見出し画像

冬の大三角を探して。

夜勤の仕事を終えると、いつもマイカーで夜中の街を帰って来る。私が住んでいる所はさほど都会ではないので交通量もまばらだ。

自宅マンションから少し離れた場所に借りている駐車場に車を止める。エンジンを切ると、急に辺りはシンと静まり返る。ほとんどの家の窓の明かりは消え、街灯だけがポツポツと灯っている。

疲れて鉛のように重たい身体を持ち上げ、どっこいしょと車から降りると、外はキンキンに冷えた冷凍庫みたいだ。さっきまで暖房を効かせていた車内との落差に、思わずブルッと身震いする。

あまりの寒さにダウンコートのフードを被り、何気なく空を見上げて、思わず「うわぁ」と叫びそうになる。空気が澄んだ冬の夜空は、めちゃくちゃ星が綺麗だ。白い息を吐きながら、何光年も遠い場所から届いた星の瞬きに、暫し圧倒される。

ふと、高校の時に見た星空の事を思い出した。

それは授業の一環だったのか、それとも天文部の合宿に誘われて参加した、みたいな感じだったのかはっきりとは覚えていないが、とにかく真冬の夜に学校の屋上で天体観測をした事がある。

で、その観測の仕方なのだが、天体望遠鏡などを使うわけではなく、その場で仰向けに寝転がり星を見上げるというものだった。2〜30人の女子高生(女子校だった)が、学校の屋上に散らばり仰向けになっているというのは、なかなか珍しい光景だったと思う。

その時に、オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンで形作られる大きな三角形を冬の大三角と言うのだと、私の隣りで仰向けになっている同級生から教わった。

あの時の自分は、どんな気持ちで星空を見てたっけ。

なんかいろんな事が上手くいかなくて、イライラ、モヤモヤしてた時期だから、素直に綺麗だと思えなかったかも知れないな。  

まあでも昔の私よ、人生色々あるけれど、不器用ながらなんだかんだ乗り越えていけるから大丈夫だ。

その証拠に今はほら、こんなに穏やかな気持ちで星空を見上げている。


記憶を頼りに冬の大三角を探してみる。

あれかな?

多分あれだな。

あれ、という事にしておこう(笑)



この1月、私は再就職をしてから2年目を迎える。

これからもずっと、こんな風に満天の星に感動できる自分でいられたら幸せだなと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?