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【ライブレポ】夢みるアドレセンス ライブ20201031【手続き記憶】

分類の仕方によりますが、記憶には「宣言記憶」と「手続き記憶」という大きく分けて2種類があります。

◇「宣言記憶」というのはいわゆる「知識」としての記憶で、ここのフォルダにある記憶にかんしては、その内容を口にすることができます。

一方「手続き記憶」というのは「やり方」の記憶で、例えば自転車の乗り方等技能に関する記憶です。言葉では説明することが難しいけれど、身体を動かしてみたらできるものです。厳密には、ここに古典的条件付けなども含めて「非宣言記憶」と称するらしいのですが、語感のなんとなくの良さから「手続き記憶」とします。◇

ライブレポのくせになんで記憶の話を冒頭に持ち込んだのか。

この日のライブで僕は、「手続き記憶」を呼び起こされたからです。

10月31日(土)に、夢みるアドレセンス(夢アド)のワンマンライブ、「YUMEADO HALLOWEEN “20201031”」に行ってきました。
グループとしては、8月以来のワンマンライブです。
冒頭の話に触れつつ、ライブレポに移ろうと思います。

今回のライブ会場は秋葉原駅からほど近い「AKIBAカルチャーズ劇場」。
この会場を使うアーティストは、アイドルや声優など限定的で、地下アイドルファンにとってはおなじみの会場です。
地下アイドルにハマっていた4,5年前にはよく行った会場なのですが、それ以来でした。

「AKIBAカルチャーズゾーン」の地下1階にあるこの会場。当時の記憶では、階下に通じる長い長い階段があり、開場を待って整理番号順に並んだファンの列が、地上1階付近まで伸びている、というイメージでした。
しかし今回行ってみると存外階段も短く、開場ぎりぎりに行きましたがファンでごった返しているという感じでもありませんでした。

宣言記憶を思い切り間違えていたというのもありますが、本来のキャパの1/3しか入れていないから、という理由も大いにありそうです。
感染症対策のために300キャパの会場に100人しか入れていないため、開演前にロビーに集まった人数が明らかに少ないです。

新生夢アドとなってからは、僕が夢アドのライブ・イベントに行くのはこれで3回目です。
新体制となってから1年近く経っているのに「新生」というのもどうなのかとは思いますが、それまでの体制との区別のため、便宜上こう呼ばせてもらいます。

夢アドはグループとしてはデビューから8年目なのですが、そのうち後半の期間はメンバーの脱退加入が何回もありました。僕はそんなメンバーの変遷が起こる直前、2015年から2016年春にかけてはライブにもよく行っていたのですが、当時通っていた大学の忙しさも理由に、それ以降はぱたりと行かなくなってしまいました。

昨年末、夢アドはオリジナルメンバーが全員いなくなり、新メンバー2人を加えた新体制として生まれ変わりました。
僕もSNSで情報だけはチェックしていて、特に新メンバーとして加入した鳴海寿莉亜さんという方が気になっていました。ライブに行く機会をうかがっていたのですが、コロナの関係もありなかなか実現しませんでした。しかし今年の9/30に新体制初のアルバムがリリースされ、リリースイベントも頻繁に行われていたということで、ちょうどいい機会だからと顔を出した所再びハマってしまって今に至ります。

そのことは、以前のイベントレポにも書きました。良ければご覧ください。

4,5年前に行っていたライブに再び行き始めた、いわば「復帰組」なわけですが、正直これまで行った2回のリリースイベントのミニライブでは、ノリ切れていない部分がありました。
初めて聴く曲でも「これいいな」と思うことはもちろんあったのですが、まだライブを完全に楽しめたとは言えませんでした。

というのも、フリコピや腕を上げるなどのアクションをまるでしなかったのです。
アイドルファンの間では共通言語の「地蔵」という状態です。お地蔵さんのように、動かない。

アイドルのライブではよく、メンバーが曲中で「フリコピ」をするようにファンをあおってくれることがあります。
僕が行ったミニライブでも、それこそ鳴海さんがファンに向けて「アオリ」をしてくれたのですが、恥ずかしさなどもありなかなか腕を上げることができませんでした。
以前ライブに行っていたとはいえ、それもかなり前のことなので、「見知らぬ庭にお邪魔している」感をぬぐい切れなかったのかなと思っています。

