自動洗浄トイレ

注意・汚い話をするつもりは毛頭ないけれど、トイレでの話なので、お嫌いな方はお引き取りください。

 私は自動洗浄トイレが嫌いだ。
 センサーだかなんだかで、勝手に流しれくれちゃうアレである。

 私は個室しか利用しない。というのも立ってするのが苦手だから。
 あれは小学5年生くらいのときだったか。立ち小便器で用を足したとき、ふと気づくと履いていたズボンがびしょ濡れになっていた。跳ね返ってくるなんて聞いていない。その後のことは記憶が飛んでいる。
 このことがトラウマで、以降個室を利用することになった。

 話が横道に逸れてしまった。
 きっと誰にも経験があると思う。まだお腹の中にいるなぁ……ということが。
 私はそんなとき、前傾姿勢を取ってお腹に圧力をかける。結構な割合でスッキリするのだが、ここで厄介なのが自動洗浄。
 姿勢が変わってセンサーが反応したからなのか知らんが、流されてしまう。一番身近な今生の別れである。いや、どうしたってもう会えないから、それ以上の別れか。
 別れの瞬間なのだから、もっと穏やかに流れてくれればいいのに、決まって轟音で連れて行ってしまう。あの水しぶきの不快感たるや。

 それでもお腹がスッキリしないので、姿勢を変えてまだまだ粘る。すると、やはりセンサーが反応し、流れる。あぁ~あ、何もしていない水なのにもったいない。

 そんなことを何度か繰り返して、ようやく出る準備が整う。
 立ち上がりズボンを履く。さぁ出るぞというときに、まだ流れていない。なんなんだよっ!
 流れてほしいときに流れず、居てほしいときには去っていく。このうまく行かなさは、人生に通じるものがあるように感じる。

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