見出し画像

澤田ちゃん高山を救ってくれ。



「わたしの何を聞きたいのさ…職場の事務所がブラックで、辛くて1ヶ月で辞めたヘタレ人間ですよ。」と言いながら右隣に座る高山に姿勢を正して話始める。

「高山くん、わたし達は、普通に暮らしたいし、お金に苦労もしたくない…
格差社会、潜在的貧困、確かに色々あるんだよ…そしてこの格差は簡単には縮まらない。だけどわたし達が住んでいるこの街は、結局肉体労働者が汗水流して創っている街なんだ。
高山くんだって油にまみれてバイクを整備し、それに対して代価をもらっている、その代価には消費税が入っていて国に税を納めている。
その税金を使ってリアルに隣のおじいちゃんを助けり、
路地裏の子ども達が育ちやすい国づくりの一役も買っている。
高山くんの仕事ぶりは経済を回している…人もお金も国も動かしているんだよ、もっと自信を持っていいよ。ほんと君はいい奴だんだから。」

そうだね澤田ちゃん、澤田ちゃんは優しい。特に高山に関しては誰よりも優しい。
この愛おしい澤田を抱きしめたくて抱き付かずにはいられなかった。

「路瑠、酔っている?みんな気を付けて、路瑠は酔うとキス魔になるからね!」
誤解です。わたしは酔っ払うと確かにキス魔ですが、女の子にしかキスしたことがありません。
酔っ払う路瑠の相手をしながら澤田ちゃんは高山に語り続ける

「高山くんは自信を持っていい。
学歴のことも言っていたけれど、そんなこと気にしないで。
君は興味のあることは『これはどうしてこうなったのだろう?』
『どうやって出来ているのだろう?』ってすぐに調べたり先輩に聞いたりするでしょ?それと整備中のバイクの不調には音や振動に耳を傾けて
めちゃめちゃバイクと対話して原因を探っているじゃん。
わたしは高山がバイクが好きで熱く熱心に話す姿に感動しているんだよ。
だから決して、会話や人間性に厚みがないとか、薄っぺらな会話しか出来ない奴じゃない。」アドバイスする澤田に
「うんうん」と頷く高山。



『どこの学校を出た』とか、
『あそこの学校を出た人にはかなわない』なんて気にしない。

人と物とに対話して『深く、深く、探っていく』
そんなことが出来たら人の厚みも増してくる。


『君はもうそのままで大丈夫』意欲的だし、やり抜く力も、社会性も持っている。

もう絵里でなくてもいいんじゃない?
君の隣に君以上に君を理解している友がいるよ。
そんな風に思いながら今日は言わすに引っ込めた言葉。

飲もうよ、高山、出し切ろうよ。
自分の思いや心に溜めている感情を言葉に出さなきゃやってられない。
そうだよ、出せて良かった、出さなきゃ前に進めない。










『僕の中に路瑠がいる』の作品中の一部分と執筆過程でカットした文章箇所
も入れて投稿いたしました。

路瑠の青春を楽しんでいただけたらと思います。
その後の路瑠は、結婚、出産、倒産、そして
病に倒れた夫を懸命に支えて生きて行きます。

これは家族に恋した、恋愛小説です(と思って投稿しました。)

↓  『僕の中に路瑠がいる』 ↓


最後まで読んでくださりありがとうございます。 もしよろしければ、サポートして頂けると嬉しいです。 記事を書くための書籍購入に使わせていただきます。