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地産地消には限界がある

日本では国産材、
もっと言えば、地元産の物への信仰が強く存在していると思います。

食材などは鮮度もありますので、確かにそうかもしれませんが、
最近では冷凍技術なども進歩しているので、だんだんと差が小さくなっているような気もします。

では、木材などの建築資材はどうでしょうか?


■日本の木材の状況

1)日本の林業は元気が無い

日本は国土の面積に対して森林が占める割合は決して低くありません。
大都会でなければ、
少し遠出すれば、大量の木が生えている山々を見ることが出来ると思いますので、何となく実感出来ると思います。

しかし、それらの木々は木材として使用されておらず、放置されている状態のものが殆どです。

今でも一部地域では木材の産地として良質な木材を製造していますが、供給量は少なく、また、林業従事者も非常に少ないのが現状です。

2)木は生えっぱなしでは木材にならない

木造建築で使用する木材は、人間の管理の下で育てられたものが用いられます。
逆を言えば、自然に育つがままに放置された樹木はなかなか使うことが難しいのです。

ですから、山に大量に生えている樹木があっても、それらを建築材料としてはすぐに使用できません。

また、山に生えている木材は麓に生えていればすぐに伐採・運搬できますが、それ以外の場所には移動するための道をまずは造らねばなりませんので、林業が安定的に運営されていない状況では、大量に樹木があっても、供給することが出来ません。

3)国産材・県産材は相性抜群なのか?

確かに、日本国内で生育された樹木から造られた木材は日本の風土に合うのかもしれません。
また、建設地の地元産の木材ならもっと相性が良いのかもしれません。

もちろん、それらがきちんと管理の下で生育されたことが前提だと思いますので、そもそも数が少ないのが現状です。

一方で、日本よりも厳しい環境で生育された樹木で造られた木材はどうでし
ょうか?

元々の環境よりも穏やかな地域であれば、もっと性能を発揮しますよね。

特に、杉や桧、ヒバなどの針葉樹については、厳しい極寒の地で生育された樹木が良質な木材へとなり、日本へも輸入されています。

4)コストの問題

一般的には、輸送コストこそ外国産よりは抑えられますが、人件費なども諸外国よりも割高な国産材の方がコストが高そうな印象がありますが、必ずしもそうではありません。

むしろ、品質を鑑みて、輸入材よりも安い国産材もたくさんあります。
材料にもよりますが、供給量が少ない国産材は品質とコストのバランスが難しいこともあります。

■産地にこだわるのではなく、品質にこだわる

「〇〇産材を使用しています!」
と言う謳い文句に惹かれる方も多いと思いますが、
なぜ、その産地の材料にこだわるのかという理由があります。

産地を限定していると言っておいた方がユーザーの目に留まりやすいという理由もあるでしょうが、価格なのか、品質なのか、産地のネームバリューなのか、各社のこだわりが見られるところです。

また、木材の場合、産地や樹種も大事ですが、その後の乾燥技術や加工技術によっても品質が大きく左右されてしますので、産地以外にも目を向けねばならないと私は考えています。

やはり、品質です。

「おたくはどこ産の木を使っているの?」
と度々お尋ねいただきますが、
「品質のいい木材を使っています」
と言うのが私の答えです。

■最後までお読みいただきありがとうございます