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絶望のメリークリスマス②実践編

 早速私はしんちゃんAIのアドバイス通りクリスマスで賑わう街へ出て美女を物色した。
しばらくすると長い黒髪の足のスラッと長い色白の美人と小柄で丸顔のかわいい感じの女子2人組が通りを歩いてきたので話しかけてみる。
「あのうお姉さん、タマネギ食べれますか?」
「え?タマネギですか?食べれますけど…」
「納豆にはネギ入れる派ですか?」
「え?何の話?納豆?ネギ。入れないよ。面倒くさいし」
「チョコビ食べる?」
「は?チョコビ?あ、もしかしてクレヨンしんちゃんの話してる?ウケる~」
「はい、チョコビどうぞ」
「本当に持ってるしー。面白いね」
「お姉さんお茶するー?」
「お茶?ごめん。今急いでるんだ」
「そっかーそれは残念」
「お兄さんもしかして暇?うちらこれからクリスマスパーティー行くんだけどよかったら一緒に行く?」
「え?行く行くー。」
思わぬ展開にびっくり仰天。恐るべししんちゃんAI。
そういえばお姉さんとお話させろってしんちゃんAIが言ってたっけ?
そう思いながら二人のお姉さんの後をついて行く。
道を曲がって信号機が青になって横断歩道を渡ってイルミネーションの輝く歩道を真っ直ぐ歩きまた曲がってビルの裏道を通っていく。
20分ほどあるいたらその白い洋風の木造の建物があった。
教会だろうか?
玄関に入ると背の高いスーツを着た男の人が突っ立っていて
「お待ちしておりました。阿賀野さま。新木さま。お連れさまですか?」
「うん、さっき知り合ったばかりのお兄さん。なんか暇そうだから連れてきた。あれ?名前なんて言うの?」
咄嗟に偽名のほうがいいと判断し名前の候補を捻り出す。
駄目だ思い付かない。
「えーっと。長宗我部盛男(ちょうそかべもりおです)です。」
「長宗我部さまですね。よくおいでくださいました。ぜひ楽しんで行って下さい」
どうも妙なとこになったぞ。
ドアを開けると教室のようにテーブルと椅子が二脚づつくっついて置かれていてそのほとんどが埋まっていた。
大体50~60人ぐらいはいるだろうか?みんなスーツやドレスの正装をしている。
阿賀野さんと新木さんの後に従い一番後ろの空いてる席に座る。
隣にはボーラーハットを被った男性が座っている。
一番前の壇上の上には横断幕に墨で願望実験世界大会と書かれていた。
しばらくすると一人の初老の男がハゲた額に光を反射しながら壇に登った。
「みなさんようこそおいでくださいました。今年も色々ありましたがこうしてみなさんと無事一緒にクリスマスを迎えられて嬉しくおもいます。来年もみなさんの願望実験のお手伝いを火の玉となって邁進していく所存です。みなさん、この夢野夢次郎今宵のために宇宙エネルギーを増強して参りましたよ。いきますよみなさん。準備はいいですか?せーの」
「ぶりぶり~ぶりぶり~」
みんな両手を天に広げて宇宙エネルギーを洩らすまいとしている。
「ぶりぶり~ぶりぶり~」みんなも一緒に唱和している。
「すいません。ちょっとお腹痛くなったので失礼します」
そう言って私はトイレに行くふりをして会場の外へ出た。
すると受付の長身の男が不思議そうにこちらを見ている。
「あの、お客様退場する場合は会費5万円お支払頂かないと」
「へえ、そうなんですか。知らなかったな~」
そう言って何気なく右手を差し出すと握手と勘違いしたのか向こうも握ってきた。
その瞬間私は男の手を思いっきり引っ張って足を払うとえいっと背負い投げした。
ドスンと男が床に叩きつけられる。
それから私は急いで外へ出るとクリスマスの街を全力で走って逃げ出した。
しんちゃんAIめ~!
なんてクリスマスだ!


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