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She is Legend「春眠旅団」

ヘブンバーンズレッド劇中バンド、She is Legend(通称シーレジェ)の2ndアルバム「春眠旅団」が先日リリースされた。とはいえヘブバンというコンテンツの特性上、収録されている楽曲の殆どは知っている曲になる。

しかしアルバムとして発表される以上、それを1つの作品として味わいたい。そうする事で、楽曲達の新たな魅力に気付けるかもしれない。

そんな事を考えて聴いてみたのだが、結果はその通りになった。アルバム単位で聴くのが大正解。

前作「Job for a Rockstar」は取り敢えず劇中歌を集めた、いわゆるベスト盤みたいなイメージがあった。

それに対して今作は、めちゃくちゃコンセプチュアルとまではいかないが、テーマみたいなものがうっすらとあるように思える。全曲にまでとは言えないが、季節までもが狂ってしまった過酷な世界での旅みたいなイメージを感じた。

以下、1曲ずつ簡単に感想を。


1.春眠旅団

旅の始まりを告げる1曲であり唯一の新曲。ジャケットイラストと合わせて、アルバムのムードを端的に表してると思う、というかその為に用意した曲だと思う。とはいえ「孤独の果て」「虚数の海」といったワードを入れてるのは、あくまでヘブバンワールドの曲だよって事なのかなと思った。

2.Heartbreak Syndrome

Extreme Flagツアー中に発表された曲で、ライブ映えを意識してると思う。展開がやたら多いところが好き。「行こう 嵐の海も 広大な銀河が相手でも」という歌詞は、「春眠旅団」からの流れで聞くと、旅のへの覚悟と決意を歌っているように聴こえる。

3.死にゆく季節でぼくは

個人的にシーレジェのアンセムになりうるポテンシャルがあると思っている1曲。2サビのXAIさんのボーカルがめちゃくちゃかっこいい。

4.Long Long Spell

メッセージ性の強い4曲目。ゲーム内のムービーではピンと来なかったけどフルで聴くとグサグサ刺さった。明確に死のうと思ってる奴に、半ば呆れつつも寄り添ってくれるのが良き。2サビの浮遊感漂うシンセが希望を感じさせて好き。

5.Popcorn N' Roses

曲だけならシーレジェの中ではポップな方だと思う。しかし歌詞はかなり殺伐としてる。そのアンバランスさに麻枝を感じる。「真っ赤に咲く燃えるような情熱が今必要」というフレーズが非常にキャッチーで素敵だ。あと地味に麻枝曲ではお馴染み、お腹が空いてる曲でもある。

6.Thank you for Playing ~あなたに出会えてよかった~

2連続サウンドはポップ曲。歌詞は完全に麻枝自身の事だよなぁと思う。正直読めば読むほど面白い。しかしツアーでシーレジェがこの曲を歌った事を、麻枝がヘブバンユーザーへの感謝をシーレジェを通して伝えたと思うとエモさを感じる。

7.How's everything

シーレジェ楽曲では珍しい構成してる。1番だけだと正直盛り上がりにかけるなぁと思ったけど、2サビでこのみん社長がいっきに盛り上げてくれる。このみん社長のボーカルならここが1番好き。間奏挟んでもう1回聴けるかなと思いきや、そのまま終わる肩透かし感が麻枝節だよなぁと思う。おかげで何回も聞いちゃうからね。

8.Autumn Howl

全体的にシンセの音が良い味出してる。1サビ、ラスサビでは切なさを醸し出してるけど、2サビはシンセよりギターを目立たせてかっこよさを演出してる。そして季節を歌う曲でもあり、けっこう前の曲だけどアルバムにしっかりハマってるのが凄い。あと麻枝は定期的に新しい朝を迎えてるイメージがある。

9.放課後のメロディ

みんな大好きな人気曲。曲全体を通して鍵盤の旋律が美しい。そしてサビのエモーショナルなメロディに、「思い出すのは〜」から始まる情景描写が重なり切なさを加速させてる。 サビで同じフレーズを繰り返し情景を歌うのは、大名盤「Long Long Love Song」に収録されてる「Bus Stop」を想起させる。

10.World We Changed

ヒリヒリした緊張感を漂わせるサウンドがたまらない1曲。切ない系の「放課後のメロディ」の後ろに置く事で余計にそう感じさせる曲順がお見事。あとアジカンのDororoっぽい気がする。ラスサビでしれっと転調するのもかっこいい。

11.陽のさす向こうヘ

5章前編で全ヘブバン民に最上の切なさを届けた名曲。アレンジはMANYOさんが担当。完全に茅森をフィーチャーした曲なんだけど、不思議とアルバムの曲として馴染んでる気がする。それは作中の茅森も旅の途中だからなんだろうなぁ。徐々に盛り上がるアレンジと、アウトロのXAIさんのコーラスが壮大かつエモーショナル。

12.起死廻生

疾走感溢れるキラーチューン。ライブを盛り上げる起爆剤的な能力があると思う。けどシーレジェ楽曲は基本的に上がる曲ばかりで、そういう使われ方はあまり無いかもしれないのがもったいない。季節の巡りと魂の仕組みを重ねて歌うこの曲が、春眠旅団の終着点なのではないかと思う。あとそれぞれで新しい朝を迎えてる曲でもある。

13.さよならの速度

果てしない旅を歌うアルバムが、別れを歌う曲で締めくくられる構成が美しい。さよならを、さも当然に過ぎて行く通り雨に例えるの詩的過ぎる。個人的にはアウトロをもう少し伸ばした方が、余韻を感じられて良かったのでは?と思った。


長々と書いてしまいましたがどうでしょうか。

5月からZepp Tour 2024 "We are 春眠旅団"も控え、とどまる所を知らないシーレジェ。

僕は幸いにも名古屋公演のチケットを手に入れる事ができたので、Extreme Flagツアーを経て成長した2人のライブに打ちのめされる日を楽しみにしています。

#シーレジェ #ヘブバン #春眠旅団 #音楽 #アルバムレビュー #ディスクレビュー





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