見出し画像

秋の空に雲 母の乳房よ #毎週ショートショート#短歌


鳥群れて
時計回りに
弧を描く

秋の空に雲
母の乳房よ




初穂の稲の刈り入れどきは農家にとっては忙しい時期、ましてや明日が雨となれば尚更で、父も母も朝から晩まで精を出す。母は、赤ん坊のオムツを取り替えるか、赤ん坊(弟)にお乳を飲ませる時ぐらいしか休んでいない。僕は畦道で遊びながら、鳥の群れが列をなして渡っていく姿をひとり見上げている。それは、一列に列をなしたり、順序を入れ替えるのか、弧を描くように飛んでいる。秋の空に浮かぶ茜に染まるひつじ雲は、明日は雨だよと知らせているからか、鳥も、急げ、急げ、とばかりかりに何羽も群れをなして飛ぶ姿。あの群れの中には、母さん鳥も父さん鳥も子どもの鳥もいるのだろうか。夕暮れの山々の先の空まで見つめていると、やがて父さんと母さんの手元も暗くなってきた「さぁ、もう帰ろうかぁ」と父さんの声。母さんは、荷を運ぶ手伝いをする僕を「ありがとうね」と言いながらその胸に優しく抱いてくれました。僕は照れてかけ出して仕舞ったけれど、母のたわわな乳房が、くすぐったいほど温かかった。ひとり遊びに疲れた僕の淋しい気持ちをあの渡り鳥の群れが、優しく包んで行ってくれたのだろう。



棚田は、山の斜面に作らられて、段々になっている田んぼです。
その情景は素晴らしく、美しい景色でありますが、一つ一つの田が小さいために、刈り入れのための重機などは入れることは出来ません。
稲の一束一束を手作業で、今も刈り入れていくのです。


最後までお読みいただきありがとうございました。
今回もたらはかに 様 の企画に参加させていただきました。

だけど…ショートショートが書けなかったので、勝手に短歌で参加しております(汗)ごめんなさい。
皆様の力作を拝読しに伺います。楽しみです。

たらはかに 様
皆様との交流の場をつくって下さりありがとうございます。





この記事が参加している募集

今日の短歌

最後まで読んでくださりありがとうございます。 もしよろしければ、サポートして頂けると嬉しいです。 記事を書くための書籍購入に使わせていただきます。