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貴景勝の横綱は?

中日が終った。貴景勝は途中出場の朝乃山にいきなり敗れ3敗。横綱は厳しい状況となった。今日の相撲は唸り声も聞こえ後がない必死さが出ていたが土俵際で及ばず。朝乃山の体も厳しく取り直しも妥当に思えたがいずれにせよギリギリの相撲だった。

まだ11~12勝の優勝であればという声もあるが本来横綱の地位は大関として優勝、好成績で即昇進するものではない。横綱として2~3年は本場所を引っ張る、勝星はもちろんのこと、内容も求められる。優勝即横綱であれば横綱審議委員会も不要だろう。何か近年は優勝したことへのご褒美や引き換えに昇進という話が出ているように思ってしまう。安易に横綱取りを本場所の目玉にするのもどうなのか。

横綱候補もまともにおらず、大関を4年維持する貴景勝に縋りたい気持ちもわかる。しかし押ししかできない、組むと三段目並みとも言われる相撲では横綱として前途は厳しいのは明らか。過去押し相撲を得意とした横綱は琴櫻、北勝海などがおり、武蔵丸も突き押しを得意とした。しかし3者とも四つでも制する力量を持ち、北勝海は特に廻し切りの技術に優れていた。武蔵丸は大関時まで突き押し主体であったが限界を悟り、右のかいなを差して出る相撲にチェンジした結果横綱昇進につながった。全くの押し一本はいない。年齢的にもそろそろ限界が来る。27歳は貴乃花が衰退し始めた年齢である。もうチャンスは少ない。

他の大関も勢いが落ちてきた。豊昇龍は豪ノ山戦の態度が問題となって以降不振気味。ベテランの錦木に土俵際で残されバッタリ這う。呆気なかった。錦木はまた好調で三役復帰が見える。
霧島は前2場所より好調のようだが土俵勘に頼っている相撲が多い。両者2敗ながら完敗の印象が目立つ。

元気なのは琴ノ若、熱海富士、玉鷲、一山本あたり。と思ったが琴ノ若が正代に完敗し2敗。中盤から本気を出す正代だがこれは痛い。何かこれという特徴もなく体力で勝ってきたようにも思えるが立ち直ってほしい。熱海富士は先場所に続き動きがいい。大兵ながらよくついていく。玉鷲はこの位置ではまだ力量差があるようだ。鉄人ということか。一山本は1敗で崩れると思われたが引きずらずに7勝1敗の単独トップ。どこまでいく?

今年の新弟子検査合格者数が過去最少の53人というニュース。これまでは不祥事後の2012年の56人が最小だった。今場所は僅かに3人。卒業場所である3月も33人だった。年6場所制後の最多は1963年で375人の受検で250人。この年の初土俵には三重ノ海、旭國、富士桜、天龍といった面々がいる。ちょうど団塊の世代に当たり大鵬柏戸に憧れて角界の門をたたく力士が多かったようだ。1年後の1964年には高見山、金剛、青葉城などがいる。1963年初土俵に多い1946~48年生まれの力士は他にも輪島、魁傑などがおり1970年代の相撲界の主力となった。

以前も書いたが今年5場所の引退力士は

初場所13人
春場所8人
夏場所11人
名古屋場所6人
秋場所19人

計57人。秋場所の多さが目立つ。新弟子検査合格者で出世せず引退も時たまあるのだが単純比較でマイナス3人である。今場所の力士総数は606人。初場所も606人。昨年の87人引退と比較すると減少傾向は緩やかだが入門者は過去最低を記録した。2012年の場合は八百長問題などが大きかったが今回はこれという要因もない。検査基準の撤廃で150センチ、50キロ台でも入門可能と報じられたがどれほどプラスとなるのか。根本的な対策は見えてこない。

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