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ギルバート・グレイプ

僕にとって、この映画を超える作品に出逢うことは、
もうないかもしれないと、そろそろ思い始めている。

1994年公開、シネセゾン配給、
シネセゾン渋谷の単館上映だった。

ミニシアターがブームだった。

1987年にシネスイッチ銀座が開館、
89年の「ニュー・シネマ・パラダイス」に始まり、
同年、渋谷Bunkamuraのル・シネマが開館。

シネセゾン渋谷はそのブームの前、1985年に開館し、
渋谷のアングラ文化を永らく牽引していたが、
2011年に惜しくも閉館している。

「ギルバート・グレイプ」は、
当時まだ無名だったレオナルド・ディカプリオが、
19歳でアカデミー助演男優賞にノミネートされた。

ラッセ・ハルストレムが監督。
ジョニー・デップ主演。

ハルストレム監督の、美しく抑えた演出も見事だし、
ジョニー・デップの苦悩する長男役も見事。
だがなんと言っても精神障害者の次男役を演じた、
ディカプリオには驚いた。

驚いたけど、この作品の凄さは、
圧倒的にハルストレム監督の手腕と、
ピーター・ヘッジズの原作、脚本だと思う。

この顔ぶれに、今でこそ興奮するが、
当時は、みんなまだ駆け出しで、
だからこそ、こんな名作が生まれたのかもしれない。

ハルストレム監督は99年、
「サイダーハウス・ルール」で名声を確実にする。
ジョン・アーヴィング原作、脚本。
まだ無名のシャーリーズ・セロンが初々しい。

僕が、1番嬉しかったのは、
ピーター・ヘッジズが監督、脚本した
2018年公開の「ベン・イズ・バック」だ。

息子ルーカス・ヘッジズが、薬物依存症の息子役を演じた。
ジュリア・ロバーツ、キャリアハイの演技とも言われたし、
アメリカに巣食う社会問題を見事に描いている。

94年「ギルバート・グレイプ」からおよそ四半世紀。
やはり僕にとって、映画の原点と言えるかもしれない。


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