見出し画像

第101号 ヒト脳深部を非侵襲的に電気刺激することに成功(その1)、来年のブレインテック業界に期待することは何ですか?

// 2023年12月24日 第101号
// 1. 今週の注目ニュース:ヒト脳深部を非侵襲的に電気刺激することに成功(その1)
// 2. 質問コーナー:来年のブレインテック業界に期待することは何ですか?

こんにちは、東京大学で医師かつ脳や人工知能の研究をしている紺野大地です。

東京大学の渡辺正峰先生とスタンフォード大学の中村勇人さんが侵襲型 Brain Machine Interfaceのブレインテック企業"Ruten"を設立したとのニュースです!
これはとても楽しみです。
日本からNeuralinkを超える企業を作っていきましょう!


では、今回も始めていきましょう!

1. 今週の注目ニュース:ヒト脳深部を非侵襲的に電気刺激することに成功(その1)

今回取り上げるのは、
「ヒト脳深部を非侵襲的に電気刺激することに成功した」という注目の論文です。

異なる周波数の電流を組み合わせる時間干渉電気刺激法(Temporal Interference Electrical Stimulation, TIES)という手法を利用しており、様々な応用可能性を秘めた要注目の論文です!

以下で、この研究の内容を深掘りしながら見ていきましょう。

背景

「脳深部を非侵襲的に刺激したい」というニーズは非常に大きいものの、これまでは技術的に実現が困難でした。
そんな中、2017年に登場したのが時間干渉電気刺激法(Temporal Interference Electrical Stimulation, TIES)です。

TIESは「周波数が少し異なる2つの高周波数電流を用いて頭皮上から2ヶ所を同時に電気刺激することにより、脳深部を非侵襲的に刺激することのできる」という技術であり、神経科学の研究には2017年に用いられ始めました。

メカニズム
TISのメカニズムは以下になります。

ここから先は

3,006字 / 5画像

¥ 250

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?