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【愛用品リスト/10】サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリ

外出自粛の日々が続いている。

そんななか、家で「香水」を楽しんでいる……という声を、けっこうあちこちで聞く。気持ちはすごくわかるし、私もまた例外ではない。散歩くらいはするものの、景色が一向に変わらない家の中を、視覚ではなく嗅覚で彩るため。外出しない=人に会わないことを逆手にとって、香害を気にせずムンムン香らせられるため。新型コロナウイルスは感染すると匂いを感じにくくなるらしいので、香水をつけて香ることを確認し、自分に症状が出ていないかチェックするため。……などなど、さまざまな合理的な理由(?)もあって、私も毎日、誰にも会わないけどその日の気分に合わせて香水を楽しんでいる。

香水のこともまた改めて書きたいと思っているんだけど、今日は香水ではなく、ポプリの話。いい機会だと思って、サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリ with ポプリポットを、最近手に入れた。顔を近づけると、ちょっと薬っぽい花の香りが漂う。部屋中を香らせたいときは、蓋を開けて壺を軽くしゃかしゃかと振る。

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大昔だけど、サンタ・マリア・ノヴェッラの、フィレンツェの本店を一度訪れたことがある。私はイタリアって治安の悪い南のほうが絶対に面白いと思っており、ヴェネチアにもミラノにもボローニャにも、実はまだ行ったことがない。だから、私にとっての「北」イタリアの代表格は、フィレンツェなのだ。

10年前、3月の後半に訪れたまだ肌寒いフィレンツェは、「けっ、お高くとまってんなあ」って感じだった。サンタ・マリア・ノヴェッラの接客も完全に観光客をナメている風情があり、本当は夢のある話のひとつでも披露したいものだが、残念ながらそこまでいい思い出はない。でも、お高くとまっていやがるのに、なんか嫌いにはなれないんだよなあ。それが私にとってのフィレンツェ。ドゥオモの内部の、ひんやりとした空気を、今日でもありありと思い出せる。

そんなフィレンツェ、私のイチオシスポットはラ・スペーコラという博物館で……って、この話はブログにも書いたことがあるしまあいっか。

香水

どうせ誰にも会わないから、装いの手を抜くって考え方もあるだろう。実際、私もメイクしない日が増えた。メイクのやり方を忘れそうなので、オンラインで話すときもなるべく顔を晒すようにし、そしてそのためになるべくメイクもするようにしている。でも、まあやっぱり丁寧にファンデーションを塗ろうという気にはあまりならない。顔を晒すっていっても、幸か不幸か今の解像度だと肌の質感の違いまでは見えないしな。

しかし、誰にも会わないからこその装いってのも、あるのである。この機会に、自己満足100%のめちゃめちゃ派手なネイルをするとか、いっそド金髪にガチ脱色するとか、香害確定の多量の香水をつけまくるとか。そういうことを楽しむ機会にしてしまうのも悪くない。私は先日、自分でもむせ返るほどの香水をつけてしまい自分の香害に自分でやられ自滅するというアホな1日を過ごしてしまったが、でもそんな日もけっこういいものだ。完全に間抜けだけど。ネイルとガチ脱色にはまだ挑戦してないけど、この機会に、クソミソに奇抜な柄の変なワンピースとか買おうかなあ。私に似合いそうなクソミソ柄のワンピースがあったら、ぜひ教えてください。

そういうわけで、誰にも会わないなら、誰にも会わないからこその楽しみ方ってのも、やっぱりある。サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリポットの壺を開けて、薬みたいな花の香りを確認して、今日も、なんとか生きていることを実感する。

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