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『ダブドリ Vol.6』インタビュー02 ペニー・ハーダウェイ(メンフィス大学 タイガース)

2019年6月4日刊行の『ダブドリ Vol.6』(株式会社ダブドリ:旧旺史社)より、ペニー・ハーダウェイHCのインタビューの冒頭部分を無料公開いたします。なお、所属等は刊行時のものです。

メンフィスは全米一のファンがいる街だと思っている。それがうちの選手達の自信にも繋がっている。

玲央 先日初めてメンフィス大学の試合を見させていただいたのですが、アリーナの空気感に圧倒されてしまいました。実際今シーズンはホームでの成績も良いですよね。メンフィスでプレーすること、あの観客の前でプレーすることについて教えてください。
ペニー 私達の中では、メンフィスは全米一のファンがいる街だと思っている。バスケットボールの知識がしっかりとあり、とても全力で大きな声援を送ってくれる。それがうちの選手達の自信にもつながっているんだ。我々はあのアリーナでプレーすること、そして負けないことにプライドを持っている。残念ながら先日同カンファレンス内の試合で初めて負けてしまったが、やはりファンのおかげでプレーできているね。
玲央 試合後は、ハードワークすることの重要性を説いていました。これまでのコーチの経験は高校まで。ご自身が大学バスケをプレーしたのは25年前。大学コーチとしては新米に当たる訳ですが、今の世代の選手に対してハードワークの基準というのはどのように設定しているのですか?
ペニー 昨年の3月に就任した時に、まず自分達がどれだけハードにプレーすべきか、どういう環境、カルチャーを作り出したいかを提示したんだ。タフにプレーするためには全力を尽くし、全てを勝ち取る姿勢でいなければならない。就任時からそれを徹底して、これから築く未来にも繋げられるようにしようと考えている。
玲央 NBAでさえ、昔の方がタフなプレーが多かったと言われています。その差はやはり感じますか?
ペニー 間違いなく感じるね。昔の方が、それぞれのプレーに対するプライドが強かったと思う。とにかく削りあい、全てを出しつくす必要があった。最近は勝ち取るものよりも、与えられるものが多くなってきているからね。それは大きな違いだよ。
玲央 でもやはりそれは今の選手達に落とし込みたいところなのですね?
ペニー そう。難しいことなのは理解しているが、やっぱりそこは強調していかないといけない。この学校で取り組んでいきたいスタイルだね。

モデルにしているコーチは2人。オフェンス面ではマイク・ダントーニ。ディフェンス面ではラリー・ブラウン。

玲央 ラリー・フィンチ(メンフィス大学HC 1986年~1997年)を筆頭に、多くのコーチの下でプレーしてきましたよね。最も影響を受けたコーチというのはいますか?
ペニー 全員から少しずつ吸収した感じだと思う。その中でも、コーチ・フィンチはやっぱり大学の時のコーチだから、一番親しかったかな。彼にリクルートされた訳でもあるからね。だから父と息子の様な関係性に近かった。他のコーチとは、コーチと選手という関係性だから、一番親しいのはコーチ・フィンチだね。
玲央 プレースタイル的にモデルにしているコーチはいますか?
ペニー 実は2人いるんだ。まずオフェンス面では、ヒューストン・ロケッツのマイク・ダントーニHC。彼の下ではフェニックスでプレーしたのだけど、彼のスタイル、オフェンスの流れが大好きだったんだ。そしてディフェンス面では、ラリー・ブラウンHC。彼はディフェンス重視のコーチで、ディフェンスの仕方にとても厳しかった。
玲央 一番好きだったコーチっていらっしゃいますか?
ペニー 特定のコーチっていうのはないかな。全てのコーチをリスペクトしていたから、どのコーチの下でもプレーするのを楽しんでいたね。
玲央 コーチって呼ばれることにはもう慣れましたか?
ペニー いや、全く(笑)。まだ慣れないね。でも今はそれが自分の役職であることはもちろん理解している。楽しんでやっているけど、やっぱりまだそう呼ばれるのは不思議な感覚だな。
玲央 アシスタントコーチに元NBA選手が何人かいますよね。彼ら以外で、選手時代のチームメイトや対戦した選手達は、あなたがメンフィス大でコーチしていることにどういう反応でしたか?
ペニー 実はとても喜んでくれている。なぜなら、多くの元NBA選手は大学でコーチしたいと考えているからなんだ。私達がどういう結果を出せるかは、彼らが今後こっちに来てコーチできるかに大きく影響するんだ。だからかつての対戦相手やチームメイトは本当に喜んでくれていて、成功するように応援してくれているよ。
玲央 パトリック・ユーイングもジョージタウン大学でコーチしていますよね。彼とは話したり、これまで経験してきたことを話し合ったりするのでしょうか?
ペニー パトリック・ユーイングとは、私が就任した時に話したよ。やると良いこと、やらない方が良いこと、コーチとしてやること、コーチとしてあるべきリスペクトなんかを教えてくれた。今年はわざわざ電話してバスケについて話すとかはしていないかな。彼も私も上を目指して頑張っている状況だね。特に誰かに連絡して、戦術を教えてもらうみたいなことはやってないかな。
玲央 1年目のコーチとして、自分がリクルートしてきた1年生と、これまでいた上級生が混ざるのはやはり難しいことなのですか?
ペニー ああ、とても難しいことだ。その上級生達は違うコーチがリクルートしてる訳だからね。それを混ぜ合わせるのはなかなか難しい。でも全力を尽くす必要がある。自分が連れてきた選手も、昨年プレーしていた選手も、両方必要なんだ。だから全員でファミリーになることをもちろん話し合っているよ。
玲央 来年やってくる1年生のジェームズ・ワイズマンは全米トップ選手であるだけでなく、メンフィス出身の選手ですよね。メンフィスの選手をリクルートすることの重要性について教えてください。
ペニー 一応言っておくと、正しくはナッシュビル(メンフィスと同じテネシー州)出身でメンフィスの高校でプレーしている、ね。
玲央 そうでした!
ペニー 彼の地元を奪いたくはないからね(笑)。でも同じ様に彼の存在はとても大きいよ。大学レベルでプレーできるこの地域のトップ選手はなるべくここに留めておきたいという気持ちはある。この大学は街の伝統を請け負っている。この街のチームなんだ。だからこの辺りでバスケをやっている子達は、このチームを見て育つ。そういった選手はやっぱり地元に残ってもらいたいよね。
玲央 ではこれは今後も続けていきたいことなのですね。
ペニー そうだね。もちろん全米レベルでリクルートをしない訳ではないよ。そういった選手も欲しい。でもメンフィスでプレーしたことがある選手は、この街でバスケをプレーする意味合いを理解しているからね。そういった選手は貴重なんだ。

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このあとも、自身の選手キャリアからコーチとして伝えていることなどを語ってくださっています。インタビューの最後には日本のペニーファンへのメッセージも!続きは本書をご覧ください。

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