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マーシャ戦記①月の使者 ふぉれすとどわあふ

 クマさん星人の猛攻の前に人類軍は風前の灯火、マサコたちももはやこれまでとおもった時、突如天空から閃光が走りクマさん星人の部隊が爆炎とともに蒸発した。
そして空からおびただしい数の巨大人型ロボットと戦闘車輌がパラシュートを開きながら降りてきた。
そのうちの赤い一機がマサコの前に降下するとコックピットが開き、赤髪碧眼の軍服を着た美少女が現れ昇降機を使って地面に降りた。
呆気にとられているマサコに向かって少女は言った。
「私はマーシャ・ヴェリンスキー少将。月駐屯の第666機動歩兵旅団長である。しばらくルナシティでバカンスをしていたがまさか地球がこんなことになっているとはねえ。だが安心したまえ。私が来たからにはクマさん星人など鎧袖一触よ」
「あ、あなたは一体なんなんですか?」
「うむ、私のことなら彼に聞くとよい」
もう一機隣に降りた青いロボットのコックピットが開き銀髪長身の若い男が現れた。
「私が説明しましょう。私は作戦参謀のブリューゲル大佐です。このお方マーシャ・ヴェリンスキー少将は陸軍幼年学校を飛び級で卒業、陸軍士官学校の全過程を僅か1ヶ月半で修了された天才エリートでございます。そして史上最年少の12歳で任官し北方熊戦争において嚇々たる武勲を挙げた英雄なのですが、中央参謀本部に度々軍制改革の意見具申を行うも受け入れられず月駐屯軍の旅団長に左遷されてしまったのです」
「それは余計だ、ブリューゲル大佐。まあ要するにアレだ。出る杭は打たれるというやつだな。もう出世の見込みはないしこうなったら月でのんびりバカンスを楽しもうと団子をかじっていたら、地球が大変という知らせを聞いて慌てて部下を引き連れ地球に降りてきたのだよ」
「そ、そうなんですか」
困惑するマサコ。
「北西30キロのヴィレ平原にクマさん星人の大部隊が集結中。その数およそ5万機!」
偵察部隊からの無線の声がブリューゲル大佐のコックピットに響き渡る。
「ご、5万機!!」
ビックリするマサコとミユちゃん。
「なあに心配ないよ」
そう言ってマサコの肩に手を置くマーシャ少将。
「いや~ぶかぶかの軍服を来た14歳の少女に言われてもねえ」
とミユは言った。
「ふん、君たちはまだ私の勇姿見たことがないからな。まあ見ていてくれたまえ。500対5万か。燃えるなあ」
(ふふふ、今地球防衛軍の主な部隊はほとんど壊滅し、残ってる戦力は私の無傷の一個旅団ぐらいだろう。ここでクマさん星人を撃破し、地球の平和を取り戻した暁には私が武力を背景に軍事独裁政権を樹立。その初代大統領にはこのマーシャちゃんが♪いや~月駐屯軍に左遷されたときは出世の見込みはないと諦めていたがまさかこんな好機が訪れるとはなぁ。おお神よ!地球はこのマーシャのものに♪)

マーシャ少将は無線機のボタンを押すと全軍に指令を下した。
「作戦を伝える。第1機動歩兵大隊はシールドを展開しながら敵の中央を突破。光子榴弾砲部隊は機動歩兵の1キロ全面に榴弾を散布突破を援護しろ。ブリューゲル大佐の機動猟兵大隊は敵の右翼に回り込み包み中央を進撃する第1機動歩兵大隊と包囲の態勢をとれ。敵の左翼後方には電子パズル弾を集中させて動きを封じろ。以上。さて私も紅(くれない)弐号機で出るかな。ふっふっふ。腕が鳴るなあ」
マーシャ少将は不適な笑みを浮かべると紅弐号機のコックピットに乗り込み操縦桿を握った。

マサコは悩んだ。
このままマーシャたちと一緒に攻撃に参加するか?
それともマーシャに攻撃をやめさせクマさん星人と講和を結ぶように説得するか?
それともミユとビルたちとこっそり逃げるか?


見据茶(みすてぃ)さんの話から派生したオリジナルストーリーです。


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