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第110号 アルツハイマー病の新たな治療法候補「GENUS」の最新情報アップデート、Claude3は使いましたか?

// 2024年3月20日 第110号
// 1. 今週のトピック:アルツハイマー病の新たな治療法候補「GENUS」の最新情報アップデート
// 2. 質問コーナー:Claude3は使いましたか?

こんにちは、東京大学で医師かつ脳や人工知能の研究をしている紺野大地です。

先日から、私が作成した論文解説GPTs「Paper Interpreter」の回答精度が、以前より明らかに上昇しているように感じます。

OpenAIはChatGPTの性能を意図的に低下させているとの噂がありますが、Claude3の登場に焦ってChatGPTの性能を多少向上させたのかもしれません。

真偽はわかりませんが、健全な競争が起きるのはユーザーにとっては素晴らしいですね!

では、今回も始めていきましょう!

1. 今週のトピック:アルツハイマー病の新たな治療法候補「GENUS」の最新情報アップデート

今回は、アルツハイマー病の新たな治療法候補「GENUS」の最新情報について、以下のレビュー論文をもとにアップデートしていきたいと思います。

そもそもGENUSとは?という方もいると思うので、まず概要を説明します。

GENUSとは

GENUS"Gamma ENtrainment Using Sensory Stimuli"の略語であり、一言で言うと、
「40Hzのガンマ波で脳を刺激することでアミロイドβが減り、認知機能が回復する」
というものです。

私がこの話を始めて耳にしたのは2018年ごろであり、最初に聞いたときはトンデモ系の研究かと疑っていました。
しかしながら、2019年に米国神経科学学会でGENUS発見者のLi-Huei Tsai先生の講演を聞いたり、その後の様々な論文を読むうちに「これは本当かもしれない」と考えを改め、現在ではアルツハイマー病の予防・治療法の1つとして期待しています。

以下では、GENUSが生まれた背景やメカニズムについて見ていきましょう。

(なお、GENUSについては3年前にも扱いました。)

背景

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