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荒れ狂う春

春場所もいよいよ前半終わりだが新入幕尊富士が単独トップ。新入幕で8連勝は15日制後常の山、大鵬、鷲羽山、佐田の海、貴ノ浪、魁聖に続く。尊富士は落ち着きと技能が光る。過去の連勝者を見ると小兵と大兵に見事に分かれているが尊富士はどちらにも当たらない。ある意味異質なのか。


新入幕の連勝記録は大鵬の11。9日目は阿炎戦で、全く問題にせず9連勝。低い立ち合いで阿炎の突きははまらず、ひいたところすかさずハズで押し出し。阿炎の相撲の軽さが目立った。

ここまで初土俵から8敗というのは驚異だ。最近の力士にありがちなブレがなく、立ち合い低く当たるとそのまま相手を土俵際までもっていく。140キロ程と小柄な部類ながら腰が決まって重量感ある。最近は立ち合い低く当たるよりまず当たって突っ張り合いという相撲が多いだけ尊富士とはやりにくいのではないか。見た目や落ち着きも大ベテラン並みだ。


阿炎の軽さが悪い方に出た。尊富士として絶好の体勢に

1敗の大の里。技量より馬力が目立つ。7日目の阿武咲は大の里の右を非常に警戒し、後退しながらも左を差し土俵際で掬い投げ。相手に研究されるともろさがあるが今はそれ以上に圧力でねじ伏せてる印象だ。三役戦となる若元春にも勝ち8勝。 腰も高く脇も甘いが、何のそので構わず寄り立てる。若元春が左を差しても残すことができず万事休すのあたり三役レベルの力だろう。稀勢の里の若手時代もこのような相撲があった。

棒立ちながら圧力は驚異だ


いよいよ大の里に尊富士。立ち合いが全てか。尊富士が踏み込めば大の里は慌てる。今場所も強引さはあったが何とか勝ってきた。尊富士の出足で腰が伸びるとそのまま持っていかれそうだ。


2敗で貴景勝・琴ノ若・湘南乃海。貴景勝は相変わらず苦しいとはいえ翔猿戦は今場所一番だった。琴ノ若は体力で圧倒する相撲が目立つ。湘南乃海は下位ばかりだが2敗で残る。


豊昇龍は翠富士の肩透かしをいきなり食らい横転。霧島は錦木に何とか勝利し3勝目。錦木相手でも苦労という絶不調。廻しを引かないあたり腕の調子が悪いのか。これが結びというのが今の相撲界を象徴してるようだ。

優勝予想
◎ 琴ノ若・尊富士・大の里
○ 湘南乃海・貴景勝・豊昇龍

尊富士大の里の優勝はないとしたが怪しい。このまま大関陣と当たれば一気の出足で勝利の可能性もある。貴景勝の優勝はないだろうが安定感は随一で優勝争いをかき回す存在にはなるか。3敗まで落ちるのも十分あるか。そうなればいつもの団子レース。


照強引退。幕内の全敗以後不振続きだった。糖尿病が重く、低血糖により休場ということだったが、低血糖の障害が出るあたり深刻。まずは体の回復か。2020年に朝乃山を足取りでひっくり返し、照ノ富士の優勝を援護したのが記憶に残る。


本来ならば空想の世界に近い新入幕力士と入幕2場所目の若手がトップという状況が続く。大関陣も続くとはいえどこか荒れ狂う場所のようだ。





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