくて、家の掃除とかをしていたんです。でも夫が私の状況を見ていて、休むために辞めたんだから、何もしない方がいいってずっと言ってくれたんです。
それでようやく休めるようになって、半年くらいして、リハビリ的な感じでWebの勉強したりとかアルバイトしたりしてました。

3. AHIRU LIFE.誕生

ーー そこからAHIRU LIFE.が生まれるのはどのタイミングだったんですか?

会社を辞めた翌年の5月に、インスタグラムのアカウントを作りました。
イラストのアカウントを作ろうと思って、何のイラストを描くかも決めずに、とりあえず絵を公表すればいいと思っていたので、じゃあ最初は1、2、3みたいな感じで数字を絵にできないかなと思って、それで1を描いたんです。生まれたてという意味で、卵を重ねて1を描いたんですけど、気づいたら1番上の卵から鳥らしきものが出てきてました。
次の日に2を描こうとした時になぜか分からないんですけど、アヒルで2を描いて、何だか知らないけど、アヒルが生まれたんですね。その後もアヒルを描くのがやめられなくなって、それで、アカウントの名前を変えてAHIRU LIFE.っていう名前にしちゃおう、みたいな感じです。

ーー お話を伺っていると、自然体で生活しつつ、あるタイミングで留学とか大きな決断をしていますよね!

そうなんです。子供の時から直感力を信じるタイプだったんですね。 直感を信じると正しい方向に行くって漠然と思ってて、自分の中に眠ってる自分の願望が絶対あると思ってたんです。それがひょっこり顔を出すのがいつのタイミングかってあると思うんですけど、素直に耳を傾けていたら今に至るという感じです。
よくAHIRU LIFE.をどうやって描いてるの?どうやって思いつくの?って聞かれるんですけど、それも頭で考えてるというより、頭の中でイメージしたアヒルさんが勝手に動いているのを、私がなぞって描き出している感じですね。向こうからやってくるというか、自分でもプロセスが分からないんですけど、そういう感覚です。

ーー AHIRU LIFE.の展開についてもう少しお伺いしていきたいのですが、いまAHIRU LIFE.ではどんなグッズを展開されていて、それはどんな基準で選んでいるのでしょうか?

AHIRU LIFE.ってファンの方はご存知だと思うんですけど、あんまりグッズが多くないんですよ。増えちゃうと管理できないっていうのもあるんですけど、私が一度にたくさんデザインを作っていくタイプではなくて、納得する作品を出したいというのが強くて。
あと気を付けているのは、2コマ、3コマで作っている物語は、グッズになると1シーンで切り取られるので、なるべく想像がしやすいものを作るようにしています。
例えば、ちょっとかじられているハート型の角砂糖をコーヒーに入れている絵があるんですよ。入れる前にかじっちゃったんだな、というのを想像できる1シーンを切り出しています。
本も3冊出しているのですが、物語として皆さんに伝えるために本が根幹になっています。

4. AHIRU LIFE.が描く世界

ーー 今後はAHIRU LIFE.をどう展開していきたいという目標はありますか?

私が計画をしないタイプなので、AHIRU LIFE.が今後どうなっていくかは分からなくて、流れに身を任せているという感じです。
ただ、私の世の中に対する、こうであったらいいなということが具現化して絵になっていくという形はたぶん変わらないです。
AHIRU LIFE.の世界は争いがなくて、アヒルさんは不器用でいつもカメレオンくんに助けてもらっているんです。カメレオンくんは何か言うわけではなくて、ただ傍にいるだけで。アヒルさんは不器用なんだけれどもすごく愛のある子で、周りの子もそれを受け入れて助けてあげる存在なんです。
私はそれを描こうと思って描いているわけではないんですけど、こうであってほしいという世界をたぶん望んでいて、AHIRU LIFE.はずっとその世界を描いていくよというのは変わらないと思います。
AHIRU LIFE.って誰かと誰かを比較する世界ではないんです。全員のことを尊重して、それぞれを受け入れることができたらなと思って、それが現れている世界を今後も描いていきたいと思っています。

いかがでしたでしょうか?
AHIRU LIFE.の世界ができるまで、様々なタイミングの巡り合わせと、転機での決断がありました。実はずっとアヒルさんは作者の中にいて、誕生するタイミングを待っていたのかな、と感じるお話でした。
今後アヒルさんがどこに向かうのか、これから描き出される世界がどうなるのか、一緒に旅をするように見ていきたいと思います。(ナカシマ)

AHIRU LIFE.のアヒルさんでグッズのカスタマイズができます。
【カスタマイズのサイトはこちらから↓】


この記事が参加している募集

仕事について話そう

転職体験記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?