BoAからBTSに至る戦略の変遷――「韓国市場が小さいから」はウソ!? 数字に見るK-POP世界進出の情念

――以前からK-POPはアジアや欧米各地に進出してきたが、そもそもなぜ世界を目指すのか? そうした挑戦の積み重ねがあったからこそ、BTSはアメリカで成功したのか? MBA(経営学修士)ホルダーで、韓国発のマンガアプリ・ビジネスなどに詳しいライターの飯田一史氏が、“数字”からK-POP世界進出の実態を読み解く!

2012年に米ビルボードチャート「ホット100」で2位を獲得したPSY「江南スタイル」のMV。

 BTSが米ビルボード・チャートを席巻したわけだが、K-POPの世界進出は今に始まった話ではない。そこで、“数字”から世界戦略の変遷と最新動向を改めて分析しよう。そうすることで、BTSの米国ヒットの要因や実態が見えてくるかもしれない。

 その前に、韓国国内の音楽市場(音盤・音源・演奏権など)はどれほどなのか? 2017年の場合、国際レコード・ビデオ製作者連盟(IFPI)の調査によれば約494億円(世界6位)。また、韓国コンテンツ振興院は16年の音楽公演業売上を約9299億ウォン(約920億円)と発表。「朝鮮日報」15年10月24日付の「EXOに見る『アイドル経済学』」などからライブチケットとグッズの売上比を類推すると3:2程度、つまり物販市場は推定613億円。これらを合算すると、国内市場は2027億円となる。

 では、輸出はどうか? 韓国の文化体育観光部発表では17年の「音楽」輸出額は4・43億ドル(約393億円)。海外でのライブ動員数の統計はないが、北海道大学大学院准教授・ 金成玟氏の著書『K-POP 新感覚のメディア』(岩波新書)で引かれる「日経スタイル」調べのまとめによると、12年以降、毎年日本だけで300万~400万人の動員がある。チケット単価は1万円前後だから、その売り上げが300億~400億円。先の売上比を応用すれば物販が200億~300億円程度。年やジャンルによるが、韓流コンテンツの輸出先として日本は半分~8割を占めるとされるから、全世界のライブとグッズは625億~1400億円。つまり、海外売上は合計で約1000億円~2500億円となる。

 以上、国内と国外の売り上げを合算すると、K-POP市場は推計3000億~4500億円。対して17年の日本の音楽市場は、IFPI調査では2417億円であり、これにライブ売り上げの3466億円(ぴあ総研調べ)を足せば5883億円。さらにグッズなどを含めれば、1兆円弱はあるだろう。そこからK-POPや洋楽を差し引いた「日本での邦楽(J-POP)市場」の売り上げは、K-POPの全世界売上より大きい。K-POPの現状は、その程度なのだ。

 なお、「韓国国内の市場規模が小さいからこそ、世界を目指す」といわれてきたが、これは“事実”というより、当事者たちが自らを駆り立てる“信念”だろう。この理屈では、内需が世界最大の米国が世界最大のコンテンツ輸出国でもあることの説明がつかないし、北朝鮮の音楽は中国やロシア市場に攻め込んでいなければおかしい。かように、日韓二国間比較ではもっともらしく聞こえるが、第三項を入れた途端に破綻する理論なのだ。

日本よりもはるかに小さいアメリカでの売り上げ

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