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KEYTALKにハマるきっかけを作った 夢みるアドレセンス「ファンタスティックパレード」

卓越したビジュアルを持つ夢みるアドレセンス(夢アド)が、メジャー4枚目のシングルとして2016年に「ファンタスティックパレード」をリリースした。前稿で紹介したメジャーデビュー曲「Bye Bye My Days」から1年後の曲であった。

この曲は、僕がKEYTALK好きになるきっかけを作ってくれた曲でもある。

「Bye Bye My Days」を聴いて受けたインパクトは前稿でも書いた通りだが、2枚目シングルの「サマーヌード・アドレセンス」も「夢アド=良曲」を印象づけるものだった。真心ブラザーズの名曲のアンサーソングであるこの曲は、大人っぽい雰囲気漂う曲であった。金ピカの衣装をまとい、この曲を歌いこなしていた彼女らの姿は、Bye Bye My Daysで見せた一面とはまた違う魅力があった。「やっぱりモデル出身なだけあるな」そう再確認させられた。

その年の夏に行われたTokyo Idol Festival 2015でも彼女らのパフォーマンスは堂々としたものだった。僕はこの時には夢アドについては名前を知っている程度だったが、ファンの多さやその盛り上がりに気圧された。モデル出身というタグに頼った片手間のアイドルではなく、完成されたアイドルかのように映った。

メジャーデビューから勢いが落ちぬまま、秋には単独ライブ「夢トモの舞ツアー」が開催された。このころに僕は初めて夢アドのライブに行った。このツアーにて、「かわいいだけじゃダメなんですか!?」というキャッチコピーが発表された。確か3択ある中からファン投票で決めたような気がする。ビジュアルレベルの高さはすでに実証済みなので、このコピーにもケチのつけようがない。また、曲も十二分によかったので、「かわいい」だけでないこともすでに知らしめていた。いつの時代も謙虚が良しとされる中、こんな挑戦的なキャッチコピーを掲げられるのは他のアイドルを見渡しても夢アドをおいて他にいなかっただろう。

そして年が明けて春、リリースされたのがこの曲、「ファンタスティックパレード」である。メジャーデビューからファンはどんどん増え、良い楽曲にも恵まれ、と夢アドとしてもこのころは絶好調の時期ではなかっただろうか。そんな夢アドメンバーとファンの心境を表したような、勢いの良い曲である。それまでのシングルで魅せていた「カッコよさ」は振り払っている。我を忘れてとにかくはしゃぎ、踊る。ノリノリなパーティーチューンといった所だろうか。

サビの振り付けでは、腕を動かすだけで良い簡単なものになっている。これはライブハウスで皆が真似して踊るしかないだろう。一見ヘンテコなのだが、夢アドのメンバーが振りを入れるとなぜか様になる。

この曲の作詞作曲は、KEYTALKのボーカル、首藤義勝。
MVについたコメントでも多く書かれていたが、この曲は非常にKEYTALKの「MONSTER DANCE」や「MATSURI BAYASHI」に似ている。ノリのよいギターが乗せるメロディと、どことなく感じる「お祭り」っぽさがこの曲にも共通して有るのが理由だろう。


なにせ「ファンタスティックパレード」という曲名である。お祭りバンド、KEYTALKにふさわしい。KEYTALKの新曲と言われてもなんの違和感もない。皆が真似しやすい振付けからも、アイドルフェスなどで会場中が踊りふける様子がありありとイメージできる。

初めて聴くと何を言っているのか分からない歌詞も、一見「ダサ」く見えるカタカナ語を節々に織り交ぜるKEYTALKの歌詞と近しいものを感じなくもない。

この歌詞も、絶妙な「ダサさ」が出ている。

もう One Time! 気分はマーメイド ビーナス
いくっきゃないね Dan Dan Dance!

「もうOne Time」の所は、一息に歌っているので耳だけを頼りにすると「モーマンタイ」にも聴こえる。この部分は意図せずだったのかも知れないが、言葉遊びの一種のつもりで義勝が書いたのならそれっぽい。

そしてこの曲は、図らずも僕にとってKEYTALKへの入口を開けてくれる曲になった。

ファンタスティックパレードのノリの良さにハマった僕は、ファンのコメントに導かれるように「MONSTER DANCE」を検索した。なるほど確かに似てるな、と思ってKEYTALKの曲も聴き始めるようになったのだった。

面白いことに、KEYTALKのファンの方にもこの曲の存在は知れ渡ったらしく、ファンタスティックパレードをきっかけに夢アドを好きになっていった人もいたらしい。僕とは逆ルートである。

ところで、KEYTALKのなかでも聴く曲の嗜好が変わって来ている。お祭り曲はあまり聴かなくなり、フェスではあまり披露されないような曲ばかりを聴くようになってしまった。
ある種KEYTALKの「陽」が前面に出ているファンタスティックパレードを聴き、これを入口にして親和性の高いMONSTER DANCEなどを聴き始めたのに、出口(?)は違った。

フェスなどで披露されるのはもっぱら明るい曲ばかりなので、せめて一人で聴くときくらいは暗めの曲をもとめているのだろうか。
夢アドに関しても、この曲がリリースされた頃を境にライブに行かなくなってしまった。かと思えば、先週4年半ぶりにイベントに行き、再びハマってしまったのだが。

それはともかく、個人的には「ファンタスティックパレード」はKEYTALKの魅力に気付かせてくれ、ロックを好きにさせてくれた分岐点のような曲であった。


見出し画像: Amazonより


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