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詩「異分子の旅」


僕は地球上における異分子だったと自覚している
誰からも発見されず
名付けられず
無意識という意識の中で生きていた

地球の全てが物珍しかったし
僕の目には異質に見えた
(僕は僕の姿を認知していない。)
自分が一体何者なのか分からずに
ぷかぷかと浮遊していた

仲間が居なかったのである
似たものは居たのだが
僕には縁がなかったのか
無常にも通り過ぎて行った
(人生は さよならの連続だ。)
僕は恐らく透明ではないのだけれど
もしかして…
大事な部分が透き通っていたのだろうか?
だから通過されるのか?
僕が手にしたのは痛みだけで残されたのは無である
(あの日の感情は誰かの手で濾過された。)

あの子が大きく息を吸い込んだ所為で
僕はあの子の体内に吸い込まれていった
(運命は引力である。いきなり吸い寄せられて引き込まれる。何かの膨大な力によって。)
小さくて弱い僕は 抗えない
彼女の渦に飲み込まれて行った

その時
あの子の体の中央辺りで赤く発光している何かを見たのである
僕は自分の運命を知った
あの子の中で溶けていくのである
そこが僕の最終地点
嗚呼
でも
あの赤に溶けていくのなら悪くない
あの子の赤は きっと特別だから
僕は喜んで君の赤に融合した


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