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【東京スケバンplaylist/2021年11月】

今月のスケバンplaylistふりかえり。 

●毎日1曲ずつ、自分の”ソング・オブ・ザ・デイ”を加えてゆくマンスリー・プレイリスト《東京スケバン日記》。7月からはじめて11月が終わり、気がつけばまる5か月ぶんのプレイリストができあがっていました。最初は、このnote日記と連動したプレイリスト…にするつもりだったのですが、いろいろと事情があって夏以降ずっとnoteの投稿もサボってしまっており、結果的に、日記のかわりにとりあえずプレイリストだけということになってしまいました。
1日1曲、ピッとクリックするだけの簡単なお仕事で、自分の頭脳を使った創造的な行為は何ひとつしていないので、日記がわりなどと言うのもおこがましいですが。それでも、小学生の時からずっと飽きっぽくて何かを続けることがひとつもできなかった私が、毎日プレイリストに曲を足すことだけは忘れなかったというか飽きなかったのは、なかなか、自分でもびっくりです(あ、2日くらいは忘れたけど)。何でも飽きちゃうのに、何でも嫌いになっちゃうのに、やっぱり音楽だけは飽きないし嫌いにならないんだなーとしみじみ思いました。音楽ってすごい。

●というわけで、こちらが2021年11月のプレイリストでございます。
だいたい1か月ぶんで2時間ちょっと。なんとなく流しっぱなしで聴いているとなかなかいい選曲じゃないかなーと思ったりするんですが、そりゃ、自分の好きな曲ばかりだから当然ですよね(笑)。たいがいアメリカーナとかクラシックとかが中心で、そこにアバとか竹内まりやが入ってくる…的な感じですが、そういうムードがキライじゃないという方には楽しんでもらえるのではと思います。
ほんとはApple Musicのほうでも作りたいんだけどごめんなさい。
※以前の月も、Spotifyのユーザー名《oreberry》の検索で出てきます。

●「レコードの日」で竹内まりやさんの『VARIETY』アナログが出たので「もう一度」とか。朝ドラ『カムカムエブリバディ』が始まったので、その裏テーマ曲ともいえる「On The Sunny Side Of The Street」を、これまた劇伴に参加されている北村英治さんの名盤で聴いたとか。グラミー賞のノミネート発表があって候補作をいろいろ聴いていたのでジョン・バティステやヨーヨー・マが入っていたり、とか。『ゲット・バック』のプレミア上映会に行ったからビートルズが入っていたり。あと、久しぶりに会った友人とニコール・アトキンスの話になったとか、自分の日常もあちこちに反映されているので、あとで見返すと「あー、そういえばこんなことがあったな」と思い出したりします。歌は世につれ世は歌につれ…じゃないけど、スケジュール帳に自分にしかわからな記号や略語で記録しておくミニ日記みたいな感じにもなるので楽しいですよ。

あと、今月はけっこうカヴァーものが多かったですね。

ダイアナ・クラール&ヴィンス・ギルの「うわさの男」はNetflixかHuluのドラマで流れていたのがすごくよくて、誰だろうとShazamしたらダイアナとヴィンス・ギルという最高の顔合わせだった。ダイアナの『ウォールフラワー』のデラックス・エディションに入っているテイクなんですが、見逃していて今ごろ知りました。すみません。で、ここでのヴィンス・ギルがすごくいい感じで、なんというか、ロックでいえばまさにエルヴィス・コステロ的なw、ふわっと相手を包み込む魅力の歌声といいますか…。で、ヴィンス・ギルのデュエットといえば、その昔に本家ドリー・パートン様と「I Will Always Love You」を歌った時、当時まだ若かったヴィンスが「ドリーとのデュエットでは、自分はただ彼女の声に身を委ねているだけだった。それだけで素晴らしいテイクになるという魔法のような体験をした」というようなことを話していて、本当にそのデュエットが素晴らしくて大大大好きなんですけど。月日が流れ、今度はヴィンスの声が、あのダイアナ・クラールに身を委ねられているようで、あらまー、なんだか感無量…と、あらためてドリー&ヴィンスも聴きたくなった次第。

あと、カヴァーといえば、以前にこの日記でも紹介した傑作音楽映画『ラブ・ソングができるまで』の音楽を手がけたアダム・シュレシンジャーの出世曲、トム・ハンクス監督の『すべてをあなたに』の主題歌「That Thing You Do」のカヴァーも入れた。これがなんと『ラブ・ソングができるまで』の監督、マーク・ローレンスの子供たちであるローレンス兄妹がカヴァーしているんですよ。

マーク・ローレンスと、ローレンス兄妹と、アダム・シュレシンジャーについては、その8月9日の日記《『ラブ・ソングができるまで』〜続・ローレンス〜》にたっぷり書きましたが。とにかく、こんなにも“ご縁”を感じるカヴァーはなかったです。ちなみにこの曲は、インディ系の若手たちが有名無名&新旧のド名曲ばかりをがんがんアコースティック・カヴァーしている超えらすぎるプロジェクト“stories”で実現した企画なのですが。このstoriesは、いちど聴き始めたら軽くひと晩ふた晩は止まらなくなる”沼”です。グレイト。おすすめです。

