アルジャジーラ

【日記/61】今週のアルジャジーラ〔イスラエル〕

毎週金曜日に更新することにしている「今週のアルジャジーラ」。今週は本当にちゃんと金曜日に更新することができました。先週分はこちら

まだまだ回数が浅いので説明しておくと、アルジャジーラとは、カタール・ドーハに本社がある、アラブ・イスラム世界のニュースを報道するメディアである。アラビア語と英語の記事を配信しているが、私はアラビア語は当然ながらできないので、このnoteで扱うのはもちろん英語で配信された記事だ。アルジャジーラが配信した記事のなかから、私がその週に気になったものを適当にピックアップしぐだぐだ語る、というのが「今週のアルジャジーラ」である。アルジャジーラはPC用サイトも見やすいし、スマホ版アプリも超使いやすいので、実は英語学習にものすごくオススメである。

というわけで、私が今週気になったのはHow 'Jewish' should Israel be?という記事。イスラエルにおいて、ユダヤ人はどのようにあるべきかという内容である。

この記事には「Shabbat」という単語が出てくるのだけど、これは「安息日」という意味だ。ユダヤ教では、金曜日の日没から土曜日の日没までが安息日となっていて、イスラエル内の企業はその間、極力営業をしない。しかし、その安息日のルールを破って営業している数少ない店を、超正統派のユダヤ教徒は脅威だとかんじているらしい。

上の写真は私が今年の3月に行ったイスラエルのエルサレムで撮影したものだけど、左に写っている男性は「超正統派」あるいは「正統派」であると服装でわかる。保守的なユダヤ教徒の男性は、もみあげをもじゃもじゃ伸ばして、ハットを被り、膝くらいまである黒いスーツを着る。特に宗教的なイベントがない普通の日でも、この服装みたいだ。一方、女性は下の写真の左奥にいる人のように、スカーフで頭をくるっとまとめてしまう。

だけど、当然ながらイスラエルに住むユダヤ人がみんなこの格好を遵守しているかというとそんなことはなくて、「超正統派」「正統派」のほかに中間くらいの「保守派」、リベラルな「改革派」もいる。また、ユダヤ教はあくまで文化・カルチャーであると割り切った「世俗派」なんてのもいる。たぶんだけど、聖地エルサレムにはやっぱり「超正統派」「正統派」の人が多くて、ヒップな国際都市テルアビブには、「改革派」や「世俗派」が多いんじゃないかなと思う。私はエルサレムとテルアビブをバスで移動したけれど(2時間くらいだ)、前者は正装の人が多かったのに対して、後者はやはりカジュアルな服装の人が多かった。中東というとどうしても紛争とかイスラム過激派とか物々しいものを連想してしまう人が多いと思うけど、エルサレムはともかく、テルアビブはニューヨークみたいなポップなところである。都会的でおしゃれな街だ。

参考:最注目アングラシーンはイスラエルにあり!中東のミレニアルズが育てる“隠れ”ヒップな街「テルアビブ」

安息日は絶対に働くべきではないとする超正統派と、そうはいっても人々は自由に週末を過ごすべきだとするリベラル派で、イスラエルは国内でも対立している。

ところで、イスラエルといえば当然考えなくてはならないのがパレスチナ問題だ。だけど、パレスチナに関する情報は非常に複雑に入り組んでいる。たとえば、あなたはこの「パレスチナ問題」を、いったい〈誰〉と〈誰〉の対立問題であると考えているだろうか。

1・ユダヤ民族 vs アラブ民族
2・ユダヤ教徒 vs イスラム教徒
3・イスラエル国 vs アラブ諸国家
4・シオニスト国家 vs パレスチナ人
5・アメリカ帝国主義とその同盟者 vs アラブ民族主義

正解はというと、どうやら現地の人の間でも意見が分かれているらしく、なんとこのなかに、答えはない。ユダヤ人、イスラエル人、シオニストというのは重複する部分はあれどそれぞれまったくちがう概念だ。

皮肉なことに、今イスラエルという国家を唯一つなぎとめているのは、「対パレスチナ」「対アラブ」というアイデンティティであるという話も読んだ。つまり、もしイスラエルに平和が訪れれば、この記事にあるように安息日をどう扱うかという問題や、その他ユダヤ教の文化に対する考え方のちがいで、イスラエル国内はたちまち分裂してしまうという。

戦争状態であるが故の団結、対立構造があるからこそのアイデンティティの維持。こういう話は決して珍しいものではないと思うけど、この手の話はまったく、どうしたらいいんだろう。全然わからない。

参考:立花隆『思索紀行』

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