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記事一覧

Lost Song

 車のリースをするために、日帰りで沖縄本島へ行ってきました。今春卒業した息子が、沖縄本島でそのまましばらく暮らすのですが、来春からは本土に行く可能性があるため、当面のあいだ車は要るけれど買うのはやめておこうという判断です。いろいろ調べて糸満にある業者さんを知り、先日実際訪ねてみて誠実そうな対応だったため、今回2度目の訪問で契約しました。

 夕方の便まで少し時間があったので、時間休のとれた妹を誘っ

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ロッテンマイヤー哀歌

高校生の頃に同級生の影響でニューロティカを知り、なかでも「修豚哀歌Ⅱ(I love youなんて言えねえ)」などは卒業を前に親友たちと大合唱したこともあって思い出深い一曲だ。

そういえば私はいつも誰かに惚れていた。勝手に気持ちを注ぎ込んで、人のことを大切に思って、一人で嬉しくなって。それが私の原動力でもあった。50代のはじめくらいまでは、それでよかった。

年齢はただの数字にすぎないというけれど

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書くこと生きること

宮古毎日新聞 2021年10月26日掲載

頭の中にぽこぽこと泡のように浮かぶことなどをノートの端っこに書き始めてから、どのくらい経つだろう。これまでに出会った恩人たちの顔が胸をよぎる。

中高校生の頃、当時読んでいた少女向けのファッション雑誌編集者が憧れの職業だった。その後、東京の私大への進学が決まった。宮古高校の渡真利清太郎先生や友利昭子先生からは、ずっと書き続けなさいと激励を受け、何事も中途

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だいじょーぶ

Yoricoさま

思えばカナダでYoricoさんがハリウッド制作のドラマ『SHOGUN』の撮影真っ最中に始まった、往復書簡のようなやりとり。昨年は、なかなかお返事を書けぬまま時間だけが過ぎてしまいました。読み返すと、あれからほんとうにいろんなことがあったのですね。そしてお互いになんとか元気を取り戻しつつ、ついに今月は『SHOGUN』が全世界配信される運びに。本当におめでとうございます。
Yor

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まゆみ

中学2年の頃に転校生がやってきた。とても綺麗な顔立ちの子で、そして、とてもぶっとんだ子だった。本土で生まれ育った彼女は、いつも標準語で少しテンション高めに話し、いろんな人の視線を集めていた。
彼女は高校に進学せず中学を卒業して美容師の勉強を始めた。島に戻ってくるときにはファッション誌から抜け出てきたようなお洒落な格好で、「あれさ、まったくMadonnaみたいじゃない?」と熱っぽく語る同級生の女子も

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書き残すということ

ものすごく今、書くということ、残すということについてもやもやとした感情に襲われていて、これをなんとか整理しておきたいという気持ちになりました。
たぶん非常にわけのわからない内容になりますが、ご容赦ください。

感情的になったきっかけは、今朝X(Twitter)でリポストされてきて読んだ文章でした。先日急逝したバンドのカリスマ的なボーカルの人物との、若い頃の邂逅を綴った追悼記事で、猫をきっかけとした

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Millie Small Talk

SNSのタイムラインには、お誕生日の人物の名前が日々流れてきます。
ミリー・スモールのことを思い出したのは、そんな流れからでした。
Millie Small(本名はMillicent Dolly May Small)は1947年10月9日生まれ。ジャマイカのサトウキビ農園に育ち、10代半ばでイギリスへ渡りました。1963年にリリースした 「My Boy Lollipop」は世界中で700万枚以上の

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In Between Days-2(2023夏 東京日記)

In Between Days-2(2023夏 東京日記)

7月9日(二日目)

夏もあけぼの。一人旅の何が気楽かというと、朝食の支度をせずに、のんびりしていられるということです。目が覚めて、机の上にあるポストカードを見て、昨晩の楽しい夜は夢じゃなかったんだと思い出します。
(幡ヶ谷Club Heavy Sickを客として最後に出た時、片付けをしていたスタッフの方から買ったKameさんイラストのThe Zombies。とてもかっこいいカードです)

その日

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In Between Days-1(2023夏 東京日記)

In Between Days-1(2023夏 東京日記)

The Cureの"In Between Days”は中三の夏に初めて聴きました。確か、クラスの男子がFMラジオでエアチェックしたものを聴いたのだと記憶しています。
中学生の頃は周囲の音楽好きな友達から、そして何よりもラジオ番組から、素敵な作品にたくさん出会いました。授業は退屈だったけれど、そんな日々の隙間にいつも音楽がありました。

東京には大学時代を含めて4年半くらいしか住んでいなかったので、

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教えて洞口さん(エブエブ鑑賞後)

Yoricoさん

とても久しぶりの往復書簡です。
ご体調はいかがでしょうか、どうかこの投稿も今は読み流してくださるだけで結構ですので、ごゆるりとお付き合いください。

きのう(4/29昭和の日)、よしもと南の島パ二パニシネマで『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を観てきました。洞口依子さんが町山智浩さんの番組にリモート出演されたとき、今年のアカデミー賞予想をされていて興味を持っ

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卒業写真のあの人は

卒業写真のあの人は

荒井由実の「卒業写真」はいろんな方にカヴァーされてきましたが、赤い鳥やハイ・ファイ・セットなどで活躍してこられた山本潤子さんのバージョンを、シンガーソングライターのYoshiko Yamaguchiさんがカヴァーされている素敵な動画が公開されました。共同プロデューサーの桐ヶ谷仁さんとのデュエットです。

Yoshiko Yamaguchiさんのことは2018年の初のミニアルバム『いろとり』で知りま

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VIVA, Francis!

2021年に発表された小里誠さんのソロユニットFrancisのアルバム『Bolero』を聴いたとき、いっぺんでその世界観のとりこになってしまい、ああ好きだなあと思いながら、なかなか文字にできませんでした。

気に入ったらすぐに人に話したくなるので、ちょうどその頃、ひとまわり以上歳下の知人がSketch ShowなどのDVDを貸してくれることになり、私は買って間もないビート・ジェネレーションの雑誌の

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知らないことは知らないと無邪気に

半年ほど前からもやもやとしていることがあって、具体的に書くのを避けて何とかニュアンスが伝わると良いのですが。

私が受けた質問や調査中のことを、そーっと横から調べられて、それってこうなんですよね、というようなことを教えられることが何度かありました。あるときは、不在のときに検索履歴を見られていたのを知って、ちょっとなあと。善かれと手伝ってくれているのかも、とも思いますが、まあ少し気持ちがざわざわしま

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もののいいよう

昨年知り合った同世代の女性、とてもおとなしい方で、あまり自分のことを言いません。でも時々どうにも心のモヤモヤが晴れないとき、私に話してくださるようになりました。

その方の思考回路というか物事の受け止め方は私と似ていて、そこまで人の言動にセンシティブにならなくてもいいのに、と思うところで気にしてしまうのです。

ものの言い方というのは大事だなあと思って、人は自分のことを蔑ろにされると、多かれ少なか

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