見出し画像

家が狭いのは土地のせいではない

住宅を建てる際には敷地面積に応じた床面積の制限をクリアしなければなりません。

一般的に、敷地が広いほど、床面積が大きい住宅が建てられるのですが、
床面積が増えるほど、建築費用も増えていきますので、
ある程度の床面積以上については、敷地の影響ではなく、資金面の影響が大きくなります。

どのくらいの床面積の家が必要かを考えてみましょう!


■家の大きさを考える

1)何帖の部屋がいくつ必要?

家を建てようと考える時に、日本人には畳の枚数がピンとくると思います。
畳一枚が1帖、
畳二枚が1坪、
ですので、それで凡その部屋の大きさを把握すると思います。

そして、何帖の部屋がいくつ必要だと設計者に伝えてプランを作ってもらううことなりますが、本当にその部屋数が必要でしょうか?

昔は、家族の人数+1部屋、と言うご要望が多かったですが、
そうして造られた住宅では、
家族が別世帯に暮らすことが増えた現代になって、
将来的な 空き部屋問題 につながっています。

子どもにも個室、という考えが凝り固まっていませんか?
将来に可変出来るような造りにしておけば、無駄が少ないのではないかと私は考えています。

もちろん、ミニマムに作り過ぎては可変出来ないので、そのところのバランスが家づくりのポイントになります。

2)個室をいくら作っても家は広がらない

前述した通り、個室は家族が巣立ったら空き部屋となりますが、
物理的には空きません!

中にギッシリ物が詰まった シン・納戸 になります。

新築時に設置された柱や壁などは基本的には撤去できませんので、ただ、納戸が増えるだけで空き部屋が有効活用できることは稀です。

有効活用するには、まずは、巣立った方々の荷物は処分することが大前提です。
そして、可変性のある設計を新築時にしておかねばなりません。
それぞれ、ハードルは低くはなく、実現出来るお宅はかなり少ないと思います。

3)動線はシンプルが良い

動線 を意識したと思われる設計はたくさんございますが、
実際にその通りの動線が機能しているでしょうか?

特に、私が疑問を持っているのが 回遊性 と言う家を回れるという動線の設計です。
時には機能するのでしょうが、私の考えでは、通路は家の面積を広げ、家の中を狭くする、一番の要因と考えていますので、動線が増える、延びるほど、家は狭くなると考えています。

シンプルで、短い動線が、家を狭くしないポイントだと私は考えます。

4)床面積40坪の家と30坪の家のどちらが広い

外観は一目瞭然だとして、
面積的には当然40坪の家の方が広いですが、
個室で構成された40坪の家と、広く浮かんで構成された30坪の家では、見た目は30坪の家の方が広く見えることも珍しくはありません。

ポイントは 奥行  天井高 です。

奥行きがあって天井が高い空間は広く見えます。
逆に、間仕切りがたくさんあって視線が通らない空間は狭く感じます。

そのため、個室が多い家は狭く感じます。
尚、視線を通すために、フロアの高さを微妙に変化させるスキップフロア
と言う手法があり、視線が斜めに動くので広さは多少は変わりますが、わざわざ段差を造ることになるので、バリアフリーの観点からは全くお勧めではありません。

5)結局、物が家を狭くしている

ミニマリストと呼ばれる方々が、1Rでも広々とした暮らしをしている様子をSNSなどで見ることが出来ます。

やはり、物が家を狭くしているのです。
なんでこんなに物が多いのかと嘆いていらっしゃるかもしれませんが、整理して、捨てるだけです。

それが難しいのですが、整理整頓は意外と体力を使いますので、体が元気なうちに、出来れば、ご家族がいるうちから始めておくと負担は少ないです。

■最後までお読みいただきありがとうございます

結局、家を狭くしているのはそこに暮らす「人」なんですよね。