ーーー

ライブ本編へ

もう3回目だしそんな心は捨てて楽しもうと臨んだのが今回のライブです。
ライブ本編に移ります。

新アルバム「SUPER JET SUPER」収録の「ROMANTIC SPECIAL」という曲で今回のライブの幕が上がりました。
アルバムがリリースされてから1カ月。
このアルバムのリリースイベントを機に夢アドへの熱が再燃した僕は、かなりのペースでアルバムを聴いていました。
この曲ももちろん何回も聴きました。
すごくいい曲だとは思うし、真似できる簡単な振りがあるのも承知しているのですが、ここでもフリコピはやはり遠慮してしまっていました。

十分にノリきれないまま、続いて披露されたのが「おしえてシュレディンガー」。
以前の投稿で書いた、「ファンタスティックパレード」と共にダブルA面を飾った曲です。

この曲は2016年4月27日リリース。僕が夢アドのライブから足が遠のく直前にリリースされた曲です。

この「おしえてシュレディンガー」が、冒頭で書いた僕の「手続き記憶」を呼び起こし、心の中に残っていた変な「遠慮」を取り除いてくれました。

◆おしえてシュレディンガー MV

エスニック風な、不思議な感覚になるギターのイントロ、続いて猫の手をしたメンバーの「ウッハッ」という掛け声。

特徴的なこれらのイントロを聴いた瞬間、しかし曲名はなかなか思い出せませんでした。
宣言記憶としては一瞬無くしてしまったわけですが、手続き記憶としての身体は覚えていました。曲の振り付けで自然と腕が上がります。
身体が勝手に動き出す、というのはよく使われる表現ですが、まさにそれに近い感覚でした。

そこからは、もう変な遠慮はせずに楽しむことができました。
簡単なものであってもフリコピをすることで、一体感やよりステージに没入できるような感覚を得られます。

以降のセットリストでは「HELLO HELLO HELLO」といったライブで初披露の曲もありましたが、振りを知っているとか知らないとかの問題ではなく、「おしえてシュレディンガー」をきっかけに心のタガが外れたような気がします。

4曲目に披露された「ファンタスティックパレード」は、以前の投稿でも紹介しました。

◆ファンタスティックパレード MV

KEYTALKの首藤義勝が作詞作曲しており、この曲をきっかけにKEYTALKにハマっていったという思い出があります。
この曲に関しては、改めて特筆するまでもないでしょう。
一気に会場の熱量を上げることができる、パーティーチューンとしてこの上ない曲です。
2016年のリリースから今まで、ライブで披露されていないのを探すほうが難しいのではないでしょうか。確かめたわけではありませんがそのくらい、メンバーファン共に人気のある曲です。

続いて披露された「ドレミ」は、新生夢アドでリリースされた曲です。
大きなうねりこそ生みませんが、盛り上がりに一役勝っているし何より良い曲です。この曲でもフリコピしやすい振りが多いです。
以前の投稿でも書きました。

◆ドレミ MV

最後の曲は「SUPER JET SUPER」。アルバムの表題曲でもあり、アルバムの一番最後を締める曲でもあります。いままで僕が行った2回のリリースイベントのミニライブでも最後に披露されていましたが、今回のような長尺のワンマンライブの最後を飾るにしても十分良い曲だなと思います。

最後にふさわしいと思う理由はよくわからないのですが、イントロのギターソロが少しの哀愁を漂わせることでラストをなんとなく想起させること、一方で曲本編としては明るく、気分よく終われることなどでしょうか。

レビューを書く書くと言っておきながらまだ手を付けていませんが、新生夢アドの象徴的な曲として、今後もぜひ大事にしてほしい曲です。

ーーー

アンコール

アンコール一曲目には「キャンディちゃん」。これは夢アドのインディーズ時代の曲ですが、サビでは「指さし」の振りもあることなどから盛り上がり、長らく人気曲です。

こちらも、「手続き記憶」が出てきました。「キャンディちゃん」はとりわけ真似しやすい振りが多く、フリコピの余地が大きいのですが、身体が動くままに「キャンディちゃん」とやっていました。

