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公園が好きな話

■好きなものの話をしよう

公園が好きだ。まあ、公園が嫌いだという人もなかなかいないだろうが。
公衆が憩い、遊びを楽しむために公開された場所を公園と呼ぶわけだが、公園にも色々ある。
例えば僕の住んでいる長野県には国営アルプスあづみの公園という、園内を1週回って歩けばかなり良い運動になるようなめちゃくちゃ広くて巨大な公園がある。そういう公園も好きだが、僕は滑り台とブランコと、あとはせいぜい鉄棒があるくらいの小さな寂れた公園が大好きだ。

こういう公園にはドラマがある。親子がボール遊びをしたり、小学生が放課後遊んでいたり。日が暮れて小さな子どもたちがいなくなれば中高生が寄ってだらだら喋ったりするんだ。
10月、今くらいの時期の長野県はもうしっかり寒い。なあ学生たちよ、君たち寒くないのか。本人たちは寒さなんか全く気にしていない様子で楽しそうにしている。

中学生くらいの子は「うおー、さみっ」って言いながらもはしゃいでいて帰る気がまるでなさそうだ。何の話をしているのかは知らないけど、なんでも楽しいんだよな。

暖かくて柔らかい春の日差しが降り注ぎ、桜が咲く頃の明るい公園も好きだし、セミの鳴き声の中で水遊びをするにぎやかな夏の公園も好きだが、僕は今くらいの時期、ちょうど秋の少し寂しさを感じる公園と、雪が積もって「今年の営業は終わりましたよ」と言わんばかりに沈黙を決め込む冬の公園の方が好きだ。

匠の技とセンスで何故かパーツごとに三原色縛りで塗り分けられている滑り台やブランコも、しっかり錆が出始めていて切ない感じがする。
それが良い。
触ったらザラザラするだろうし、手は茶色くなってどぎつい鉄のにおいが手に付くんだ。それはちょっと良くない。

そのすべり台は所謂「汚れても良い服」じゃなければ滑れないね。乾いた泥が付いているし、滑りきったその先にはちょっと湿った落ち葉が溜まっていて。

それこそドラマではないが、飲み会の帰り道、男女2人。たまたま通りかかった公園で滑り台を見つけて「あっ、滑り台あるよ!久しぶりに滑ってみようよ!」という展開。
「きゃー!たのしい!」じゃないです。服が汚れますよ。汚れるだけでパンパン、と払って済むレベルならいいですけど水気もありますよ。きゃー楽しいは2秒、お尻が湿って気持ち悪いは家までずっとついて回る。何の話してたんだっけ。

小さな公園、錆びた遊具から感じる公園の切なさというか寂しさというか、今まで上手く表現できなかったけれど、近年どこかの天才が「エモい」という言葉を考えてくれたので非常に助かる。

こういった遊具なんかも、ずっと残っててくれればいいなと思う一方で古くなってくると危険がはらんでいたりもする。故に公園から遊具は消えていってしまうのだ。できれば、撤去したあとに新しく遊具を設置して、次の世代に繋いでいってほしい。僕が大好きな公園を。

僕たちは一度見た景色をすべて覚えていられるわけではない。脳がオートで取捨選択している。これはいる、これはいらない、と。記憶は色褪せていく、これは世の定めなのだ。

僕はポケットからそっとデバイスを取り出してカメラのアイコンに触れる。僕はすべて覚えていられないし、覚えていても時間が経つとそれはどんどんぼんやりしていく。

でも、48MPメインカメラを通してSuper Retina XDRディスプレイに映し出されたあまりにも鮮やかな景色を見て自然と笑みがこぼれる。テクスチャードマットガラスの背面はひんやりとしていて、まるで秋から冬へと移ろう季節であることを知らせてくれているようだ。

今、僕が見ているこの瞬間を切り取って、次の世代に繋いでいくことができる。
そう、iPhoneならね。


■お便りコーナー


読者の方からお便りが来ていたのでお答えします。

Q. 電脳坊主さんこんにちは。スマートフォンは何を使っていますか?
A. Xiaomiの11T Proです。

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