●クラシックも、今月は気になる新作がたくさんありました。なので、ちょっとクラシック率が高めかもしれない。中でも、アメリカ東海岸を拠点にする大好きなふたつの弦楽カルテット、ドーヴァー・クァルテット(Dover Quartet)アタッカ・クァルテット(Attacca Quartet)の新作は今もヘヴィロテ中です。アタッカは昨年、キャロライン・ショウの作品集『Orange』でグラミーを受賞。その後、ソニー・クラシカルと電撃契約。たて続けに2枚のアルバムを発表したのですが、とりわけルネサンスとミニマルをテーマに古今を行き来するような2枚目の最新作は何度聴いても新鮮な鳥肌(なんだそりゃ)が立ちます。

●で、本日11月30日は、今年リリースされたすべてのフィジカルCDの中で、間違いなくもっとも重要な作品のひとつ、ジョニ・ミッチェルのアーカイヴ・ボックスから「チェルシー・モーニング」ライヴ@カーネギー・ホール
このプレイリストは曲順は考えずに、毎日毎日の積み重ねではあるのですが。最初と最後は、ちょっとだけ“抱負と総括”みたいな気分もこめて。で、今月は絶対にこの曲で締めくくろうと心に決めて、手ぐすね引くこと数週間だったんです(笑)。ちなみにアーカイヴスVol.2の日本盤は明日、12月1日発売ですね。キャメロン・クロウとの対談など、ブックレットも読み応えたっぷりなので日本盤推します。

●最後に…「今月のベスト1曲」というわけでは全然ないのですが、このプレイリストに加えていった曲を含めて、今月聴いたいろいろさまざまな音楽の中で、とりわけ感慨深かった1曲について。

▶︎「Before the Deluge」(ジャクソン・ブラウン, 1974)
by ルネ・フレミング、アリソン・クラウス、リアノン・ギデンズ、ヤニック・ネゼ・セガン(ピアノ)
編曲: キャロライン・ショウ

アメリカを代表する世界的ソプラノ歌手ルネ・フレミング、アリソン・クラウス、リアノン・ギデンズ、ヤニック・ネゼ・セガンというクラシック〜アメリカーナのスーパー・オールスター・メンバーによる、ジャクソン・ブラウン「ビフォー・ザ・デリュージ」のカヴァー。しかも、アレンジを手がけているのは米国現代音楽界を代表する若き天才、ノンサッチのお嬢(命名:わたくし)ことキャロライン・ショウです。
ネゼ・セガンは現在フィラデルフィア管とメトロポリタン・オペラの芸術監督を務める指揮者として有名ですが、ピアニストとしても素晴らしい。ここではピアニストとして参加しています。

この、あまりにも意外な(でも、聴けば納得の)顔ぶれだけでも凄いのですが。この曲の意義深さは音楽的な面だけではなく、今年10月末から11月末までスコットランド・グラスゴーでおこなわれたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が終わった直後に緊急リリースされた…という点にもあります。

以前から環境問題、温暖化についても積極的に発言をしてきたルネ・フレミングは、「温暖化以前の美しかった世界」という位置づけでグリーグやフォーレの作品を歌ったネゼ・セガン(ここでもピアノ)との新作アルバム『Voice of Nature : The Anthoropocene』をリリースしたばかり。

今回のカヴァーも、この新作からの流れにある作品と思われますが。地球温暖化の危機的状況を前にしても意見が折り合わず、多くの関係者の涙と怒りと共に閉幕した…と伝えられるCOP26の直後に、今では“クライメイト・チェンジ(気候変動)アンセム”としても熱烈に愛されている名曲「ビフォー・ザ・デリュージ」を、こんなにもジャンルを超えたミュージシャンたちが心をひとつにパフォーマンスするというのは、現在の気候変動への危機感と、それに対して今、人類は心をひとつにして何をするべきかを訴える強烈なメッセージとしか思えないのです。
また、こうしたポップ・フィールドの作品が、クラシックのミュージシャンがイニシアチブをとる形でのセッションでカヴァーされるというのも、本当に新しい時代が始まっているんだなぁ…と感慨深く、個人的には今月もっとも心に残る曲となったのでした。

●というわけで、明日から12月。いやー、本当に、本当に、あと1か月で2021年が終わっちゃうんですかね。信じられない。こないだ正月だったじゃねーか、的な。というわけで12月は、クリスマスまでのアドベント・プレイリストってことでクリスマス/ホリデー・ソングばかりで作ってみようかなと思っております。
形から入るタイプなので、とりあえず画像は作ってみました。

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もし、これまでのプレイリストや、これからのプレイリストをちょっと聴いてみて、あるいはこのnoteをお読みいただいて、気に入ってくれたらプレイリストのほうもフォローしてもらえると、うれしいです。ものすごくうれしいです。
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