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美輪明宏 ㉟

私は真っ当なサラリーマンを20年以上続けた後、商売に手を出して大失敗するのだが、要するに普通の人だ。

しかし、長く生きていればいろいろな人とも付き合うのである。中には芝居関係者も居たし、ミュージシャンもいた、SMの女王様が居たってぜんぜん不思議じゃないのである。

Rさんは女王様だった。美人で、鋭い目をしていた。けれど、話してみると気さくな人で、飲み友になったし、仲間と自宅に招待されて飲み会など何回かする仲になった。

で、彼女の家に美輪明宏のCDがあったのだ。彼女は美輪明宏の大ファンで、私はあまり知らなかったので、Rさんからいろいろ教わった。「ヨイトマケの唄」を初めて聴いたのもその時である。

美輪明宏は本当に凄い人である。これを読まれているあなたは彼にどんな印象を持っているだろうか?

スピリチュアルを口にする怪しい人と、そんな認識しか持っておられないなら、それは間違いである。

まず、何よりお顔がよろしい。

ちょっと整っていると言うより、ハッキリ言って美形である。三島由紀夫、寺山修司が惚れ込んで、絶賛したくらいの本物だ。

そして、類まれなる歌唱力、表現力、ただの美形歌手じゃない、どろどろした人間の怒り、悲しみがある。

彼は1935年長崎に生まれ、10歳の時に被爆しているし、同性愛者としてカミングアウトしたら人気が低迷したり、いろいろな苦労を味わっているのだ。

だから、それは演技力にも当然生きて来る、観るものを圧倒する存在感!!

そして、絶対に舞台の上では手を抜かない、迫真の演技を完璧にやってのける。

彼は天草四郎の生まれ変わりだとか、霊能者だとか自分で言ってはいるけれど、

そんなもの、どうでも良くなるくらい実力がある。

それでいて、とても謙虚なのだ。

畏れ多くも、ダメ元で美輪さんをあるイベントにお誘いしたら、

もちろん断られたのだが、マネージャーの方からとても真摯に対応され、最後の最後まで出られる可能性を考えてくれたのである。

どこの馬の骨とも知れぬ、初めての相手に、こんなに優しい対応してくれるなんて、本当に神様みたいな人だと思った。そこらのインチキ霊能者とは違うのである、

いや、霊能者である事を否定はしないが、霊能者の肩書きなんて美輪さんには、ちっぽけなオマケみたいなものだと思う。

私は大ファンになり、芝居を観に行った。

美輪明宏の芝居を見た事は、私の財産である。


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