『タテ社会と現代日本』

「日本の小集団においては、閉ざされた世界で親しい人たちのなかで事が運ばれる。そうすると、論理よりも感情が優先されます。論理ではなく感情に訴えるほうが説得力を持ちます。[中略]
 小集団内の感情に基づく人間関係は、しばしば共通の目的、仕事の達成よりも優先されます。リーダーと成員の関係がしっくりいかなくなると、仕事を怠ったり、邪魔をしたりする者が出て、組織が分解してしまう。場合によっては、仕事の途中にもかかわらず辞表をたたきつける。そうしてリーダーを困らせ、自尊心が守られる状態に満足するというわけです。
 保護は依存によって応えられ、温情は忠誠によって応えられる。小集団内の人間関係はそれくらい大事なのです。」(中根千枝『タテ社会と現代日本』)

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