売り上げと制作費の間で悶える雑誌のビジュアル――フランスでは修整写真に申告義務! 雑誌が激写したタブーな1枚

雑誌と写真は今も切っても切れない関係にある。だが、雑誌が売れなくなる一方で、そこにお金をかけることも難しくなってきた。今、雑誌にとって写真はどのような役割を担っているのか? そもそも雑誌にとっていい写真とはどんなものなのか――?

表紙はその雑誌の顔。写真の撮り方だけでなく、紙なども凝った仕掛けが施されていることもある。

 写真技術が誕生し、メディアがまだ紙媒体しかなかった頃から、雑誌はドキュメンタリー的にはたまた芸術的に、常に時代を意識しつつ、さまざまな表現に挑戦してきた。

 そして現代。雑誌の売り上げが凋落し続ける中で、あらためて雑誌に掲載される「写真」に注力し、活路を見いだそうとする媒体も少なくない。機材の発達によって誰でも簡単に写真を撮れるようになり、インスタグラムでは世界中の美麗フォトが手軽に見られる時代にあって、果たして雑誌写真の可能性はどこにあるのだろうか? 本企画では、写真に定評のある雑誌の編集長に話を聞いた――。 

レタッチ写真はもうコリゴリ!

 93年に創刊されたカルチャー系の月刊誌「BARFOUT!」【1】編集長・山崎二郎氏は、16年度まで京都精華大学ポピュラーカルチャー学部でエディトリアルの講義を受け持っていた。この講義を通じて、山崎氏は、大学生の深刻な雑誌離れを肌で感じたと述懐する。

「エディトリアルの授業を受けるくらいなので、出版に比較的興味を持っているのかと思っていたら、学生たちは雑誌を買いません。僕の講義を受けていても、『BARFOUT!』の存在さえ知らない大学生も珍しくなくて(笑)」

 世の中には、週刊誌、女性誌、グルメ誌など、さまざまなジャンルの雑誌が存在する。中でも、写真の可能性に最も期待を寄せているのが、「BARFOUT!」をはじめとするカルチャー系の媒体だろう。山崎氏は、17年から掲載する写真の方向性を変えることによって、雑誌の特色を打ち出している。

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