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詩「電灯」



チカチカと
点滅する電灯の中
一部の人間だけが
異変を感じている
電灯の中には
黒い塊が棲んでいた
(そいつは、電灯の中を右往左往している。熱いのか、窒息しそうなのか、もがき苦しんでいる。)

電灯の中の小宇宙
言葉が通じるのか、鳴くのか、意思は通じるのか、分からない
無視ではないのだ
断じて、無視ではない
未知の侵略か
新しい歴史か
このまま放っておいたら
見殺しの果てに報復か
気付いた人々は
辺りをウロウロしている
落ち着かない
落ち着ける筈もない

見えない人々は
当たり前にある幸せな日常に
どっぷりと浸りながらも足早に歩いていた
羨ましい
僕も、そちら側の人間だったのなら
重大な責任を押し付けて
身勝手な幸福を満喫していたというのに…
(新しく出来た角のカフェで新商品の濃厚ショコラフラペチーノを注文していたに違いない。)

電灯の中で苦しそうに動き回る黒色の何か…
苦しんでいるのか、泣いているのか、困惑しているのか
誰にも分からない
時間は刻一刻と過ぎて行く
電灯にヒビが入る

僕らの決断で
地球は破滅するのか
発展するのかが決まる
決めるのは
いつだって
一部の人間だけだ

結論は謎のまま
僕らの腕や足に電灯の破片が突き刺さった
問題をいつも後回しにしてきた
ツケが
こんな所で
巡ってきたのかもしれない

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