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いよいよ新入幕優勝?

春場所も佳境だが尊富士の勢いが止まらない。12日は豊昇龍が意地を見せ小手投げ。13日目は若元春に対し双差しの体勢になり一気に走った。プレッシャーどころか大一番に向けてキレが上がっているようだ。大の里も琴ノ若に慌てて走ろうという所小手投げで土俵に這ったが、大栄翔戦は落ち着いて裁き、のど輪で出るところ余裕もっていなして勝利。貫禄まで見えた。

豊昇龍・豪ノ山は豊昇龍が落ち着いて裁く。いよいよ1敗尊富士、3敗豊昇龍・大の里。この3人に絞られた。新入幕優勝もだが、新入幕力士に入幕2場所目が優勝争いに14日目まで残ることも異例。正直先場所崩れた大の里が今場所ここまでやるとは思わなかった。

さらにその上を行くのが尊富士。同じことになるが技能の鋭さが出色で、上位力士に対しても気後れするどころか圧倒している。若元春戦もお馴染みの低い立ち合いから右で踏み込んで左を差した。出るところを右から掬ってその隙に左を巻き替えて双差し、十分になって一気に向正面に出るという最近見られない技能ぶり。尊富士の相撲は勝利を導くプロセスが明確であり無駄がない。豊昇龍はある意味出足を警戒してか右に変わって小手投げに行った。これもギリギリで大関の貫禄を見せるまではならなかった。若元春は三役常連ながら何もできず殆ど遊ばれていた。深刻。

尊富士の相撲は一貫して躍動感がある。体重が144キロというがやはりこれぐらいが適正体重ではないか。霧島豊昇龍も同程度である。白鵬・鶴竜と150キロ台だがこれが限度と言えよう。今は180キロ越えも珍しくなくなったがいかにも太りすぎで動きも大味、単調だ。動きにキレを要する四つは敬遠し押しが多くなるのも必然だろう。やはり体重対策を講じてほしい。

新入幕力士にやすやすと優勝を攫われそうな相撲界。それだけ幕内で可もなく不可もなく停滞する力士が多いのだが今場所はほぼ2人で持っている。もしもいなければどれほど団子の場所となったか。


ひとまずここで尊富士が優勝の場合の記録を整理してみたい。

新入幕初日からの連勝記録
史上最短場所数の幕内優勝 10場所
新入幕優勝 (大正3夏の両國が優勝掲額・優勝制度以降では昭和36夏の佐田の山の3場所が最短)
十両幕内の連続優勝 (大正3春・夏の両國)
新十両の翌場所の幕内優勝 (優勝制度以前では明治21春・夏の小錦、明治31夏・32春の常陸山)
丁髷力士の幕内優勝
幕内初優勝時点での通算黒星最少(年6場所制では琴光喜の59敗が最少か?)
幕内初優勝時点での通算勝率

これまでの記録を可能な範囲で調べたが、昭和以降にはほぼ該当がない。幕内初優勝時点での通算黒星数は両国の場合、本人のインタビューでは関脇までで4だったという。日本相撲史にもあるが幕下までで1敗とある。その後十両で2敗のようだ。ちなみに年2場所時代の栃木山でも18敗である。


両國は美男力士で現在でも人気になったはず


初の大関戦時点の黒星数も8で幕下附出では雅山の6、逸ノ城の10があるが、前相撲からでは最少に違いない。(これまでの最少は把瑠都の16か?)何にしてもこれまでの常識を覆すほどの珍事となる。大の里の優勝でも幾つかの記録は更新される。

尊富士の心境を記事で見ると、人事を尽くして天命を待つといったところか。一体どうなるか。


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