シャブがアメリカで流行したのは日本のせい! 複雑化する世界の覚せい剤マーケット最新事情

――清原が手を染めた覚せい剤。日本ではそのドラッグをめぐる事件は過去にも何かと話題になったわけだが、そもそも他国でも“消費”されているのだろうか?また、それはどこで製造され、いかなるルートを経て消費地へと”供給”されるのか? 21世紀における世界のシャブ事情を掘り下げていきたい。

UNODCの「世界薬物報告書2015」に掲載された、覚せい剤の仕出し地から受け取り地までの流れを示したマップ。しかし、密売・密造の“現場”を正確に把握することは難しいため、これはひと昔前の状況の可能性もあるという……。

 現在の清原騒動しかり、日本ではたびたび著名人の覚せい剤所持が発覚し、大きな話題になるが、ここ数年、世界的にも覚せい剤の押収量が激増しているという。そこで本稿では、数々の薬物事犯を手がけてきた弁護士の小森榮氏に、21世紀の世界の覚せい剤事情について話を聞いていきたい。

 まず、国連薬物犯罪事務所(UNODC)発行の2014年版「世界薬物報告書」によれば、世界の覚せい剤押収量は、08年は約24トンだったのが、12年には約114トンに達している。そして、この114トンのうち、およそ半分をアメリカとメキシコが、4分の1を東アジア・東南アジアがそれぞれ占めているという。

「このデータは、現在、覚せい剤には2つの大きな消費ゾーンがあることを端的に示しています。そのひとつはアメリカですが、米国内で最もユーザーの多い薬物は大麻で、2位はコカインなんです。つまり、覚せい剤は順位的には下位に当たるけれど、それでも流通量は膨大。この薬物消費大国アメリカに覚せい剤を流しているのが、お隣のメキシコです」

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