『かなでの宇宙』(短編小説)

「あれがカシオペア座だよ」
「カシューペ座?」
「カ・シ・オ・ペ ・ア・座」
「えっと、カシューペア座、どれ?」
「ほら、あのマクドナルドみたいな形の・・」
「あった!」

   父が教えてくれたカシオペア座は、奏(かなで)が生まれてはじめて知った星座だった。

   奏が住んでいる街は、四方が山に囲まれた高地にある。“星に近い街”というキャッチフレーズの通り、標高が高く空気も澄んでいて夜になれば

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New Zealand ひとり旅 13日目

旅の話も終盤になってまいりました。
グッと進めていきますよ!

13日目は、
ChristchurchからTekapoへ移動の日。

バスで4時間ほどの距離なんですが、
このバスが朝7時半と8時半の
2本しか出ていません。

これに気づいたのは、なんと前日。笑

出発前に調べた時、
ネットには4時間程度で着くとだけ書いてあり
バスの時刻は調べても出てこなかったから、
また近づいたら調べようと思って

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真夜中の停電

夜に1人、テレビもラジオもyoutubeもないところで、しっかりと自分の思考に浸れた日は、

心がとても健康な日だったと思う。

良くないことばかり考えてしまいそうな 日は、
夜帰宅すると自然とテレビをつけ

中からこちらに向けて届く、
ごちゃ混ぜな色がついた情報に脳を浸して

思考を鈍らせてしまわないといけないから。

20代は時代のお陰で多様な価値観に触れて生きやすくもなり、そして個人的にはと

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「見えなくなっているだけ」

セイヤの心は弾んでいた。
今にも手に届きそうな満天の星空を仰ぎ見て、体がひっくり返りそうになった。
目の前の星に手を伸ばしては掴み、つま先立ちをしながら足が地面から離れそうな感覚だった。

「どれほど広大な宇宙に住んでいるのだろう。」
吸い込まれるような居ても立ってもいられない感じと、果てしなさを前にした無力感に襲われていた。

懐中電灯の明かりがサーチライトのように夜空を走る。
星空好きの高校の

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星空を見上げて

見守っていてほしい星、南十字星。
小学生の頃行ったきりのプラネタリウムに行ってきました。
当時はただきれいとしか思わなかった投影された夜の星空。

大学で文芸を専攻しているせいもあって、ナレーションの、脚本の語彙力には脱帽した。

海の宝石箱、万華鏡のように泳ぐ魚。
南十字星は小さな島から見える星だ。大きな海に浮かぶ、小さな愛らしい島、だとか。南十字星だけではなく彗星や、シリウスなども観ることがで

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星を見上げるとき

星空はたぶん、一度として同じものはないと思う。

サハラ砂漠でのある夜。ガイドのOmarが月明かりの下に連れ出してくれた。月が眩しいほどに輝くんだ、ということを実感したのは、このときだった。一面が光って静かな砂漠でもちっとも怖くなかった。

砂の丘をのぼり、てっぺんに寝っ転がって星空を見上げながら、Omarはこんな話をした;

「昔、おじいちゃんが明け方にひとの形をした星が見えたら、願いが叶うと教

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かささぎの橋

Verse 1

あのこに逢いたいんでしょ?
あなたはだまって、雨降る夜の川を見つめる
だいじょうぶ、それ天の川 
そこに架かる 光る車たちの通る大きな橋をご覧
それはかささぎの橋 

あのこが橋の向こうで笑ってるわ すこやかな顔で
雨を降らせる雲に眼をこらしてご覧
その上にきらきら光る星たち
ね?関係ないの、雨なんか
愛しいものに逢える夜 
だから安心して笑ってよ あのこを

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七月七日の恋人

星降る夜は

ふたりを包み

一年一度の逢瀬

そっと見守る

天上の河のほとり

音もなく誰もいない

ふたりの秘密の場所で

恋人たちは熱く抱きあい

口づけを交わす

時間は限られていて

翌朝の雄鶏が

高らかに時を告げる

その瞬間が

別れのとき

手を取り合い

止めどなく語らうふたり

積もり積もる話は

時を削っていく

不意に

彼女の大きな瞳を

覗き込んだ彼は

愛の言葉を

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