【刊行】尚友倶楽部・原口大輔・西山直志編『松本学日記 昭和十四年~二十二年』

このたび、官僚政治家・松本学(1886~1974)が書き記した日記のうち、昭和14年から22年までの日記を翻刻し、解説などを付して刊行する運びとなりました。松本の詳細な経歴はwikiをどうぞ。

画像1

左側は市販版で右側が尚友叢書版(非売品)です。基本的に内容は同じです。

詳しくは本書解説に譲りますが、松本は、政党内閣期は民政党系の内務官僚と目され、その後、安岡正篤の影響を受けた「新官僚」の一人として頭角をあらわしていきます。内務官僚として、土木・警察・神社のそれぞれに携わり、内務省退官後は、貴族院議員(勅選・研究会)として議会政治に参画するかたわら、日本文化連盟(日文連)・日本文化中央連盟(文中連)の中心人物として、自らの理想(「邦人一如」)の実践を掲げ、様々な「文化」運動を推進していきます。
松本に関する主な史料は、国立国会図書館憲政資料室、岡山県立記録資料館に所蔵され(後者はマイクロ版を憲政資料室で閲覧可能)、日記のほか、かなりの量の書類などが伝来しています。日記の一部(昭和4年~昭和13年)は過去に、伊藤隆・広瀬順晧編『日本近代史料選書11 松本学日記』(山川出版社、1995年)として刊行されていますが、今回刊行した日記はその続きとなります。

上記活動のほか、貴族院議員としても戦時下の農村視察や空襲による街並み・生活の変化、政治・軍部への賞讃・憤り、敗戦後の変化など、饒舌な記述によって日々の記録が充実しており、読み物としても興味深いです。
ゼミの史料購読のテキストとしても、あるいは卒業論文のテーマ探しとしてもおススメできる一冊です。ぜひ図書館で手に取っていただければ編者の一人として幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?