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mixiがFC東京とクラブスポンサー契約を締結した意味 - 東京にビッグクラブを -

2018年1月11日に、株式会社ミクシィがJリーグクラブ「FC東京」の新規クラブスポンサー契約を締結したと発表しました。この意味について解説していきたいと思います。

■この記事の3行まとめ
・ミクシィがなぜサッカークラブのスポンサーを行うのか
・代々木公園のサッカースタジアム建設が持つ意味
・東京にビッグクラブを作る必要性

この意味を分析すると、インターネット事業を中心に行うベンチャー企業であるソフトバンク、楽天、DeNAなどが、なぜスポーツビジネスに参入するかの考察になりますし、とりわけ「FC東京」への投資の意味が理解できます。

ミクシィがスポンサーになった理由

まずミクシィの最近の業績を見てみましょう。

プラットフォームとしての「mixi」の存在感は薄れたものの、企業体としてのミクシィの売上高は巨額かつ安定的です。大人気アプリ「モンスターストライク」の安定的なヒットによるものです。

もっとも、上記図を見ればわかるように、ほとんどの収益をエンターテイメント事業(≒モンスターストライク)による収益を占めていることがわかります。上場企業が一つのゲームアプリに依存していることは極めて危険です。

「パズドラ」で有名なガンホーの決算は以下のとおりです。

スマートフォンゲームの寿命は立て続けにイベントを運用することで長いとはいえど、新規ゲームアプリが乱立する昨今、1つのアプリの収益は徐々に右肩下がりになることは当然です。

重要なことはヒットしたアプリの寿命が尽きる前に次なる新規事業を作ることです。それがミクシィの場合、スポーツ事業なのです。その理由は以下の資料です。

エンターテイメント事業で稼いだ金額を投資する先として、メディアプラットフォーム事業の売上推移です。マッチング事業とチケットキャンプ事業はミクシィ社が買収した事業で、その売上はミルフィーユのように積み重なっています。その代表事業として「チケットキャンプ」事業があります。

チケットキャンプ事業とは、アーティストやスポーツなどのイベントチケットの2次流通プラットフォームで、様々なイベントのチケットが購入できるサービスでした。その有望事業として相性の良いのが、スポーツイベントです。

チケット流通マーケットを保有するミクシィがスポーツ球団を仮に保有すれば、来場者の源泉であるチケット流通が優位に立つことができるからです。その一環として、サッカーでなく、プロバスケットボールチーム 「千葉ジェッツふなばし」とパートナーシップを図るなどの動きをしていました(チケットキャンプが諸事情により閉鎖いたしますが、本題でないので割愛)。

もちろんチケットキャンプ事業とのシナジーだけでなく、消費者との接点の多いインターネット企業とスポーツとの相性は良く、メルカリが鹿島アントラーズのスポンサーになるなど、それ以外の動機も多分にあるものです。

すなわち、ミクシィにとっては、モンスト以外の収益基盤の育成を限られた時間の中で作り出さなければいけないこと、そもそもインターネット事業とスポーツ事業の相性の良さがあること、からして参入することは至極当然とも思えます。当然ながらプロ野球球団への参入もチャンスがあれば睨んでいると思いますが、プロ野球への参入はタイミングが難しいものでもあり、コントロールが難しい領域でもあります。

FC東京の保有する企業価値の高さ

筆者としても、FC東京の保有する企業価値の高さに注目していました。FC東京の収益をみてみましょう。

トップラインは45億円とJ1クラブの中でも随一の収益基盤を有しています。中でも、J1クラブ3位の入場者数の多さがこの安定的な収益基盤を生み出す秘訣です。浦和レッズはぶっちぎりの1位なので例外として、J1クラブ3位の平均2万4000人の入場者数が広告費や物販収入などのその他の収益にも繋がるのです。

費用その他のPLもみてみましょう。
費用を見ると、ある特徴点が発見されます。これこそがFC東京の強みです。

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・FC東京の直近3ヶ年の全PL公開
 営業収入と営業費用に加えて、経常利益、純利益に至るPLを公開
 FC東京のPLから見るストロングポイント
 2017年シーズンの大型補強の人件費への影響

・代々木公園付近へのスタジアム移転の可能性
 なぜJリーグは23区内を本拠地とするチームがないのか
 代々木公園付近への専用スタジアムが意味するポイント
 スタジアムビジネスのポイント

・東京にビッグクラブが誕生する意味
 欧州諸国はなぜ首都にビッグクラブがあるのか
 ビッグクラブ誕生がJリーグ全体に与える影響
 外国人の東京旅行にサッカー観戦が組み込まれる日を夢見て

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