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マダム・マロリーと魔法のスパイス

原題は「The hundred-foot journey」。

名匠ラッセ・ハルストレム監督、
2014年に、ディズニー製作で公開された。

ヘレン・ミレンの円熟した演技は安心だが、
相変わらず大物を起用せず、物語に集中できる。

この原題の意味が深いのだが、
邦題からはまったく伝わらない。

一本の大通りを隔てた向かいの、
老舗フランス料理店と、新鋭インド料理店。

対立する料理店の、心理的に遠い、
100フィート、約30メートル。

料理に対する想いは同じ。その心を通じて、
攻防から調和へと向かう、お互いの家族。

わずかの隔たりが、まるで、
フランスとインドを行き来する、
旅のように遠いという意味だ。

素晴らしい物語だと思う。
この時僕は少し、ディズニーを見直した。

地球上の距離は、近くなった。
争いは絶えず、心は遠くなった。

調和こそ、平和への一歩。
近くて遠い、地球の未来のために。

そして、家族の元へ帰る。

ラッセ・ハルストレム監督、得意の筋書きだ。
彼の作品はどれも、家族に帰結する。

「サイダーハウス・ルール」から15年。

観客が減って、興収が減って、
ディズニーは怒っているだろう。

それこそ筋違いだ。

ラッセ・ハルストレムの真骨頂なのだから。

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