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脳科学・神経科学入門ガイド

(最終更新:2023年5月) こんにちは、東京大学医学部を卒業後、医師かつ脳神経科学の研究をしている紺野大地と申します。 私が脳科学・神経科学に興味を持ったのは2010年頃(大学1,2年生)、真剣に研究を志したのは2016年(初期研修医2年目)のことでした。 本noteでは、過去の私のように「なんとなく脳科学・神経科学に興味がある人」が「しっかり学問として学ぶまで」(そして、その後研究を始めるまで)にどのようなステップを踏めば良いのかについて、当時知っておきたかったなと

人類は今後どのような方向を目指すべきか〜脳と人工知能の比較から〜

こんにちは。東京大学医学部を卒業後、医師かつ脳神経科学や人工知能の研究をしている紺野大地と申します。 脳神経科学と人工知能の研究をしていると、 「脳が人工知能よりも優れている点は何ですか?」とよく質問されます。 数年前までは、 「脳が人工知能より優れているのは、様々な場面で柔軟に対応できる汎用性やクリエイティビティである」などと答えていました。 ですが近年の人工知能の進歩を見ていると、 「脳が人工知能より優れている部分がどんどん減っている」と感じざるを得ません。 「地

「Paper Interpreter」を使って論文を読もう!

こんにちは、東京大学で医師かつ脳や人工知能の研究をしている紺野大地と申します。 2023年11月6日、OpenAI社から「自分専用のChatGPTを作れる機能」であるGPTs(ジーピーティーズ)が発表されました。 早速触ってみたところ、 「この技術を使えば、誰もが論文を読めるAIを作れる!」と確信し、論文解説AI「Paper Interpreter」を作って公開したところ、非常に大きな反響がありました! (こちらのリンクから、今すぐ使えます。) 完全に予想外でしたが、「

人類の未来は大学生の夏休み

こんにちは。東京大学医学部を卒業後、医師かつ脳神経科学や人工知能の研究をしている紺野大地と申します。 最近のAIの急速な進歩を見ていると、 「頭の良さでAIと張り合うのは無意味である」と強く感じます。 現時点でも既に多くの面でAIは人間を上回っていて、その差が今後縮まることはないでしょう。 「人類で一番頭が良い人と一番頭が悪い人」との差は、「人類で一番頭が良い人とAI」との差に比べ、本当に取るに足らないものになりつつあります。 そしてAIがこの先さらに進歩すると、 「世

自己紹介と「真理を知る」という野望

こんにちは、東京大学医学部附属病院で医師として勤務しつつ、池谷裕二研究室と松尾豊研究室で脳や人工知能の研究をしている紺野大地と申します。 既に私のことを知ってくださっている方々には今さらになってしまうのですが、このnoteでは改めて自己紹介を行い、個人的な野望についても記したいと思います。 経歴と所属2009年に東京大学理科二類に入学後、進学振り分けで医学部医学科に進学し、現在は医師かつ研究者として活動しています。 所属は以下の3つです。 東京大学医学部附属病院 老年

東大医師・研究者が選ぶおすすめ脳科学・神経科学本10+3選(2023年9月最新版)

こんにちは、東京大学医学部附属病院で医師として勤務しつつ、池谷裕二研究室と松尾豊研究室で脳や人工知能の研究をしている紺野大地と申します。 これまで脳科学・神経科学本はかなり読んできた方だと思いますが、この記事ではその中でも自信を持ってオススメできる脳科学・神経科学本10冊を紹介します。 (※ 2022年12月に2冊、2023年9月に1冊を追加しました。) では、さっそく始めていきましょう! 1. 『進化しすぎた脳』 やはり1冊目は、自分が神経科学に興味を持ったきっかけ

大学院生活を振り返る〜"Ikigai(生きがい)"を見つけるために

こんにちは、東京大学の池谷裕二研究室で脳の研究をしている紺野大地と申します。 去る3月24日、4年間の大学院生活を終え、東京大学大学院博士課程を卒業しました! 支えてくださった全ての方々に心から感謝しています。 さて、池谷研究室では「博士最終セミナー」というイベントがあり、博士号取得者が思い思いに話をします。 私は研究の話に加えて、 「人生における"Ikigai(生きがい)"をどうやって見つけるか」という話をしたので、その内容をまとめたいと思います。 まずは、4年間

