雑誌を裏から読む業界コラム【1】・ブラック企業化するファッション誌の内情

「安かろう悪かろう」では結局ゴミになってしまうが、そもそも本当にいるか? と思ったり。

「AneCan」(小学館)を筆頭に、女性ファッション誌の休刊も目立った2016年。一方で、14年に発行元の事業停止から休刊するも復活を果たしたギャル雑誌「小悪魔ageha」(主婦の友社)が好調なことなど、明るいニュースもちらほらと聞こえてくる。

 そんな女性ファッション誌界において、「売るための武器」として重宝されているのが「付録」である。その背景には、とりあえず付録でそれなりの売り上げを上げている限りは銀行から融資を受けられるため、やめるにやめられず、自転車操業的な状態に陥っている会社が多いという事情も。もっとも、すでに付録頼みではいられないところまで来ているという見方もある。

「今は付録で話題になるのも1カ月に1点あればよい方。需要は確実に減少しているように思います」(書店員)

 そうした中で必死の攻防戦は続く。雑誌の価格上昇に伴い、付録制作の単価も上がってきているという。だが結局、反響がよい付録があると他誌も追随しがちで、同じ出版社内の雑誌で似たような付録ばかりになってしまうことも。また、競争が激しいため、営業は「売れた・売れない」の一喜一憂に振り回され、消耗も激しいという。

「営業の部署からは、日々怒号が聞こえてきます。パワハラまがいの行為も横行していて、人もボロボロと辞めていきます。その空きを派遣社員で埋めていくわけですが、1カ月間で社員の1割ほどが入れ替わっていたことも」(雑誌編集者)

 そんな過酷な女性ファッション誌業界で、付録同様に重要な存在になりつつあるのが「読者モデル」だという。

「読モの宣伝効果はバカにできません。彼女たちの投稿は、雑誌を手に取ってもらうきかっけになります。また、読モをたくさん囲って、彼女たちを使ってイベントを打つといった展開も可能です」(前出・雑誌編集者)

 付録と読モという、三種の神器ならぬ二種の神器でもって、女性ファッション誌はどのようにサヴァイブしていくのか。今後も注目していきたい。

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