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わたしのなかの沖縄・宮古

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書くこと生きること

宮古毎日新聞 2021年10月26日掲載

頭の中にぽこぽこと泡のように浮かぶことなどをノートの端っこに書き始めてから、どのくらい経つだろう。これまでに出会った恩人たちの顔が胸をよぎる。

中高校生の頃、当時読んでいた少女向けのファッション雑誌編集者が憧れの職業だった。その後、東京の私大への進学が決まった。宮古高校の渡真利清太郎先生や友利昭子先生からは、ずっと書き続けなさいと激励を受け、何事も中途

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だいじょーぶ

Yoricoさま

思えばカナダでYoricoさんがハリウッド制作のドラマ『SHOGUN』の撮影真っ最中に始まった、往復書簡のようなやりとり。昨年は、なかなかお返事を書けぬまま時間だけが過ぎてしまいました。読み返すと、あれからほんとうにいろんなことがあったのですね。そしてお互いになんとか元気を取り戻しつつ、ついに今月は『SHOGUN』が全世界配信される運びに。本当におめでとうございます。
Yor

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本ダーリの日々(1):心ある人に見せはや

わたしは昨年4月から異動した勤務先で郷土資料のエリアを担当していて、その前に勤めていた期間もあわせると通算6年になります。郷土担当は、レファレンスという調べもののお手伝いのような業務もなかなか大変で、それだからこそ探せたときの喜びも他に得難いものです。

郷土資料に触れていると、なにかとてつもない力で「よばれて」いるような気がする体験も多く、沖縄では神懸かり、神様に取り憑かれた状態をあらわす「神ダ

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私の2022 10の想い出

年々忘れっぽくなっているので、2022年は備忘録として書いておきます。
まだいろんなことがあったのですが、特に印象に残ったこと。
関わってくださった皆々様に心からの感謝を申し上げます。

1.本を扱う公共施設に3年ぶりに異動できたこと

2.映画『サンマデモクラシー』で注目を集めた下里恵良(ラッパ)さんのご遺族にご了解をいただき古い書籍を電子化、電子図書館でも読めるようになったこと。その映画を監督

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行く先々を 和やけむ  ―外間守善さんと平良マツさんのこと ほか―

行く先々を 和やけむ  ―外間守善さんと平良マツさんのこと ほか―

Yoricoさん、ryo_kingさん

まずは、外間守善さんの名著『沖縄の食文化』、復刊おめでとうございます。
Yoricoさんがこの本をTwitterでご紹介されたことが、なんと、外間守善さん没後10年、沖縄の復帰50年の今年、ちくま学芸文庫からの復刊に繋がるとは…! Yoricoさんや沖縄っ子の皆さんが、地道に「沖縄スタディ」を進めてきた中での嬉しい一件ですね。

先日のおふたりのnoteか

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サリーに首ったけ(ありんくりん応援)There's something about Sally

https://note.com/noranecotv/n/nbb5a9d5810d5

Yoricoさん

このごろなかなか自分の思いを文章にまとめるのが上手くできなくて、以前のお返事も中途半端なままで失礼しております。

前回、Yoricoさんが沖縄や宮古のことについて結びの文に「この島にしかない愛くるしさ」という表現をされていたのが印象的で、最近そのことをふと思い出すようなキャラクターに出会

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夏の終わりの扉

Yoricoさん

今回のお便りは、少しずつ書き足していきますので不完全版(ふくゎんじぇんぶゎん ←昔のボーダーインクの雑誌Wanderの真似)としてお読みくださいね。なかなか最近、長い文章が書けなくなってしまいました。息をするように文章を綴れるYoricoさん、すごいなあといつも思います。

満天の星を一緒に眺めたことは、この夏に体験したふたつの印象的な個人的イベントのひとつとして心にずっと残る

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『パイナップル ツアーズ』と私

「ネーネー、幾つね?何年生?」
頭にタオルを巻き、ニッカーボッカ姿のヒゲ面のおじさんは、私にこう聞いた。
「えっと…昭和45年生(生まれ)です。」
「じゃあ、自分たちブーリャさいが(同級生だね)!」
よく見ると、顔のシワはペンで描かれたものだった。
極太に塗った眉毛の下に、いたずらそうな瞳が輝いていた。
それが、社会人一年生の23歳の頃だったか、コザの笑築過激団で人気キャラクター「川満シェンシェー

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ひと復習い(続・ゆうなの花に寄せて)

Yoricoさん

弥生の月、Yoricoさんのお誕生月だったというのに、まともに返信も書けず御無沙汰しておりました。きょう、ふとYoricoさんのライブ配信を観て、素敵な笑顔と柔らかな陽光に少し気持ちが明るくなりました。カナダでの撮影は順調でしょうか。そしてもうすぐ、4月9日からは洞口依子さんの主演映画『終点は海』も下北沢トリウッドで劇場公開が始まるのですね。

コロナにはなんとしても関わるまい

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お菓子と娘

Yoricoさん

 前回お返事をいただいてから、かなり時間が経ってしまいました。その間にロシアとウクライナの間では大変なことが起こり、遠いバンクーバーでYoricoさんもきっと胸を痛めているのではないかと気がかりです。

 朝、目を覚ましてしばらくしてからスマホの世界時計を見ると、バンクーバーは昨日の午後3時でした。ちょうど宮古の言葉でいうなら「チョーキ(おやつ)」の時間です。チョーキ(チャウキ

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甘蔗(きび)の尾花の出揃ひて

 Yoricoさん、返信がすっかり遅くなってしまいました。
 こちらはここ二、三日雨が続いています。沖縄って梅雨の時期にはそこまで降らず、代わりに冬にだらだらと雨続きの日が多いような気がします。

 一月の宮古は製糖期で、雨の合間をぬってサトウキビの収穫が行われます。市街地に住んで職場と家の往復をしている昨今、なかなかその様子を見ることができないのですが、少し車を走らせると、あちらこちらの畑で刈り

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父の近くで暮らせば

父の近くで暮らせば

 三人姉妹の真ん中で、姉のように時には叩かれて厳しく躾けられたほどの記憶もなければ、末っ子の妹のように可愛がられた記憶もない。わりと野放し状態で、甘やかされていたとは思う。

 だから父母に対する愛情は、きょうだいの中では薄いと自覚してきた。それが、五十路を迎えて母が逝ったこの頃では、二日にいっぺんほどは顔を出す。コロナの蔓延や寒さもあって、買い出しをできるだけするようにしている。ヘルパーさんやお

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孤高の百合

 「あなたって、本当に不思議な人ね!私の人生の節目に、いつも現れてくれるの!」 

 T先生は、うふふっと笑った。 

 高校のとき現代国語を教わった先生。つねに口元に穏やかな笑みをたたえていた。

 小学3年生の頃、クラスに小柄で色白なKくんというかわいらしい男の子がいた。ある日私は、その子の身体的な特徴を呼び掛けてしまったことがある。担任に呼ばれ「Kくんのお母さんがかなしんでいましたよ」と注意

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月と不死と蛇と

2013年01月02日21:46 mixi日記より転載

 本日1月2日(水)19:00~19:30(再放送は同日24:30~25:00)は、ボランティアでやっているエフエムみやこの番組「papiru」の今年初めての放送です。
 今回の特集は「蛇にまつわる歌、蛇の名前を冠したバンドの歌」です。

 番組後半では、宮古島の言語・民俗を研究したロシアの学者、故ニコライ・ネフスキーの生涯を描いた伝記

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