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「元気なのでクヨクヨしています」2019年6月12日の日記

・きのう、こういう画像ツイート見て、オーなるほど上手いですね、と思っていたら、今日こういうツイートが流れてきた。

・知らない人からDMが来て「女偏はすこし偏見ですね」「飠とか氵とか他にもあるなかであえて女を入れるのですね」と指摘されていて、それへの作者(もにゃゐずみさん)からの返答が「『妄』『妖』とか見るの耐えない感じですか?」「姦しい(姦しい)とか見たら怒りでおかしくなると思いますよ。冷静になってみては」というもの。


・私は、この対比は誤りではないかと思う。作者はここで「文字に『女偏』を入れること=偏見だとするなら、『妄』や『妖』といった文字についても同じことが言えてしまう」ととれることを言っている。しかし「妄」や「妖」は古代から使われてきた漢字で、「たぴおか」は作ったばかりの創作漢字である、という点が大きく違う。

・私たちが「妄」を含む文章を読み書きするとき、その漢字は長い長い時間をかけて摩耗し変化している。文字が作られた当時に込められていた意図や偏見に思いを馳せることは普通ない。だけど「たぴおか」は現在作られた新しい文字なのだから、字の形成には現在の価値観が反映されている。まして、問いかけの相手は漢字を考えた張本人である。「妄」や「妖」と違い、そこに「女偏」が含まれることは強く現代的な意味を持つのだ。

・だから、DMにおける作者の返答は話をズラしてしまっていると思う。話題はさらに脱線し、相手が「姦[かしま]しい」という表現を知らない→「現在進行で起きてる事態です(姦しい…耳障りでうるさい)」という流れをオチとしているが、これもあまり有効な皮肉ではないと感じた。

・実際、タピオカという言葉をあの一文字で表すこと自体に大した問題はないと思っている。私は男だけどタピオカドリンク大好きでよく飲むが、それはそれとして行列を作っているのは女性が多い。この流行を一文字に収めたとき「女偏」が使われることはそこまで不自然ではない。しかし、それがある種の偏見ないし新たなステレオタイプの生産と無縁なわけでもない。ただ表現活動がその問題から脱するのは不可能に近いから、作者は自らのモラルにおいて「自分はこの表現で問題ないと思う」と自己判断しながら表現をしていくしかない。

・しかしDMのやり取りでは質問者に対して結構攻撃的な態度をとっていて、それは態度としてあまり……だいぶよくないのではと思ってしまった。実際「並んでタピオカ飲んでるバカ女www」みたいな「古っ」と言いたくなるスイーツ(笑)な揶揄ツイートがバズっているのも何度か見たし、この創作漢字にそういう文脈を読み取る人もいるだろうから。ただそれを否定すればよかったのに、態度でむしろその路線へ近づけてしまったように見えて残念だ。

・まあ、自分の作ったものにイチャモンを付けられるのはかなりイヤで、萎えるし、「やかましいわ」って言いたくなるのも個人の気持ちとしてはわかるんだけど……それを言葉でやり込めるのは、多数の人に称賛されるようなことではじゃないんじゃないかな。あと、リプライを見てると「姦しい」を知らないことを嘲笑している人がかなりいっぱいる。それはスノッブだと思うし、そういうことを言い出したら作者が書いてた「見るの耐えない感じですか?」という文字列だって「"見るに堪えない"の誤用だろwww」みたいな混ぜっ返しができてしまうし、そんなのめちゃくちゃしょうもない争いだ。

・「敵」に見える人が現れたとき、やっつけないといけない義務感に駆られてしまう人が多いけど、じゃあとにかく勝てりゃいいのかといったら私はその流れに乗るのは嫌だなと思う。そんな全ての事象をインターネッツボクシングに変換しなくたってというか。自分が個人的にそう思ってるだけなんだけど、とにかくもう勝ったり負けたりしたくないですよ私は。あと、みんな仲良くしようぜ! PEACE & PEACE。ラブ。って言いたいわけでも微塵もなくて、敵とか味方を区別してスッキリするのやめてもっとクヨクヨしながら生きたいんです私は。でもそういう生き方を選ぶのはエネルギーが要るし、元気がなかったらインターネッツボクシングくらいしか道はないのかもしれない。みんな元気ないし、そう考えたら周囲にあんまり強い言葉でアレするのもはばかられ、クヨクヨして生きている。でもクヨクヨするのは元気がある人の義務だと思ってこれからもしようと思う。元気なうちに。


・以下は日記です。

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品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)

株式会社バーグハンバーグバーグのライター。品田遊として、コルク所属の小説家。ほかいろいろやっています。

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コメント1件

タピオカの件、モヤモヤしていたのですが恐山さんの文章を読んで「自分の感じていたモヤモヤはこれか…」と思うことが出来ました。大元のやりとり、悔しかったです。でも、ありがとうございます。
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