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娘の寝かしつけをかってでて。#読む時間#シロクマ文芸部

「読む時間はおやすみの時間と言うことだからね、絵本を読み終わったら寝ないと明日の朝ちゃんと起きれないぞ。」
私は娘と約束してから、寝かしつけのための絵本を手に取って読みはじめた。

マイケルローゼン再話 ヘレンオクセンバリー絵 山口文生の訳
『きょうはみんなでクマがりだ』評論社

どれどれと絵本を開くと、家族みんなでクマ狩りにいくお話し。しかも普通の家族で赤ちゃんまでいるぞ。フフフこれは愉快だ、しかも言葉のリズムが堪らない♪そして最後の落ちはこうなるよなと納得しながらアハハと笑うと、布団の中の娘の目も絵本の冒険劇に興奮して笑っている。しまった、ついつい夢中になってしまった。今度こそ娘を寝かせるぞと、もう1冊絵本を選ぶ。

トルストイ作 バスネツォフ絵 おがさわらとよき訳
『3びきのくま』福音館書店。

なんだか絵にも味がある。どんな話しかと読み進める。森で迷子になったお嬢さんが小さな家を見つけました、家の人は出掛けているらしく誰もいません。お嬢さんは休ませていただこうと家に入ってみる。なるほど、そこにクマの親子が帰ってくるという話しだな。よっし、それなら声色も変えてみるかと俄然がぜんやる気を出し、最後はお嬢さんの声も可愛らしく演じてみせた。我が家のお嬢さんはと言うとますます目が覚めてしまいそう。いかん、これでは寝かしつけどころではないぞ、大役が役不足で終わって仕舞う。

子どもの寝かしつけに悪戦苦闘している私は、働き盛りの会社員。毎日残業続きで平日は子育てのほとんどを妻に任せっきり。
「今時の子育てとは程遠いい我が家。だけど働かないと家族を養っていけない。」
せめて休日は少しでも妻にゆっくりしてもらおうと、買って出たのが娘の寝かしつけ。日中は公園で遊んでクタクタに疲れた娘なら1冊せめて2冊も読めば寝てくれるだろうとたかを括った読み聞かせ。父親としてのプライドもあるからギブアップだけはしたくない。さて、今度こそはと絵本を手に取った。

フィービ・ウォージントン作・絵 セルビ・うぉージントン作・絵 まさき るりこ訳
『パンやの くまさん』福音館書店。

可愛らしい小さなくまさんの淡々とパン屋の仕事をこなすお話しは、きっと眠気を誘うだろう。絵本は優しい色づかいで細かいところも丁寧に描かれている。クマさんはパン屋と言う自分の仕事を愛し、町の人々の役に立っていることを喜んでいる。穏やかなくまさんの姿、しっかりとお代を受け取り誇りを持ってこなす仕事ぶり、そして夜はゆっくりと過ごし、グッスリと眠りにつくための心の準備。

くまさんの淡々と仕事をこなす話しは、無表情に仕事をする話しではなかった。そこには細やかな愛情が詰まった心優しい仕事の話しだった。

思えば、自分の身の丈以上に頑張ってきた。成果に縛られるのではなく客のニーズに応えたかったのに。『出来ない自分もありのままの自分』と人には言えた。もう心が壊れる前に自分をねぎらいたい。

くまさん、気づかせてくれてありがとう。




気がつくとスヤスヤと眠りについていた。

「パパ、先に寝ないで〜もう1冊読んで〜」とゆらす声は、まどろむわたしの意識を彼方の世界へと連れてゆく。

「あなた、いつもお疲れ様。ありがとう。」と妻がその腕に抱いた赤ん坊をおろしてから、そっと掛けてくれた布団は温かく私をつつんでくれた。



家族を守りたい。
だからこそ、自分自身を大切にしなければ…。








最後までお読みいただきありがとうございます。
本文に出てくる絵本は、どれもわたしのお気に入りの絵本を紹介させていただきました。図書館などにお寄りの際は是非お手に取ってみて下さいね。

『3びきのくま』は、色々な出版社から刊行されておりますが、わたくしの個人的なお気に入りは福音館書店のバスネツォフさんが描く絵本の世界です(個人的感想ですみません)
どの方もとても素晴らしい絵本の世界を描いております。
物語の世界を出版社ごとに読み比べるてみるのも楽しみの一つですね。


こちらの作品は、
小牧幸助 様 のサイト
シロクマ文芸部の今週のお題に参加させていただきました。
素敵な企画、素敵な出会いをありがとうございます。

タイトルのイラストは
よみん@ぷくりいぬ更新中 様 のイラストを使わせていただきました。
よみん@ぷくりいぬ更新中 様 ありがとうございます。

本文中の絵本の紹介










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