アレキサンダーズシスター

アレキサンダーズシスター

心もワクワクしてくる陽春、ここ場末のBAR M&Nでは…。

ねねと音ちゃんが、猫じゃらしで遊んでいると、ガシャーン!!ねねが体当たりした観葉植物の鉢植えが壊れた。

しっぽをぽんぽんにして驚いているねねに、申し訳そうな顔の音ちゃん。

「あ!?何してんの!?それ、高かったのに!!」驚いているみつに音ちゃんが、

「弁償するからさー、ごめんよぉー」と。しかしみつは、

「どこにも売ってなくて、ニャマゾンで1個きりしか売ってなかったのを買ったのに!!もー!!」と憤慨する。

「じゃあ、植木鉢を買ってきて、土と植物を直します…」と音ちゃんが言えば、

「それで直れば良いけど、そこまで育てるのにいくら時間がかかったと思って…」

流石のみつもお冠の様。

それでもお客さんはやって来る。

チリンチリン♪

「こんばんはー、ああ忙しい」ジーンズにポロシャツの男性は言った。

「何がそんなに忙しいにゃん?」ねねが聞くと、

「新聞の記事のネタが思い浮かばなくて…。ちょっと机貸してくれる?」

と、男はテーブル席に本とノートを広げ、あーでもない、こーでもないと、カリカリカリカリと字を書き出した。

「何について書いてるにゃん?」不思議そうなねねに、男は、

「ある一族と土地について調べているんだよ」と言った。
「この土地の家は、明治時代に建てられているんだけど、そこのお墓や古文書にはそれ以前の江戸時代のものがあったり、ここから遠くの市にも同じ名前の家があったりするからね、色々調べているところさ。とても興味深いのさ」男が言ったそれに対してねねは、

「うーん、ねねは、ままから産まれて、里親のみつに育てられたから、そんにゃの興味にゃいにゃん」

「ねねちゃんだって、御先祖様の御先祖様が愛し合って産まれたんだよ?」

「でも、ねねは、ままの顔すら覚えてないにゃ」

そう、ねねは、産まれて間もなく、どこかの男の子に拾われて、そこのお母さんに育てられてから、みつが里親になったのだ。

「にゃから、ねねはみつが大好きにゃん」

「うーん」頭をガリガリ掻きながら苦悶する男。

「どうして、M市からA州に来たK家がSに来た??
謎は深まるばかりだ」

「そんにゃの知ってどうするにゃ?」

「僕のルーツを探しているんだよ。
どこから来て、今の僕に繋がってるか」

「ままから産まれたでダメにゃん?」

「んー、御先祖様のことも知りたいんだよね」

「御先祖様がいたとしたって、君は君のままでいいんじゃにゃいの?
ぱぱ、まま、兄弟、君がいて充分にゃん。
御先祖様がいることは有難いけど、御先祖様を供養したら、それだけでも御先祖様は喜ぶにゃんよ?」

「その御先祖様がどこから来たのか…」

「それは、君が考えても仕方ないから、知り合いから聞いたりするといいにゃんよ!!」

「あっ!!何でも知ってる人に聞いてみよう!!」

「それ、いいかもにゃ!!」

「ところで、カクテルとかどうですか?」

今か今かとモジモジしていたみつが言う。

アレキサンダーズシスターとかどうですか?

材料…ドライ・ジン…30ml
   グリーンペパーミント…15ml
   生クリーム…15ml

作り方…材料を充分にシェイカーで、シェイクして、カクテルグラスに注ぐ。

アレキサンダーズシスター、23度甘口の出来上がり。

ミントの香りとクリーミーな味わいで女性にも人気の高いカクテル。

アレキサンダーズシスターの意味は、感受性が強く繊細な意味があり、あまり色々考えずに広い心で物事を考えて欲しいですね。

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