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ドライブ

暇な日は適当に車を走らせることがある。何のあてもなくドライブしている時間が好きだ。

今日もいつものようにドライブ支度を始めると、家のどこかからガサゴソと音が聞こえてくる。

何だろう、どこだろうと探してみると、普段プラごみを入れているカゴから音がするような。そちらへ向かってみると、音の正体が判明した。

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ドン!

あら〜、フミ氏(愛猫)やないかい。可愛すぎる。

いつも支度を始めると気を引くような行動をしてくれるので、今回もそうしてくれたのかな。後ろ髪を引かれる思いだが、とりあえずごみ入れから出してあげたのち、出掛けてしまった。スマンナ……

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昼下がり、特に行き先も決めずぶらぶらしていると、だんだん晴れとも曇りともつかない天気に。

そんな天気模様を見ていると、ふと沈堕の滝・沈堕発電所跡へ行きたくなってきた。

沈堕の滝は大分県豊後大野市にある。室町時代に雪舟が描いた「鎮田瀑図」のモデルでもある名瀑だ。

沈堕発電所跡はその滝に隣接し、かつては別大電車(別府〜大分間の路面電車)を走らせるほか、大分の市街地へ電力を供給するために建設された水力発電所跡である。その役割を終えた今も、史跡・近代化遺産として姿が残されている。

はじめてそこを訪れたのは昨年の夏。茹だるような暑さのなかに見える大きな滝の流れ。滝の音や虫の音、あたりは自然で賑わっていた。

同じ空間にぽつんとある発電所跡は、すぐ近くで生命活動し続ける自然に反して、音もなく、ただそこにあり続けるのみだ。

とうの昔に仕事を終え、いわば命を終えた廃墟とも言えるが、轟々と唸る命のそばでしずかに鎮座する様にはひときわ強い存在感が放たれており、それに惹かれて以降たびたび訪れている。

今日、とりわけ興味があったのは、後者の沈堕発電所跡。

何とも言えない空模様を発電所跡から眺めてみたくなった。

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そんなこんなで一時間半ほど車を走らせ、沈堕の滝へ辿り着く。

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駐車スペースのある場所から降りた先に滝や発電所跡があるため、少し足場の悪い道を歩き進めることになる。

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沈堕発電所跡を上から見た様子。奥には滝が見える。

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発電所跡に続く遊歩道を歩き、いざ建物内部へ。

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内部から空を眺めてみる。思った通りいい感じだった。

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この景色は快晴より雲混じりが似合うと私は思う。

ちなみに、建物内部への行き来は入口に架けられた橋を渡る必要がある。なかなかの心許なさだが、かつては丸太(円形)だったらしく、これはグレードアップ済みのものらしい。この足場の悪さ、嫌いではない。

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ちなみに「沈堕発電所跡」のキーワードを検索窓に入力すると、サジェストに「心霊」と出てくる。その気持ちもわからなくはない。

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見たい景色を眺めて満足したので、出入口にある鳥居をくぐり、帰路についた。

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また涼しい時期にでも再訪したい。

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 The Beatles - Drive My Car


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