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冬場の加温温室で手軽に室温を上げるには

はじめに

ベランダで、冬場に画像のようなビニール温室を建てている方は多いと思います。植物は夜に成長しますので、肝心なのは夜温です。適切な加温を行わないと、ただ温室に入れただけでは実は気休めに近くなってしまいます。
多肉植物でもバラの挿木苗でも、その他もろもろの寒さに強くない鉢植えの冬越しのために。


ただ、加温ヒーターを入れないと温室内の室温が上がらずに(夜間は放射冷却で温室の外よりも逆に寒くなるともいいます)、風よけぐらいしか効果はありません。逆に直射の射す日中は温室内の室温が上がりすぎるので、前方を開放することになり、そうなると外気温と同じですから、無加温の温室で効果の得られる時間は限られます。実は気休めに近い、といっても過言ではないと思います。

そこで電気のヒーターの出番になります。このヒーターは堅牢な設計でオススメです。値段もビニール温室本体2つ分ぐらいの金額で、寿命が長いので一度買うと長く使えます。

このヒーターは、同社製のサーモスタットと組み合わせて使うと、温度設定が
できるようになって節電になります。
ところがこの電気ヒーターも、中に温度計を設置してみると分かるのですが、何も囲いをしないで使うと、大して外気温との差が出ません。ヒーターを増設すればいいのでしょうけれども、初期投資としてのヒーター代はともかく、固定費としての月々の電気代がばかにならなくなります。さて、どうしたらいいのでしょうか。

1. 夜温を外気温よりも4℃上げるには

以下では暖地(愛知県名古屋市)を標準にしています。関東から九州にかけての太平洋側(太平洋ベルト地帯)居住の方に当てはまる話になります。
やり方としてはウェブにもよく書かれている話で、段ボール等を使って、温室の底部と背後、日が当たらない側の側面という3面を囲うというものです。こうすることで温室内の室温は4℃前後上がります。日中になっても特に手間が増えるわけではありせんから簡便な代わり、以下に述べる方法に比べると効果は限定的です

2. 夜温を外気温よりも6℃上げるには

第二段階です。ここまでは普通にウェブ上の記事に書かれています。
1.のやり方の効果は限られることから、夜間に上記の3面以外のビニールに覆われているだけだった3面(手前・上部と、陽の当たる側の側面)を古毛布などで覆うというものです

温室の上を毛布で覆った様子

この方法により、温室内の夜温は6℃前後上がります。デメリットは陽射しが遮られることで光合成が妨げられますから、陽がのぼってからしばらくすると毎朝毛布を取り外して、日没前後にまた覆いをするという手間がかかることです。
さらにいえば、12月以降に最低気温が5℃以下まで下がったあとに、6℃分をブーストして5+6=11℃前後ですから、植物の多くが成長できる十数℃の夜温を確保できないことです。その点で以下に述べる方法と違って、意味がないとはいいませんが、依然として効果は限定的です

3. 夜温を外気温よりも10℃上げるには

ここからが本題になります。タイトルは分かりやすいように「10℃」としましたが、実際に使用している実績からすると、プラス11〜12℃程度の加温が可能です(お住まいの地域の外気温にもよります)。

外気温11℃の時に
温室内は21℃に

毛布の断熱効果には限度がありますから、以下の安価な断熱シートを導入します。数百円の商品ですが、優れた断熱性や浮かせられる電気代を考えれば、絶大な効果が出ます。本来はお風呂の浮かせブタの用途のようですが、いろいろに活用できます。

側面の奥を留める
前面の下を留める

3サイズありますので、サイズは温室の奥行きから決めてくださいね。冒頭のビニール温室であれば、以下の一番小さいサイズでいいです。少し余る範囲は、箱型になるように畳んで、シート同士の接合部のヘリをカブらせることで、さらに断熱効果を発揮させます。

実は、上記の1.でも段ボールの代わりにこのシートを使うことができますし、2.でも同様です。それぞれ段ボールや一重の毛布を使った場合よりも、1〜2℃以上温室内の室温を高めることができるはずです。
1.で三方をこちらのシートで固め、残りを日没〜朝の間だけ外側から別の断熱シートをかぶせて、隙間があかないように洗濯バサミ等で要所を留めます。

前面と右側面を覆う

私の場合、冒頭の温室で手前から側面を覆うのには、以下の一番大きいサイズを使っています。

まとめ

これで真冬でも鉢植えから、春先のような芽が伸びだします。単なる冬越しを超えて、加温による季節の先取りという、生産のプロとアマチュアの中間の新しい醍醐味を発見できます。あくまで保温主体の方法で、無理にヒーターの出力に頼っていませんので、大きな節電にもなっていて電気代も最小限で済みます
夜間の植物の成長のための夜温には、20℃もあれば充分なので、私自身はサーモスタットでそれ以上の設定は行っていませんが、上記の「3.」まで徹底した対策を行えば、実際には20℃以上も可能で、25℃とかの加温も可能なのかもしれません。実験してはいませんが、それだけのポテンシャルのある装置に仕上がっていると思います。
皆さんのベランダ・ガーデニングを、ますます豊かなものにしてください!

なお冒頭の画像は、ご紹介したビニール温室メーカーのタカショーさんのものです。

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