2024.4.20vs横浜BC 続・ハイポの重要性

 昨日、横浜BCを67−97の大差で下したFE名古屋。特に試合を分けたのは2Qを僅か8失点に抑えたゾーンディフェンスだったように思います。なぜFEは横浜BCをゾーンで抑えられたのか、横浜BC目線で振り返ってみます。

なぜハイポストが重要なのか

 2週間前にも同じタイトルの記事を書きましたが、ゾーンアタックにハイポスト攻略は欠かせません。その理由の1つは、ゾーンの陣形を崩すことができるからです。

 そもそもゾーンは、コート上に満遍なくディフェンスを配置し、どこにボールがあっても誰かしらがすぐに対応できるようにして守るもの。つまりゾーンを攻略するには、「満遍なく」を崩し、ディフェンスのいないエリアを広げることが肝心です。その為、ゾーンを攻略するときにはディフェンスとディフェンスの隙間(ギャップと言います)を攻めるのがまず原則ですが、そのギャップのうち1番大きな場所がハイポストなのです。

(※これまでの記事では隙間のことを「スリット」と呼んでいたのですが、そのような表記が他に見当たらなかったので、ちゃんと表記のあった「ギャップ」とします。どこで習ったんだったかなぁ…。)

 また別の理由として、ディフェンスの死角を作ることができるから、と言うのも挙げられます。
 ギャップのハイポストにボールが入れば、上のディフェンスも下のディフェンスも皆ハイポストを見なければならなくなります。すると、トップもウィングもコーナーでも、3ptラインの外にいる選手は基本的にディフェンスの死角にいることになります。死角にいる間に横にズレたり中に飛び込んだりすれば、ディフェンスの対応が遅れてゾーンの陣形を崩すことにつながります。
 また、ハイポストにガードが対応すれば、それよりも高い位置にいる選手へのプレッシャーが弱まり、アウトサイドシュートが打ちやすくなります(ゾーンアタックに3ptが有効なのはそれが理由です)。

真ん中に注目が集まれば、周りの選手は死角になる

 さらに言うと、解説の山口晋平さんも言及されていましたが、外でパスを回すよりも中から外に来たパスの方が、シュートを打ちやすいです。ゴール方向から視野を動かさずにキャッチ→シュートに移行できるからです(過去にこんな記事も書いてました)。

ハイポストに向く選手とは

 これは色々な考え方がありますが、基本的には①大きくて、②シュートやパスが上手い選手がいいかと思います。まず①の理由としては、敵に囲まれやすいポジションなので、パスを出したり受けたりしやすい方がいいからです。また②の理由は、ゾーンはやはりゴール下が固くなりやすいので、少し離れたところからシュートを打つ必要があるからです。また先述の通り、インサイドからアウトサイドへのパスが貴重な得点源になるので、視野の広さも必要です。
 因みに、上のような理由から、私はハイポストにオマラを推しています。その器用さは、対戦相手として感じていました。

 さて、横浜BCでハイポストに向いている選手と言えば、私はジェロード・ユトフと考えます。身長、パス、シュート、全て申し分ないでしょう。

なぜうまく攻められなかったのか

 では、ハイポストに最適な選手がいながら、横浜BCはゾーンを攻めあぐねたのか。これは推測ですが、ユトフがフィジカル勝負を嫌ったからではないでしょうか。現に、2Qのユトフはなかなかハイポストに留まろうとはしませんでした。また、それを引き出した佐土原の起用も当たったと言えるでしょう。

 試合の流れとしては、

① 2Q9:44のBCのファーストポゼッション、ハイポストに誰も収まらず、ローポストのカイソットで勝負を試みるも、JJとアーロンにうまく守られて速攻をくらい、すぐさま前半二つ目のタイムアウト。(0:55〜)

② タイムアウト明け、カイソットをハイポストに置き、綺麗なインサイドアウトからオリバーが3ptを沈める。

③ しかしその次のポゼッションでは、カイソットが根來を肘で押してしまいチャージング。カイソットを下げ、スコットを入れる。

④ 再びユトフがハイポストに立ち、一度は成功(0:38〜)。それを見たFE、フィジカルに優れる佐土原を杉本と交代で入れる。上には、佐土原と、下に下げたボールをうまく叩くことで外国籍を守れる川嶋が並び立つ。

⑤ 続いてのポゼッションでもハイポストのユトフが川嶋に1on1を仕掛けるも、佐土原に挟み込まれ失敗。

⑥ その後は、たまに立つことはあっても、すぐに外に開いてしまうユトフ。インサイドを経由してボールを回すことができず、ゾーンの陣形を崩せなくなり、勝ち目の薄いアウトサイドショットに終始する。

 ④のユトフのレイアップが7:30、それ以降は下の大庭の3ptしか得点を上げることができませんでした。しかもこの大庭のシュートも、そこまで相手を崩せたわけでもありません。タイムアウトを早々に使い果たしたこともあり、BCは完全に混乱状態に陥っていたと言っていいでしょう。その間にFEは理不尽な3ptと素早い速攻で効率よく得点を重ね、一気に片をつけた、と言うわけです。

今日の展望

 昨日はあれだけうまくいったゾーンが、今日もうまくいくとは限りません。1Qにはユトフがハイポストに入ってすんなり得点したシーンもありました。ユトフとしても期するものがあるかもしれません。

 圧勝したからと気を緩めることなく、マンツーマンでもゾーンでも、強度を高く守り切ってほしいと思います。

ってか、ファウルトラブルに陥らずに戦えることが一番ですけどね!!(てへぺろ)

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