見出し画像

機能不全家族に生まれたら、子どもはどうすればいいのか?

先日、桐野夏生さんの『路上のX』を読了した。

これは機能不全家族に生まれてしまった少女たちが、不条理な世の中で居場所を求めて格闘する姿を描いている。綿密に取材をされているようでリアリティのある話に仕上がっている。これが現代日本で実際に起こっていることなのである。

そして、私はこの小説を読みながら、ある兄弟のことを思い出していた・・

この二人をA君とB君としよう。私とは家族ぐるみの付き合いがあったので、幼少期より二人のことは知っていた。

A君は私より5つ下で、B君は私よりも8つ下になる。二人ともアラフォーである。この二人の家は完全に機能不全家族であった。両親が目の前で喧嘩するのは日常茶飯事、父親からは肉体的虐待を受け、母親からは精神的な虐待を日常的に受けていた。

しかし、この二人は子ども時代から思春期にかけて起こした行動が真逆なのである。

A君はその状況から逃げようと家出を繰り返して、友人宅に泊まり歩いたり野宿していた・・

家出するにしても金は必要になる。A君は小説の主人公たちと違って男性なので、援助交際などは出来ない。なので、彼のしたことは窃盗である。食べ物など万引きして飢えを凌いでいたが、当然のごとく捕まって補導される。そして、家に連れ戻されて、また父親から暴力を振るわれたりしていた。それを何度も繰り返して、教護院(児童自立支援施設)に入れられる。そこで知り合った人間に窃盗の手口などを教わり、家に戻った後も(その時に両親は離婚していて、母親の元に戻る)原付バイクを盗み、それを使ってひったくりを繰り返すようになり、捕まって少年院に入れられる。その後も傷害や窃盗を繰り返して、最終的には刑務所に行く。人生の半分以上をそういう施設で過ごしている。現在は出所して執行猶予中のようだ。

B君は両親が喧嘩している居間の隅っこでお絵描きを続けたり、殴られてもじっと耐えている子どもであった。
正直いうと、子どもの頃は彼は何を話しかけてもほとんど曖昧な返事しかしない。いつもオドオドした態度をしていた。彼は小学校でも中学校でもイジメにあっていたようで、高校もイジメが原因で中退する。正社員にはなれず、いろいろとバイトなどしていたようだ。私とはずっと連絡していなかったが、近況を共通の知人から聞いたら、心療内科に通院していたようだが、働けなくなり、障害者認定されて現在は生活保護を受けながら一人暮らしをしているそうである。

家出を繰り返したA君とじっと耐えたB君。

機能不全家族に育った子どもの態度としてどっちが正解だったのか?

どう見ても両方不正解である。

ここまで読んでくださった方はもうお分かりだろう?

こんなものに正解はないのだ‼️

親にライフラインの全てを握られ、生きる術のない子どもは圧倒的に立場が弱い。社会というのは立場の弱い方へ弱い方へとどんどん皺寄せがくる‼️そういうものなのだ‼️

機能不全家族に生まれたら子どもに逃げ場はないのだ‼️どんな選択肢を選んだにしても、心は傷つき様々な弊害に苦しみ続ける。周囲の大人たちが救いの手を差し伸べるしかないのだ‼️

そして、それをやれるのは最終的には行政しかない‼️なぜなら、通常は他人の家庭に入り込む権限など誰にもないからだ‼️

私は小さい政府を推進するべきであるという考えではあるが、虐待問題に関して言えばもっと行政が踏み込むべきだと思っている。日本は親権が強すぎる。弱い立場の目線で社会システムを考えなければ、苦しむ人は永遠に苦しむだけではないのだろうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?