【本】『明治史研究の最前線』

2020年1月、小林和幸編『明治史研究の最前線』が筑摩書房さんより刊行され、原口もコラム「華族研究の論点」を執筆しました。

画像1

31名で7つの章と24のコラム、加えてさらに詳しく知るための文献年表が付されており、錚々たる執筆陣に交じって原口もその文字通り末席に連なってしまいました。そういうところもあり(?)、だいぶ肩ひじ張った文章になってます。経験の差ですかね。。。


すでにお読みになった方々の声にもあるように、一般向けの選書の形態の本書ですが、史学科の4年生や修士課程に進学した学生だったり、あるいはある程度明治史に関する文献を読んだことがある方向けの、いわば”参考書”だと思っています。
そういう意味でも、小林和幸編『明治史講義【テーマ篇】』(ちくま新書、2018年)、筒井清忠編『明治史講義【人物篇】』(ちくま新書、2018年)、山口輝臣編『はじめての明治史』(ちくまプリマー新書、2018年)といった入門書の先にこの本が位置付けられるのかなぁ、と。こちらもぜひ併せてお読みください。笑

で、冒頭にも述べたとおり、原口は「華族研究の論点」を担当したのですが、そもそも、こういう本の中に華族がコラムとして独立して立項されること自体、華族研究が随分進んだんだなと実感します(特にこの20年ほど)。色々と理由はありますが、何より史料の公開によって様々な視点から実証研究が可能になったことが一番の要因と思います。各大名家の文書や宮内公文書館の利用は研究状況を大きく変えました。関連して、すぐれた概説として、小田部雄次『華族』(中公新書、2006年)の刊行もとても大きいです。

華族と言えば「皇室の藩屏」というフレーズが続くわけですが、その「皇室の藩屏」って具体的にどんなもので、華族はいったい何をどうやったらその役割を果たせることになるのか? という点をあえて「皇室の藩屏」という、ついつい使いたくなる語句からいったん距離を置きつつ再検討しているのが近年の華族研究の「最前線」と(強引に)まとめることができそうです。

ともあれ、原口のコラムはさておき、諸先生方のご論稿やコラム、大変読みごたえがありますので、どうぞ一度手に取ってみてください。
そして、10年後、20年後の明治史研究の「最前線」がどこにあるのか、というのを考えるのもまた一興かも。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?