さようなら

朝6時を過ぎたあたりからバタバタ、ドタドタ廊下を歩く音が聞こえて目が覚めた。犬を迎えに行くのかな、起こされるのかなと思いながら布団にもぐり目を閉じていた。しばらくしてガチャっとドアが開く音がしてシーンとする。

昨日の朝、犬は危篤状態で入院した。もう何をしたって助からないだろうし、家に帰ってくるときはお別れだと思っていたが、今日になっても帰ってこず肩透かしであった。夕方までもたなさそうと獣医師から伝えられたというのに、そのままお願いしますと置いてきたのだという。朝7時に起きてもやることがないので1時間ぐらいかなり真剣にEテレを見た。

昼過ぎ、銀行で金を下ろしてゲオに寄り、ポケモン中古ソフトをチェックした。3DSのソフトでも意外と強気の値段設定だなと思いながら店を出る。ゲオの2軒先に花屋があるので、花でも買うかと考えたけれど、年末だからなのかかつてない賑わいで入る気になれない。結局、コンビニでキャンペーン中のプリペイドカードだけを買って帰った。散歩以外の外出は3ヶ月ぶりだった。

家に着くと居間の中心に息絶え絶えの犬が寝ている。日曜日は一緒に散歩をした。その時も相変わらずふてぶてしい態度だったのに。衰弱した犬を見るのがどうしようもなく嫌だ。死ぬ間際になんか会えなくていい。いつまでも人に懐かない犬であれ。

17時を回るころ、犬が死んだ。触れるとまだあったかいけど、口元がだらりとして目は閉じようとしても半開きになる。部屋に戻って少し寝ている間に、「お別れするよ」と母が呼びに来たが行かなかった。さようならと口にしようともしないくせに、ほんの少しだけ涙が出た。

昼飯が豪華になります。