オンラインライブ、そして制限有りの有観客ライブという新しい様式のライブに行き始めてから思うのは、「コール」が無いことの物足りなさです。
「オーイング」など、フリコピだけでなくコールも豊富な「キャンディちゃん」が披露された時もまた、同じような気分でした。もちろん座りながらでも、先述したフリコピで十分楽しめますし、個人的には懐かしさを呼び起こすという意味でも、「キャンディちゃん」は心にガンガン響いてくるものがありました。

けれども、です。欲張りなことに、楽しめば楽しむほどにコールは欲しいなとも思ってしまいます。
Bメロのオーイング懐かしいな。ここでコールはないとな。そんなことを考えてもしまいました。もう少しの我慢でしょうか。

アンコールラストの曲は、「メロンソーダ」でした。
僕にとっては生で見るのは初めての曲でした。
どこかAKBぽいです。曲調もそうですし、アイドル目線という歌詞の設定や、その内容からも強く感じます。
サビの、皆で一列になって列車ごっこするような振付は楽しそうです。

◆メロンソーダ MV

ライブ全体を通すと、山口さんと山下さんの表情の豊かさと言いましょうか、見ているこちらが楽しくなってくるような表情がすごいと感じます。経験値からくる余裕なのでしょうかね。

ーーー

最後に、このライブにおいて触れるべくは、メンバーのコスプレです。
ライブ開催日がハロウィン当日ということで、メンバーそれぞれが選んだ仮装を披露してくれました。

メンバー4人の仮装は以下の通りです。

◆山口さん パンダ
◆山下さん 女医さん(ピンク)
◆鳴海さん キョンシー
◆白川さん メイド服

とりわけ山下さんと白川さんは、「ザ・アイドル」といった仮装です。
今日日のアイドルでも、王道過ぎてむしろ避けそうなチョイスです。
これを着られてしかも画になる、というのがすごいです。
またまた陳腐な表現を使いますが、とりわけ白川さんは登場した時点でもう「優勝」でした。
ライブ後の特典会では当然のようにチェキ列に並びました。

山口さんは、「パンダ」とあるのですがパンダの被り物でした。
イメージとしては、口を大きく開けたパンダに頭をすっぽりと食べられているかんじでしょうか。その被り物の鼻以上の部分が大きく、踊っていても重心がふらつきそうです。
説明よりご本人のツイートを見ていただいたほうが早いでしょう。

この被り物は、ただでさえスタイルの良い山口さんの身長をさらに押し上げていました。
もちろんこれ自体も面白く、後半になってあまりの暑さに被り物を外すまではパンダを目で追っていました。

他アイドルの話題を持ち出して恐縮なのですが、同様にメンバーが思い思いの仮装をして、2週間程前にライブをした東京パフォーマンスドール(TPD)のことを思い出していました。

TPDのメンバーは、白川さんがしていたようなメイド服はチョイスしないだろうし、逆に夢アドのメンバーは、TPDメンバーの上西星来さんが着ていた「天下無敵」の特攻服を選択肢に入れることはないでしょう。
各グループの色の違いを明確に感じます。

ーーー

セットリストはこちらです。
記憶を呼び起こそうとしたのですが、あまりに頼りなかったので結局ファンの方のツイートを参照しました。

【YUMEADO HALLOWEEN 20201031 セットリスト】
M1. ROMANTIC SPECIAL(AL収録)
M2. おしえてシュレディンガー
~MC~
M3. HELLO HELLO HELLO(AL収録)
M4. ファンタスティックパレード
M5. ドレミ(AL収録)
M6. HEY JOHN(AL収録)
M7. SUPER JET SUPER(AL収録)
EN1. キャンディちゃん
~MC~
EN2. メロンソーダ

45分間があっという間の、熱のあるライブでした。
クローズドな空間で行われるワンマンライブはやはり良いものです。
インストアのように簡単なパーテーションで区切られただけの空間ではないため、音がしっかりと聴こえるだけでなく心理的にも入り込みやすくなります。

ライブレポは以上です。
ライブ・特典会も終わり、電車が最寄りの駅についた頃には既に、日も暮れかかっていました。半袖短パンという格好でパピコをくわえる小学生低学年くらいの男の子を横目に見ながら、寒空の下を帰るときの気持ちはしかしなかなかに充実したものでした。

◆見出し画像出典


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