ブレインテック・ニューロテック入門ガイド

(最終更新:2023年5月) こんにちは、東京大学医学部を卒業後、医師かつ脳神経科学の研究をしている紺野大地と申します。 ここ最近、ブレインテックが盛り上がりを見せています。 2つほど例をあげると、  ・イーロンマスクの立ち上げたNeuralinkが、「サルが念じるだけで卓球ゲームをプレイする」ことを実現した(2021年3月)  ・カテーテル型脳デバイスを用いるSynchronが、「念じるだけでツイートをする」ことを世界で初めて実現した(2021年12月) などがあります

近況報告と、息子が産まれて思うこと

こんにちは、東京大学の池谷裕二研究室で脳・老化・人工知能の研究をしている紺野大地です。 私事で恐縮ですが、本日31歳の誕生日を迎えました。 30歳を振り返ると、「子どもの誕生と本の出版」という、人生でもとりわけ思い出深い1年になりました。 そしてこの3月で、いよいよ4年間の大学院博士課程が終わろうとしています。 「自分はこんなにも無力なのか」と打ちのめされて始まった博士課程でしたが、今振り返ると、4年前には想像もしていなかった方向へと人生が進んだ時期になりました。 博士

2XXX年の未来予測(脳×人工知能)

こんにちは、東京大学で脳の研究をしている紺野大地と申します。 池谷裕二先生との共著『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線』が、本日(2021年12月16日)発売開始となりました! 本書の「イントロダクション」では、神経科学や人工知能がこのままの勢いで進歩したら、将来的にはどんな世界が待っているのかを私なりに大胆に予想しています。 そこで本noteでは、この未来予想図の部分を抜粋して紹介したいと思います! 2XXX年の未来予測

本を出版します!

こんにちは、東京大学で脳の研究をしている紺野大地と申します。 突然のご報告ですが、池谷裕二先生との共著 『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線』を12月16日に出版することになりました! なぜこの本を書いたのか。 それは、「脳や人工知能研究の最先端をぜひ多くの人に知ってもらいたい」と考えたからです。 爆発的に進歩する脳と人工知能研究脳と人工知能が融合した分野の進歩は凄まじく、ここ数年でにわかには信じられないような研究成果が続々と

老化を「克服」する

(最終更新:2022年10月15日) こんにちは。東京大学医学部を卒業し、現在は東京大学の池谷裕二先生の研究室で脳と人工知能の研究をしている紺野大地と申します。 今回は脳や人工知能ではなく、「老化」について扱ってみようと思います。 というのも、(実は?)私の医師としての専門は加齢や老化を扱う「老年医学」なのです。 (現在、東京大学医学部附属病院の老年病科に所属しています。) 脳や人工知能もアツいですが、加齢や老化についての最近の研究も激アツです。 本noteでは、「老化

脳に情報を「書き込む」(前編)

(2021年12月31日に、2021年時点の最新情報を追記しました。) こんにちは。東京大学医学部を卒業し、現在は東京大学の池谷裕二先生の研究室で脳と人工知能をつなぐ研究をしている紺野大地と申します。 脳情報の読み書きとは私は現在"脳と人工知能をつなぐ研究"をしていますが、これを本当に実現しようと考えたとき、2つの重要なポイントがあります。 一つは"脳情報の読み取り(read-out)"、もう一つは"脳への情報の書き込み(wtite-in)"です。 そこで今回は2日間

脳に情報を「書き込む」(後編)

(2021年12月31日に、2021年時点の最新情報を追記しました。) こんにちは。東京大学医学部を卒業し、現在は東京大学の池谷裕二先生の研究室で脳と人工知能をつなぐ研究をしている紺野大地と申します。 本noteは"脳に情報を「書き込む」"の後編記事であり、 "脳への情報の書き込み(write-in)"についての新しいテクノロジーや全体についての考察を記していきたいと思います。 前編noteはこちらです。 本noteの内容は以下になります。  1. "脳への情報書き