【展示】徳川将軍家を訪ねて ―江戸から令和へ―

2020年10月3日(土)、昭和女子大学光葉博物館で「徳川将軍家を訪ねて ―江戸から令和へ―」(主催:昭和女子大学光葉博物館、共催:公益財団法人德川記念財団)という展示会が開幕しました。
10月4日(日)11時よりオープニングセレモニー、テープカット、内覧会。原口も図録執筆者ということもあり参加。

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※テープカット時のみマスクをはずしています。

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展示は二部制で、展示スペースの関係により、第一部第二部はほぼ完全入れ替え(ですので、展示替の時期は休館のようです)。そのため、まずは第一部「徳川幕府を創った家康と歴代将軍」の展示となっています。第一部の構成は次の通り。

1章:平和を担った将軍と文化
2章:家名相続に尽くした二人の正室
3章:伝統と近代化の両立を図った徳川宗家

話題となった銀印「経文緯武」も出陳しています。

原口は3章の一部の作品解説を執筆しています。自分が執筆をした部分での推しは次の三点。
①徳川家正講義ノート、②英国皇太子来日記念写真(相撲観覧)、③徳川恒孝養子お披露目会(写真)

①は、明治末期に東京帝国大学法科大学に在学していた徳川家正(17代当主)の講義ノートです。上製本され、「一木博士 行政法」、「立博士 国際法」のように背表紙に担当教員・科目名と「徳川」と金字で銘記されたノートが複数冊残されており、写真パネルではありますが、展示しています。家正は学業優秀だったようで、ノートもびっしり書き込みがあります。学説史としても注目されるのではないでしょうか。

②は、大正11年(1922)4月、来日した英国皇太子Prince of Walesを千駄ヶ谷邸に招待した時の写真です。家達はホスト役として、自邸の庭に土俵を設け、相撲観覧を供してもてなしているシーンが写されています。

③は昭和29年(1954)12月26日、松平恒孝が祖父・家正の養子となったお披露目会の家族集合写真です。恒孝の母であり家正の長女である松平豊子『春は昔』に養子となった経緯が記されていますが、豊子自身は入院中のため欠席。この会には、徳川宗家の家政相談人だった河井弥八も出席しており、次のように日記に記されています。

三時、光輪閣に於ける徳川家御養子披露会に出席す。家正公御夫妻并松平家より入りたる御養子  君に対して深甚なる祝意を表す。両家の歓喜察すべし。殊に松平信子刀自の欣びは各別なり。余に対して鄭重なる感謝を表せらる。秩父宮妃殿下、高松両殿下にも披露会に御臨席あらせらる。此会合は徳川一門のみの集会にて、余等家政相談人等、之に加はりしのみ。
尚友倶楽部他編『河井弥八日記 戦後篇3』(信山社、2018年)、昭和29年12月26日条

補足すると、「御養子  君」の部分、弥八日記では空白で、もしかすると名前を聞きそびれたのかもしれません。あるいは後から書き足す予定だったのでしょうか。また、松平信子は恒孝の祖母(鍋島家)、秩父宮妃は恒孝の伯母・勢津子、高松宮両殿下は宣仁親王と喜久子(徳川慶喜家)で親戚筋にあたります。
この写真は、徳川宗家の”近代”から”現代”へとつなぐ象徴的なシーンを切り取っているのではないかと思っています。

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図録もございます。ぜひともご高覧いただければ幸いです。

〈Information〉
昭和女子大学創立100周年記念 秋の特別展
「徳川将軍家を訪ねて —江戸から令和へ—」
第 Ⅰ 部 徳川幕府を創った家康と歴代将軍
期間 2020/10/03(土) 〜 2020/10/24(土)
開催時間 11:00 〜 16:00
休館日 日曜日・月曜日

第 Ⅱ 部 女性によって継がれた徳川将軍家と井関隆子日記
期間 2020/11/07(土) 〜 2020/12/05(土)
開催時間 11:00 〜 16:00
休館日 日曜日・月曜日・祝日
※新型コロナウイルス感染の状況により、日程等変更が生じる可能性がございます。
ご来館前に当ホームページ等で最新の情報をご確認ください。
※ご来館者の人数により、入場制限を行う場合がございます。
※ご来場の際には、必ずマスクをご着用ください。感染予防にご協力願います。
昭和女子大学光葉博物館HP https://museum.swu.ac.jp/


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