AKB48の予算は5000万円? EXILEは2億円で制作! ミュージック・ビデオの“お値段”大検証

――メジャー/インディ、邦楽/洋楽を問わず、数多のミュージック・ビデオがプロモーション・ツールとしてYouTube上にアップされており、それらを日頃から楽しんでいる読者も多いはず。では、この時代、MVはどの程度の予算をかけて制作されるのか? 映像制作会社の社員などに話を聞きながら、その実情を探りたい。

今年、話題となったのが、MVの“あるある”ネタを詰め込んだ岡崎体育「MUSIC VIDEO」。たった6万円で制作されたという。

 ミュージック・ビデオ(以下、MV)とは、その名の通りミュージシャンやバンドの楽曲に合わせて制作された、プロモーション用の映像作品である。MVは80年代にアメリカでMTVが登場したことにより急速に一般化し、90年代まではそのMTVやスペースシャワーTVといったCSの音楽専門チャンネルで放送されるのが常であった。しかし2000年代以降、インターネット動画の再生速度や画質が飛躍的に向上し、今やMVはYouTubeをはじめとする動画サイトで視聴するのが当たり前に。著作権に厳しかった音楽業界も、これを推奨している状況だ。

 最近では、スマホでの視聴を前提に縦型のインターフェースをMVで表現したlyrical schoolの「RUN and RUN」や、昨今のMVにおける“あるある”ネタを皮肉った岡崎体育の「MUSIC VIDEO」などがネット上で瞬く間に拡散。特に岡崎の作品は、「カメラ目線で歩きながら歌う」、「(女の子を)泣かす・躍らす・音楽聴かす・窓にもたれさす・倒れさす」、「何かを拾って振り返る」といった歌詞を映像で忠実に再現し、16年4月の公開から5カ月弱で900万回再生を突破。しかも岡崎は、このMVの制作費はわずか6万円だと自身のツイッターで明かしており、その言葉を信じるなら、費用対効果は絶大である。

 しかし一方で、音楽業界の市場規模がシュリンクするにつれ、MVの制作費も年々減少しており、まさに岡崎の歌った“あるある”の数々も、少ない予算の中で“それっぽく”仕上げるためのテンプレ集のようにも見える。本稿では、そんな日本のMV制作費事情に迫りたい。

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